〔郵政民営化法による相続税に係る課税の特例の概要〕
個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、その相続又は遺贈に係る被相続人が郵政民営化法の施行日(平成19年10月1日)前から相続開始の直前まで引き続き有していた次に掲げる適用要件のすべてを満たす土地等(棚卸資産を除く。以下同じ。)のうち一定の業務の用に供する部分(以下「特定宅地等」という。)がある場合には、その特定宅地等を小規模宅地等の特例の適用対象となる特定事業用宅地等に該当する特例対象宅地等とみなして、措法第69条の4及び同法第69条の5の規定を適用する。
〔関係法令〕
○ 郵政民営化法(平成17年法律第97号)(抜すい)
(相続税に係る課税の特例)
第百八十条 個人が相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下この項において同じ。)により取得をした財産のうちに、次に掲げる要件のすべてを満たす土地又は土地の上に存する権利で政令で定めるもの(以下この項において「特定宅地等」という。)がある場合には、当該特定宅地等を租税特別措置法第六十九条の四第三項第一号に規定する特定事業用宅地等に該当する同条第一項に規定する特例対象宅地等とみなして、同条及び同法第六十九条の五の規定を適用する。
2 前項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
○ 郵政民営化法施行令(平成17年政令第342号)(抜すい)
(相続税に係る課税の特例)
第二十条 法第百八十条第一項に規定する土地又は土地の上に存する権利で政令で定めるものは、次に掲げる要件を満たすもの(郵便局株式会社法(平成十七年法律第百号)第四条第一項に規定する業務(同条第二項に規定する業務を併せて行っている場合の当該業務を含む。)の用に供されていた部分以外の部分があるときは、当該業務の用に供されていた部分に限る。)とする。
2 法第百八十条第一項第一号に規定する旧公社に対し貸し付けられていた建物で政令で定めるものは、同号の旧公社との賃貸借契約の当事者である被相続人又は当該被相続人の相続人が有していた建物とする。
3 法第百八十条第一項第一号に規定する政令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
4 法第百八十条第一項第一号に規定する郵便局株式会社に対し貸し付けられていた建物で政令で定めるものは、同号の郵便局株式会社との賃貸借契約の当事者である被相続人又は当該被相続人の相続人が有していた建物とする。
○ 郵政民営化に関する法人税及び相続税に係る課税の特例に関する省令 (平成19年財務省令第54号)(抜すい)
(相続税に係る課税の特例)
第二条 法第百八十条第一項第二号に規定する財務省令で定める証明は、総務大臣の次に掲げる事項を証する書類を相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第二十七条又は第二十九条の規定による申告書(これらの申告書に係る国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十八条第二項に規定する期限後申告書及びこれらの申告書に係る同法第十九条第三項に規定する修正申告書を含む。)に添付することにより行うものとする。
2 令第二十条第一項第二号に規定する財務省令で定めるものは、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十五条第一項に規定する雑所得の基因となる土地又は土地の上に存する権利とする。
○ 旧日本郵政公社法(平成14年法律第97号)(抜すい)
(業務の範囲)
第十九条 公社は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
2〜4 (略)
(郵便局)
第二十条 公社は、前条第一項第一号から第五号までに掲げる業務及びこれらに附帯する業務を行うため、総務省令で定めるところにより、郵便局をあまねく全国に設置しなければならない。
2 前項の総務省令を定めるに当たっては、地域住民の利便の確保について配慮しなければならない。
○ 郵便局株式会社法(平成17年法律第100号)(抜すい)
(会社の目的)
第一条 郵便局株式会社(以下「会社」という。)は、郵便窓口業務及び郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を営むことを目的とする株式会社とする。
(定義)
第二条 この法律において「郵便窓口業務」とは、郵便窓口業務の委託等に関する法律(昭和二十四年法律第二百十三号)第二条に規定する郵便窓口業務をいう。
2 この法律において「郵便局」とは、会社の営業所であって、郵便窓口業務を行うものをいう。
