2 公益を目的とする事業のうち、事業の種類、規模及び運営がそれぞれ次の(1)から(3)までに該当すると認められる事業は、「公益の増進に寄与するところが著しいと認められる事業」に該当するものとして取り扱う。
※下線部分が改正部分である。
(改正)
(説明)
宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業(以下「公益事業」という。)を行う者で一定のものが贈与により取得した財産でその公益事業の用に供することが確実なものについては、その財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しないこととされている(相法21の3三)(以下「公益事業用財産に対する贈与税の非課税」という。)。したがって、この公益事業用財産に対する贈与税の非課税の規定が贈与により財産を取得した個人に適用されるためには、
当該個人が公益事業を行う一定の個人に該当すること、及び
その取得した財産がその個人の公益事業の用に供されることが確実であることの2つの要件を満たす必要がある。
このうち、「公益事業を行う一定の個人」については、相続税法施行令(昭和25年政令第71号。以下「法施行令」という。)第4条の5において準用する法施行令第2条に規定されており、その概要は、公益の増進に寄与するところが著しいと認められる事業を行い、事業の運営等に関し財産を贈与した者やその親族等に特別の利益を与える事実がないものとされている。
通達2は、「公益の増進に寄与するところが著しいと認められる事業」であるかは、事業の種類、規模及び運営の内容によって判定することを示したものであり、通達2(1)の「事業の種類」は法施行令第4条の5において準用する法施行令第2条に規定する事業及びその他社会一般において公益事業と評価されるものを例示的に掲げたものである。
今般の通達改正においては、公益法人制度改革により「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)」が制定され、同法第2条第4号((定義))において「公益目的事業」として23の事業が掲げられたことを踏まえ、通達2(1)の「事業の種類」に、新たに同号に規定する公益目的事業を追加した。
〔関係法令〕
○ 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号) (抜すい)
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
別表(第2条関係)
4 法施行令第4条の5において準用する法施行令第2条第1号に規定する「特別の利益を与えること」とは、高度の公益事業を行う者に対し財産を贈与(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。以下同じ。)した者、当該事業を行う者又はこれらの者の親族その他これらの者と法施行令第2条に規定する特別関係がある者(以下7までにおいて、当該「親族その他これらの者と法施行令第2条に規定する特別関係がある者」を「特別関係がある者」という。)について、例えば、次に掲げる事実があると認められる場合がこれに該当するものとして取り扱う。
※下線部分が改正部分である。
(改正)
(説明)
通達4は、法施行令第4条の5において準用する法施行令第2条第1号に規定する「事業の運営等に関し財産の贈与をした者や事業を行う者又はこれらの親族等に特別の利益を与えるという事実がないこと」について、特別の利益を享受する場合の特別の利益を受ける者の範囲及びその特別の利益に該当する事実について、その取扱いを明らかにしたものである。
平成20年度税制改正においては、相続税法(昭和25年法律第73号。以下「法」という。)第65条第1項に規定する「法人から受ける特別の利益」の範囲が明確化されたことに併せて、法施行令第2条第1号及び第4条の5の規定も同様の改正が行われた。具体的には、特別の利益を受ける者の規定の整備が行われるとともに、改正前の法施行令第2条第1号の「事業に係る施設の利用、余裕金の運用その他その事業に関し特別の利益」が「事業に係る施設の利用、余裕金の運用、金銭の貸付け、資産の譲渡、給与の支給その他財産の運用及び事業の運営に関し特別の利益」に改められ、「特別の利益」の内容についてより明確化が図られた。今般の通達改正においては、明確化された法施行令第2条第1号の規定に基づき、通達4の(3)及び(4)を追加した。
なお、この通達4の改正により追加した(3)及び(4)の項目については、改正前の法施行令第2条第1号に規定する「その他その事業に関し特別の利益を与えること」の「特別の利益」に該当するものであったが、法施行令の改正に併せて明確化を図ったものである。
7 法施行令第4条の5において準用する法施行令第2条第3号に規定する「特別の利益を与える」とは、社団等の機関の地位にある者、贈与をした者又はこれらの者と特別関係がある者について、例えば、次に掲げる事実がある場合又はその事実があると認められる場合がこれに該当するものとして取り扱う。
※下線部分が改正部分である。
(改正)
(説明)
法施行令第2条に規定する人格のない社団又は財団(以下「社団等」という。)の行う公益事業の運営に関し、当該社団等の機関の地位にある者、贈与をした者又はこれらの者と特別関係がある者に対し特別の利益を与えることとなる場合には、当該社団等が贈与により取得した財産については、公益事業用財産に対する贈与税の非課税の規定の適用はない。通達7は、この場合の社団等が「特別の利益を与えること」となる事実についてその取扱いを明らかにしたものである。
平成20年度税制改正においては、法第65条第1項に規定する「法人から受ける特別の利益」の範囲が明確化されたことに併せて、法施行令第2条第3号及び第4条の5の規定も同様の改正が行われた。具体的には、特別の利益を受ける者の規定の整備が行われるとともに、改正前の法施行令第2条第3号の「事業に係る施設の利用、余裕金の運用、解散した場合における財産の帰属その他その事業に関し特別の利益」が「事業に係る施設の利用、余裕金の運用、解散した場合における財産の帰属、金銭の貸付け、資産の譲渡、給与の支給、当該社団等の機関の地位にある者への選任その他財産の運用及び事業の運営に関し特別の利益」に改められ、「特別の利益」の内容についてより明確化が図られた。今般の通達改正においては、明確化された法施行令第2条第3号の規定に基づき、通達7の改正を行った。
なお、この通達7の改正により追加した項目については、改正前の法施行令第2条第3号に規定する「その他その事業に関し特別の利益を与えること」の「特別の利益」に該当するものであったが、法施行令の改正に併せて明確化を図ったものである。