11 特例の対象とならない資産保有型会社又は資産運用型会社の意義(70の7−11)

70の7−11 措置法第70条の7第2項第1号ロの要件を判定する場合において、同項第8号に規定する資産保有型会社に該当するかの判定は、特例対象贈与の日の属する事業年度の直前の事業年度の開始の日から当該特例対象贈与に係る贈与税の申告期限までの間のいずれかの日において次の(1)に掲げる算式を満たすかどうかにより行い、同項第9号に規定する資産運用型会社に該当するかの判定は、特例対象贈与の日の属する事業年度の直前の事業年度の開始の日から当該特例対象贈与に係る贈与税の申告期限までの間に終了するいずれかの事業年度において次の(2)に掲げる算式を満たすかどうかにより行うのであるが、これらの会社のうち措置法令第40条の8第5項第1号及び第2号の要件のすべてに該当するものに係る非上場株式等が、措置法第70条の7第1項の適用対象とならないことに留意する。

(1) A+C分のB+Cは100分の70以上

 A=当該いずれかの日における当該会社の資産の帳簿価額の総額
 B=当該いずれかの日における当該会社の特定資産(現金、預貯金その他これらに類する資産として措置法規則第23条の9第14項に規定するものをいう。以下70の7−11において同じ。)の帳簿価額の合計額
 C=当該いずれかの日以前5年以内において経営承継受贈者及び当該経営承継受贈者の同族関係者(措置法令第40条の8第9項に規定する者をいう。)がその会社から受けた次のa及びbに掲げる額の合計額

a 当該会社から受けた当該会社の株式等に係る剰余金の配当又は利益の配当(特例対象贈与の時前に受けたものを除く。)の額

b 当該会社から支給された給与(特例対象贈与の時前に支給されたものを除く。)の額のうち、法人税法(昭和40年法律第34号)第34条((役員給与の損金不算入))又は第36条((過大な使用人給与の損金不算入))の規定により当該会社の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されないこととなる金額

(2) A分のBは100分の75以上

 A=当該いずれかの事業年度における総収入金額
 B=当該いずれかの事業年度における特定資産の運用収入の合計額

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第2項第1号ロにおいては、認定贈与承継会社の要件として「当該会社が、資産保有型会社又は資産運用型会社のうち措置法令第40条の8第5項で定めるものに該当しないこと」と規定されている。
2 ところで、資産保有型会社とは、措置法第70条の7第2項第8号に規定する会社をいい、資産運用型会社とは、同項第9号に規定する会社をいうこととされている。通達では、これらの要件を計算式により留意的に明らかにした。
3 また、措置法第70条の7第2項第1号ロにおいては、上記2により資産保有型会社又は資産運用型会社に該当するもののうち措置法令第40条の8第5項第1号及び第2号の要件のすべてに該当するものに係る非上場株式等が措置法第70条の7第1項の適用対象とならないとされていることから、通達においては、そのことを留意的に明らかにした。
 なお、措置法第70条の7第2項第1号ロの要件の判定を図で示すと次のとおりとなる。

「一定の資産保有型会社等でないこと」の要件の判定フローチャート

12 経営承継受贈者を判定する場合等の議決権の数の意義(70の7−12)

70の7−12 措置法第70条の7第2項第3号ハ及びニの要件を判定する場合の同号ハの「議決権の数」及び「総株主等議決権数」並びに同号ニの「議決権の数」には、次の(1)及び(2)に掲げる株式等に係る議決権の数が含まれることに留意する。

(1) 株主総会等において議決権を行使できる事項の一部について制限がある株式等

(2) 株主総会等において議決権を行使できる事項の一部について制限がある株主等が有する株式等

(注)

1 措置法第70条の7第2項第3号ハ及びニの要件の判定は、特例対象贈与直後の株主等の構成により行うことに留意する。

2 措置法令第40条の8第1項第1号及び第2号の要件、措置法規則第23条の9第32項第1号及び第2号の要件、措置法令第40条の8第6項の特別の関係がある会社並びに同条第9項の特別の関係がある者を判定する場合も上記に準じて行うことに留意する。