(業務の範囲)
第四条 会社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むものとする。
2 会社は、前項に規定する業務を営むほか、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むことができる。
3 会社は、前二項に規定する業務のほか、前二項に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、前二項に規定する業務以外の業務を営むことができる。
4 会社は、第二項第二号に掲げる業務及びこれに附帯する業務並びに前項に規定する業務を営もうとするときは、あらかじめ、総務省令で定める事項を総務大臣に届け出なければならない。
○ 地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律(平成13年法律第120号)(抜すい)
(郵便局における事務の取扱い)
第二条 地方公共団体は、次に掲げる当該地方公共団体の事務を、当該地方公共団体において取り扱うほか、次条第一項の規定により当該地方公共団体が指定した郵便局において取り扱わせることができる。
(郵便局の指定等)
第三条 地方公共団体は、前条各号に掲げる事務を郵便局において取り扱わせようとするときは、次に掲げる基準に適合する郵便局を指定するものとする。
2〜4 (略)
5 地方公共団体は、郵便局株式会社との協議により、第一項の規定により指定した郵便局(以下「事務取扱郵便局」という。)の郵便局取扱事務若しくは郵便局取扱事務を取り扱う期間を変更し、又は同項の規定による指定を取り消すことができる。この場合においては、前二項の規定を準用する。
○ 郵便窓口業務の委託等に関する法律(昭和24年法律第213号)(抜すい)
(定義)
第二条 この法律において「郵便窓口業務」とは、次に掲げる業務をいう。
○ 相続税法基本通達(抜すい)
(「相続を放棄した者」の意義)
3―1 法第3条第1項に規定する「相続を放棄した者」とは、民法第915条((相続の承認又は放棄をすべき期間))から第917条までに規定する期間内に同法第938条((相続の放棄の方式))の規定により家庭裁判所に申述して相続の放棄をした者(同法第919条第2項((相続の承認及び放棄の撤回及び取消し))の規定により放棄の取消しをした者を除く。)だけをいうのであつて、正式に放棄の手続をとらないで事実上相続により財産を取得しなかつたにとどまる者はこれに含まれないのであるから留意する。
(「相続権を失つた者」の意義)
3―2 法第3条第1項に規定する「相続権を失つた者」とは、民法第891条の各号((相続人の欠格事由))に掲げる者並びに同法第892条((推定相続人の廃除))及び第893条((遺言による推定相続人の廃除))の規定による推定相続人の廃除の請求に基づき相続権を失つた者(同法第894条((推定相続人の廃除の取消し))の規定により廃除の取消しのあつた者を除く。)だけをいうのであるから留意する。
郵政民営化法の施行日前に旧日本郵政公社との賃貸借契約を締結した契約当事者(建物所有者)は、その時点において被相続人の推定相続人(被相続人の子)であったが、施行日から被相続人に係る相続の開始の直前までの間において被相続人の推定相続人が亡くなったため、その推定相続人の相続において推定相続人の相続人(被相続人の孫)が賃貸借契約に係る建物を相続し、郵便局株式会社との契約当事者となり、その後被相続人の相続において代襲相続により被相続人の相続人となった場合
⇒ 郵政民営化法による相続税に係る課税の特例の適用を受けることはできない。
(注)建物所有者の変更に伴う賃貸借契約の当事者の変更は、郵政民営化法第180条第1項第1号に規定する契約事項の変更にも該当する。
○ 郵便局株式会社法(平成17年法律第100号)(抜すい)
(業務の範囲)
第四条 会社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むものとする。
2 会社は、前項に規定する業務を営むほか、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むことができる。
3 会社は、前二項に規定する業務のほか、前二項に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、前二項に規定する業務以外の業務を営むことができる。
4 会社は、第二項第二号に掲げる業務及びこれに附帯する業務並びに前項に規定する業務を営もうとするときは、あらかじめ、総務省令で定める事項を総務大臣に届け出なければならない。
いずれの事例も相続の開始以後における建物所有者が郵便局株式会社との賃貸借契約の当事者となっている。