(新設)
(説明)
1 受贈者の同族過半要件(措置法第70条の7第2項第3号ハの要件)及び筆頭株主等要件(同号ニの要件)の判定は、「議決権の数」を基に判定することとされている。通達においては、1株主総会又は社員総会において議決権を行使できる事項の一部について制限がある株式等及び2株主総会又は社員総会において議決権を行使できる事項の一部について制限がある株主等が有する株式等に係る議決権については、制限はあるものの議決権としては存在していることから、当該「議決権の数」に含まれることを留意的に明らかにした。

(注) 会社法第188条第1項の規定により、株主総会において1個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨の定款の定めがある場合には、当該1単元に満たない株式については議決権がないこととなるため、当該「議決権の数」には含まれないこととなる。

2 また通達の(注)1において、これらの判定は、条文上「贈与の時において」と規定されていることから、特例対象贈与直後の株主構成により行うことを留意的に明らかにした。
3 さらに通達の(注)2において、贈与者の同族過半要件(措置法令第40条の8第1項第1号)及び同族内筆頭株主等要件(同項第2号)、措置法第70条の7第17項第1号の譲渡等の相手方の同族過半要件(措置法規則第23条の9第32項第1号)及び同族内筆頭株主等要件(同項第2号)、措置法令第40条の8第6項の特別の関係がある会社並びに同条第9項の特別の関係がある者の判定についても、上記と同様に「議決権の数」を基に判定することとされていることから上記に準じ当該判定を行うことを留意的に明らかにした。
【参考】
1 議決権とは、株式会社においては、株主が株主総会・種類株主総会の決議に参加する権利をいい、議決権の数は、原則として、1株1議決権である(会社法3081本文)。ところで、株式会社は、会社法108条において、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる2以上の種類の株式を発行することができることとされている。1剰余金の配当、2残余財産の分配、3株主総会で議決権を行使できる事項、4譲渡によるその種類の株式の取得について会社の承認を要すること、5株主が会社に対してその種類の株式の取得を請求できること、6会社が一定の事由が生じたことを条件としてその種類の株式を取得できること、7株主総会決議によって会社がその種類の株式の全部を取得できること、8株主総会・取締役会等で決議すべき事項についてその種類の株式の株主による種類株主総会決議を要すること又は9その種類の株式の株主による種類株主総会において取締役・監査役を選任すること。このうち3については、(a)ある事項(たとえば取締役の選任)についてのみ議決権がないものとすること、(b)ある事項についてのみ議決権を有することとすること、又は(c)まったく議決権を有しないとすることができる。
2 また、公開会社でない株式会社においては、株式ではなく個々の株主に着目し、剰余金の配当を受ける権利、残余財産の分配を受ける権利、又は株主総会における議決権について、株主ごとに異なる取扱いを定款で定めることができることとされている(会社法109)ことから、法人の株主総会等において議決権を行使できる事項の全部又は一部についての制限を株主に対して課すことができる。
3 さらに、株式会社において1会社法第189条第1項に規定する単元未満株式、2株式会社が有する自己株式及び3株式会社がその総株主の議決権の4分の1以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして会社法施行規則(平成18年法務省令第12号)第67条((実質的に支配することが可能となる関係))で定める法人株主が有する株式については、会社法上議決権を有しないこととされている。
4 持分会社の場合は、原則1人1議決権とされているが、定款によって自由に制限を設けることが可能である。当該制限の内容は、例えば「ある者については、社員総会において全部の議決権を制限する。」とすることや、「出資額100円につき1議決権とする。」等、様々な制限が考えられることから、定款で設けられた制限の内容により株式会社の場合の判定と同様に議決権があるか否かにより行うこととなる。

13 役員である期間の意義(70の7−13)

70の7−13 措置法第70条の7第2項第3号ヘの要件は、同号の個人が特例対象贈与の日からさかのぼって3年目の応当日から当該特例対象贈与の日までの間(以下70の7−13において「直近3年間」という。)、継続して、同項第1号の認定贈与承継会社が株式会社の場合にはその役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。)としての地位を、持分会社の場合にはその業務を執行する社員としての地位を有することをいうことに留意する。

(注)

1 直近3年間において、当該地位を有しない期間がある場合には、措置法 第70条の7第2項第3号の要件は満たさないことに留意する。

2 当該地位は、直近3年間において当該地位のいずれかを有していれば、同一の地位を有する必要はないことに留意する。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第2項第3号ヘにおいては、経営承継受贈者の要件として「当該個人が、当該贈与の日まで引き続き3年以上にわたり当該認定贈与承継会社の役員その他の地位として財務省令で定めるものを有していること。」と規定されている。
2 したがって、当該個人が経営承継受贈者に該当するためには、特例対象贈与の日からさかのぼって3年目の応当日から当該特例対象贈与の日までの間(以下70の7−13において「直近3年間」という。)、継続して、当該地位を有しなければならないこととなる。通達は、その旨を留意的に明らかにした。
3 また、通達の(注)1においては、直近3年間において当該地位を有していない期間がある場合には、当該要件は満たさないことを留意的に明らかにした。
4 なお、「役員その他の地位として財務省令で定めるもの」とは、認定贈与承継会社が株式会社である場合には取締役、会計参与又は監査役をいい、持分会社である場合には業務を執行する社員をいう(措規23の910)ことから、例えば、直近3年間のうち1年は監査役、残りの2年は取締役であっても当該要件を充足することとなる。通達の(注)2においては、その旨を留意的に明らかにした。

14 特例受贈非上場株式等に係る贈与者又は認定贈与承継会社が2以上ある場合の納税猶予分の贈与税額の計算(70の7−14)

70の7−14 特例受贈非上場株式等に係る贈与者又は特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が2以上ある場合における措置法第70条の7第2項第5号に規定する納税猶予分の贈与税額の計算は、次の順により行うことに留意する。

1 当該特例受贈非上場株式等に係る経営承継受贈者がその年中において特例対象贈与により取得したすべての認定贈与承継会社の当該特例受贈非上場株式等の価額の合計額を当該経営承継受贈者に係るその年分の贈与税の課税価格とみなして、同号により計算する(措置法令第40条の8第10項の規定による100円未満の端数処理は行わない。)。

2 措置法令第40条の8第12項の規定により、当該特例受贈非上場株式等に係る贈与者又は認定贈与承継会社の異なるものごとの納税猶予分の贈与税額を計算する(同項の規定による100円未満の端数処理を行う。)。

3 上記2により算出されたそれぞれの納税猶予分の贈与税額の合計が当該経営承継受贈者に係る納税猶予分の贈与税額となる。

(新設)
(説明)
1 特例受贈非上場株式等に係る贈与者又は特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が2以上ある場合における措置法第70条の7第2項第5号に規定する納税猶予分の贈与税額の計算に関する規定には、措置法令第40条の8第11項及び第12項の2つの規定があるが、措置法第70条の7第1項の規定の適用を受ける者に係る納税猶予分の贈与税額の総額を計算するに当たっては、同条第11項の規定のみにより計算することも可能であることから、同項と同条第12項との関係については疑義が生ずるところである。
2 仮に、同条第12項の規定が、納税猶予分の贈与税額を計算する場合には適用がなく納税猶予適用後の確定税額を計算する場合にのみ適用されると解した場合には、同項の端数処理により切り捨てられた金額は(特例受贈非上場株式等の全部を譲渡したときでも)贈与者又は受贈者の死亡時まで猶予税額として残ることとなり不合理な状態になる。また、同項においては「前項の場合において」と規定されていることから、同項の規定は、納税猶予分の贈与税額の総額を計算する場合にも適用があると解することが相当である。
3 また、同条第12項第1号の金額を算定する場合には、同号においては「前項の規定を適用して計算した納税猶予分の贈与税額」と規定されていることから、100円未満の端数処理は行わない金額となる。
4 通達においては、上記2及び3の内容を納税猶予分の贈与税額の計算の順序として示すことにより留意的に明らかにした。

15 相続時精算課税適用者等に係る贈与税の納税猶予(70の7−15)

70の7−15 措置法第70条の7第3項各号に掲げる者が特定贈与者から特例対象贈与により取得した認定贈与承継会社の特例受贈非上場株式等について同条第1項の規定の適用を受ける場合には、当該特例受贈非上場株式等に係る贈与税については、暦年課税により計算することに留意する。
 なお、同条第3項各号に掲げる者が当該特例対象贈与に係る特定贈与者から贈与により取得した特例受贈非上場株式等以外の財産に係る贈与税については、相続時精算課税の適用となることに留意する(特例受贈非上場株式等の意義については、70の7−2参照。)。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第3項の規定により、同項各号に掲げる者が特例対象贈与により取得した特例受贈非上場株式等について同条第1項の規定の適用を受ける場合には、当該特例受贈非上場株式等については、相続時精算課税の規定の適用をしないこととされている。通達では、その旨を留意的に明らかにした。
2 また、通達のなお書においては、同条第3項各号に掲げる者が当該特例対象贈与に係る特定贈与者から贈与により取得した非上場株式等で措置法第70条の7第1項の規定の適用を受ける株式等以外の財産(当該特例受贈非上場株式等に係る会社の株式等で同項の適用対象とならない部分に該当する株式等及び同項の適用を受けなかった株式等も当然含まれる。)については、相続税法第21条の9第3項の規定により相続時精算課税の適用となることを留意的に明らかにした。

16 代表権を有しないこととなった場合の意義(70の7−16)

70の7−16 措置法第70条の7第4項第1号に掲げる「代表権を有しないこととなった場合」とは、次のいずれかをいうことに留意する。
 ただし、次のいずれかに該当する場合であっても措置法規則第23条の9第15項に掲げるいずれかの事由に該当するときは、措置法第70条の7第4項第1号に掲げる「代表権を有しないこととなった場合」には該当しないことに留意する。

(1) 経営承継受贈者が有していた制限のない代表権を有しないこととなった場合

(2) 経営承継受贈者が有していた制限のない代表権に制限が加えられた場合

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第4項第1号においては、同条第2項第6号に規定する経営贈与承継期間内に経営承継受贈者がその有する当該特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社の「代表権を有しないこととなった場合」には、その有しないこととなった日から2月を経過する日(その有しないこととなった日から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日をいう。)に納税の猶予に係る期限が到来することとされている。
2 ところで、この代表権は、同条第1項において制限が加えられた代表権を除くと定義されていることから、「代表権を有しないこととなった場合」とは、1経営承継受贈者が有していた制限のない代表権を有しないこととなった場合及び2経営承継受贈者が有していた制限のない代表権に制限が加えられた場合を指すこととなる。通達においては、その旨を留意的に明らかにした。
3 ただし、上記21又は2のいずれかに該当した場合においても、措置法規則第23条の9第15項に掲げるいずれかの事由に該当するときは、措置法第70条の7第4項第1号の「代表権を有しないこととなった場合」には該当しないため、通達のただし書においては、その旨を留意的に明らかにした。

17 特例受贈非上場株式等の譲渡等の判定(70の7―17)

70の7―17 措置法第70条の7第4項第5号若しくは第6号又は同条第6項の表の第1号若しくは第2号の特例受贈非上場株式等の全部又は一部の同条第4項第5号に規定する譲渡等(以下70の7−39までにおいて「譲渡等」という。)があったかどうかの判定は、措置法令第40条の8第41項及び第42項の規定により行うことに留意する。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第4項第5号若しくは第6号又は同条第6項の表の第1号若しくは第2号においては、経営承継受贈者が措置法第70条の7第1項の規定の適用を受けている特例受贈非上場株式等の全部又は一部の譲渡等(譲渡又は贈与をいう。以下同じ。)をした場合には、猶予中贈与税額の全部又は一部(当該譲渡等をした部分に対応する部分)について、その有しないこととなった日から2月を経過する日(その有しないこととなった日から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日をいう。)に納税の猶予に係る期限が到来することとされている。
2 ところで、当該経営承継受贈者が当該譲渡等をした時において当該特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社と同一の会社の非上場株式等を有している場合等には、特例受贈非上場株式等の譲渡等をしたのか又は特例受贈非上場株式等ではない当該同一の会社の非上場株式等の譲渡等をしたのか不明であることから、措置法令第40条の8第41項では当該認定贈与承継会社の非上場株式等の譲渡等をした場合には、当該特例受贈非上場株式等以外の非上場株式等から先に譲渡等をしたものとみなすこととされている。
3 また、同一の認定贈与承継会社の非上場株式等を異なる贈与者から特例対象贈与により取得した場合、特例受贈非上場株式等についてそれぞれ措置法第70条の7第1項の規定の適用を受けているときの同条第4項及び第6項の規定は、当該贈与者ごとに適用することとなるが、その場合にも上記2と同様の問題があることから、措置法令第40条の8第42項では当該特例受贈非上場株式等の譲渡等をした場合には、当該特例受贈非上場株式等のうち先に取得をしたものから順次譲渡等をしたものとみなすこととされている。
4 したがって、通達では、措置法第70条の7第4項第5号若しくは第6号又は同条第6項の表の第1号若しくは第2号の特例受贈非上場株式等の全部又は一部の譲渡等があったかどうかの判定は、措置法令第40条の8第41項及び第42項の規定により行うことを留意的に明らかにした。
【参考】
措置法令第40条の8第41項及び第42項の規定の図

18 譲渡等をした日の意義(70の7−18)

70の7−18 措置法第70条の7第4項第5号、同項第6号及び同条第6項の表の第2号下欄の「当該譲渡等をした日」とは、当該譲渡等の効力が発生した日をいうのであるが、具体的には次に掲げる場合の区分に応じ次に定める日であることに留意する。

(1) 株券発行会社(会社法(平成17年法律第86号)第117条第6項((株式の価格の 決定等))に規定する株券発行会社をいう。以下70の7−18において同じ。)の場合 株券の交付を行った日

(2) 株券不発行会社(株券発行会社以外の株式会社をいう。以下70の7−18において同じ。)の場合 譲渡契約効力発生の日

(注) ただし、株券不発行会社の株式について書面によらない贈与を行った場合には、株主名簿の名義変更の日とする。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第4項第5号、第6号及び同条第6項の表の第2号においては、経営承継受贈者が措置法第70条の7第1項の規定の適用を受けている特例受贈非上場株式等の全部又は一部の譲渡等をした場合には、猶予中贈与税額の全部又は一部(当該譲渡等をした部分に対応する部分)について、その譲渡等をした日から2月を経過する日(その譲渡等をした日から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日をいう。)に納税の猶予に係る期限が到来することとされている。
2 ところで、会社法上、株式の譲渡とは、株主が契約によって自己の保有する株式を他人に移転することをいい、贈与も含まれる概念である。また、当該譲渡の効力発生要件は、株券発行会社の場合と株券不発行会社の場合で異なり、会社法第128条第1項において「株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。」と規定されていることから、株券発行会社においては、株式の譲渡は、当事者間の意思表示とともに、株券を譲受人に交付しなければその効力を生じない。他方、株券不発行会社の株式の譲渡については、会社法はその譲渡方法を特に定めておらず、振替株式を除き、当事者間の意思表示のみによって効力を生じることとされている(酒巻俊雄・龍田節共著「逐条解説会社法第2款」中央経済社233ページ)。
 なお、上記の株券発行会社とは、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めがある株式会社をいうことから(会社法1176)、当該定款の定めがある株式会社の株式を譲渡する場合には、当該株式会社が株券を発行していないとき(会社法2154、217等)であっても、当該株式会社から株券の発行・交付を受けた上で、株式を譲渡しなければならない(酒巻俊雄・龍田節共著「逐条解説会社法第2款」中央経済社238ページ)。
3 通達では、措置法第70条の7第4項第5号、同項第6号及び同条第6項の表の第2号下欄の「当該譲渡等をした日」とは、当該譲渡等の効力が発生した日をいうのであるが、上記2の会社法上の規定を踏まえ、具体的な例示として次のとおりとなること留意的に明らかにした。
 ただし、書面によらない贈与の場合は、既に履行した部分を除き、各当事者はその契約をいつでも取り消すことができることとされており(民法550)、履行前の受贈者の地位は極めて不安定なものであることから、株券不発行会社の場合には、株主名簿の変更の日によることとし、その旨を通達の(注)において明らかにした。

(1) 株券発行会社(会社法第117条第6項に規定する株券発行会社をいう。)の場合 株券の交付を行った日

(2) 株券不発行会社(株券発行会社以外の株式会社をいう。)の場合 譲渡契約効力発生の日

(注) ただし、株券不発行会社の株式について書面によらない贈与を行った場合には、株主名簿の名義変更の日とする。

19 解散等をした場合等の意義(70の7−19)

70の7−19 措置法第70条の7第4項第8号の「解散をした場合」とは、会社法第471条各号(同条第4号を除く。)又は第641条各号(同条第5号を除く。)((解散の事由))に掲げるいずれかの事由が生じた場合をいい、「解散をした日」とは、当該事由が生じた日をいうことに留意する。
 また、措置法第70条の7第4項第8号の「会社法の規定により解散をしたものとみなされた場合」とは、会社法第472条第1項((休眠会社のみなし解散))の規定に該当する場合をいい、「そのみなされた日」とは、同項の「期間の満了の時」をいうことに留意する。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第4項第8号においては、特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が「解散をした場合」(合併により消滅する場合を除く。)又は会社法その他の法律の規定により「解散をしたものとみなされた場合」には、当該「解散をした日」又は当該「みなされた解散の日」から2月を経過する日(当該「解散をした日」又は当該「みなされた解散の日」から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日をいう。)に納税の猶予に係る期限が到来することとされている。
2 会社法上、株式会社及び持分会社は次に掲げる事由によって解散することとされていることから、通達においては、同号の「解散をした場合」とはこれらの事由((1)ニ及び(2)ホを除く。)が生じた場合をいい、「解散をした日」とはこれらの事由((1)ニ及び(2)ホを除く。)が生じた日をいうことを留意的に明らかにした。

(1) 株式会社の解散事由(会社法471)。

  1. イ 定款で定めた存続期間の満了
  2. ロ 定款で定めた解散の事由の発生
  3. ハ 株主総会の決議
  4. ニ 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
  5. ホ 破産手続開始の決定
  6. へ 会社法第824条第1項((会社の解散命令))又は第833条第1項((会社の解散の訴え))の規定による解散を命ずる裁判

(2) 持分会社の解散事由(会社法641)。

  1. イ 定款で定めた存続期間の満了
  2. ロ 定款で定めた解散の事由の発生
  3. ハ 総社員の同意
  4. ニ 社員が欠けたこと。
  5. ホ 合併(合併により当該持分会社が消滅する場合に限る。)
  6. へ 破産手続開始の決定
  7. ト 会社法第824条第1項又は第833条第2項の規定による解散を命ずる裁判
3 会社法第472条においては、休眠会社(株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過したものをいう。以下同じ。)は、法務大臣が休眠会社に対し2月以内に法務省令で定めるところによりその本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合において、その届出をしないときは、その2月の期間の満了の時に、解散したものとみなすこととされていることから、通達においては、同号の「会社法の規定により解散をしたものとみなされた場合」とは、会社法第472条第1項の規定に該当する場合をいい、「そのみなされた日」とは、同項に該当する場合における同項の「期間の満了の時」をいうことを留意的に明らかにした。

20 確定事由となる資産保有型会社又は資産運用型会社の意義(70の7−20)

70の7−20 措置法第70条の7第4項第9号の要件を判定する場合には、70の7−11((特例の対象とならない資産保有型会社又は資産運用型会社の意義))の規定を準用する。
 この場合において、「特例対象贈与の日の属する事業年度の直前の事業年度の開始の日」とあるのは「贈与税の申告期限の翌日」と、「贈与税の申告期限」とあるのは「措置法第70条の7第2項第7号ロに規定する猶予中贈与税額に相当する贈与税の全部につき納税の猶予に係る期限が確定する日」と、「第40条の8第5項」とあるのは「第40条の8第21項」となることに留意する。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第4項第9号においては、特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が「資産保有型会社又は資産運用型会社のうち政令で定めるものに該当する場合」には、その該当することとなった日から2月を経過する日(その該当することとなった日から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日をいう。)に納税の猶予に係る期限が到来することとされている。
2 通達においては、確定事由となる資産保有型会社又は資産運用型会社の意義については、その判定時点が異なるのみで「特例の対象とならない資産保有型会社又は資産運用型会社の意義」と同様であることから、70の7−11の規定を準用することとした。