(郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等に係る相続税の課税の特例)
69の4─28 個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、郵政民営化法(平成17年法律第97号)第180条第1項((相続税に係る課税の特例))に規定する特定宅地等(以下69の4─34までにおいて「特定宅地等」という。)がある場合において、当該特定宅地等は、同項の規定により措置法第69条の4第3項第1号に規定する特定事業用宅地等に該当する同条第1項に規定する特例対象宅地等とみなして、同条及び同法第69条の5の規定を適用することに留意する。
(新設)
(説明)
 郵政民営化法の制定に伴う相続税関係の措置として、平成17年に公布された郵政民営化法(平成17年法律第97号)において相続税に係る課税の特例が創設され、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第102号)において小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の改正が行われた。当該措置では、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律で、同法による改正前の租税特別措置法(以下「旧措法」という。)第69条の4第1項に規定する小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用対象から「国の事業の用に供されている宅地等」が除外され、新たな措置として郵政民営化法において一定の要件を満たす郵便局舎の敷地の用に供されている土地又は土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)については、租税特別措置法(以下「措法」という。)第69条の4第3項第1号に規定する特定事業用宅地等に該当する同条第1項に規定する特例対象宅地等とみなして、同条及び同法第69条の5の規定を適用する特例が創設された。
 そこで、措通69の4─28では、個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、郵政民営化法第180条第1項((相続税に係る課税の特例))に規定する特定宅地等がある場合において、当該特定宅地等が小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例等の適用対象となることを留意的に明らかにした。
(注)郵政民営化法及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律は、平成19年10月1日に施行されている。
(参考)

〔郵政民営化法による相続税に係る課税の特例の概要〕
 個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、その相続又は遺贈に係る被相続人が郵政民営化法の施行日(平成19年10月1日)前から相続開始の直前まで引き続き有していた次に掲げる適用要件のすべてを満たす土地等(棚卸資産を除く。以下同じ。)のうち一定の業務の用に供する部分(以下「特定宅地等」という。)がある場合には、その特定宅地等を小規模宅地等の特例の適用対象となる特定事業用宅地等に該当する特例対象宅地等とみなして、措法第69条の4及び同法第69条の5の規定を適用する。

  1. 1 平成19年10月1日前から被相続人又はその被相続人の相続人と旧日本郵政公社との間の賃貸借契約に基づき、郵便等の業務を行う郵便局の用に供するため旧日本郵政公社に貸し付けられていた建物(その賃貸借契約の当事者である被相続人又はその被相続人の相続人が有していた建物に限る。)の敷地の用に供されていた土地等であること。
  2. 2 平成19年10月1日から被相続人に係る相続開始の直前までの間において、上記1の賃貸借契約(平成19年10月1日の直前に効力を有するものに限る。)の契約事項に一定の事項以外の事項について変更がない賃貸借契約に基づき、引き続き郵便窓口業務を行う郵便局の用に供するため郵便局株式会社に対し貸し付けられていた建物(その賃貸借契約の当事者である被相続人又はその被相続人の相続人が有していた建物に限る。)(以下「郵便局舎」という。)の敷地の用に供されていた土地等であること。
  3. 3 相続又は遺贈によりその土地等を取得した相続人から、その相続の開始の日以後5年以上上記2の郵便局舎を郵便局株式会社が引き続き借り受けることにより、その土地等を同日以後5年以上その郵便局舎の敷地の用に供する見込みであることについて、総務大臣の証明がなされたものであること。
  4. 4 その郵便局舎の敷地の用に供されている土地等について、既にこの特例(郵政民営化法第180条〈相続税に係る課税の特例〉)の規定の適用を受けていないこと。

〔関係法令〕

○ 郵政民営化法(平成17年法律第97号)(抜すい)

(相続税に係る課税の特例)

第百八十条 個人が相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下この項において同じ。)により取得をした財産のうちに、次に掲げる要件のすべてを満たす土地又は土地の上に存する権利で政令で定めるもの(以下この項において「特定宅地等」という。)がある場合には、当該特定宅地等を租税特別措置法第六十九条の四第三項第一号に規定する特定事業用宅地等に該当する同条第一項に規定する特例対象宅地等とみなして、同条及び同法第六十九条の五の規定を適用する。

  1. 一 施行日前に当該相続若しくは遺贈に係る被相続人又は当該被相続人の相続人と旧公社との間の賃貸借契約に基づき旧公社法第二十条第一項に規定する郵便局の用に供するため旧公社に対し貸し付けられていた建物で政令で定めるものの敷地の用に供されていた土地又は土地の上に存する権利のうち、施行日から当該被相続人に係る相続の開始の直前までの間において当該賃貸借契約(施行日の直前に効力を有するものに限る。)の契約事項に政令で定める事項以外の事項の変更がない賃貸借契約に基づき引き続き郵便局株式会社法第二条第二項に規定する郵便局の用に供するため郵便局株式会社に対し貸し付けられていた建物で政令で定めるもの(次号において「郵便局舎」という。)の敷地の用に供されていたもの(以下この項において「宅地等」という。)であること。
  2. 二 当該相続又は遺贈により当該宅地等の取得をした相続人から当該相続の開始の日以後五年以上当該郵便局舎を郵便局株式会社が引き続き借り受けることにより、当該宅地等を同日以後五年以上当該郵便局舎の敷地の用に供する見込みであることにつき、財務省令で定めるところにより証明がされたものであること。
  3. 三 当該宅地等について、既にこの項の規定の適用を受けたことがないものであること。

2 前項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

○ 郵政民営化法施行令(平成17年政令第342号)(抜すい)

(相続税に係る課税の特例)

第二十条 法第百八十条第一項に規定する土地又は土地の上に存する権利で政令で定めるものは、次に掲げる要件を満たすもの(郵便局株式会社法(平成十七年法律第百号)第四条第一項に規定する業務(同条第二項に規定する業務を併せて行っている場合の当該業務を含む。)の用に供されていた部分以外の部分があるときは、当該業務の用に供されていた部分に限る。)とする。

  1. 一 法の施行の日(以下「施行日」という。)前から法第百八十条第一項の相続又は遺贈に係る被相続人(以下この条において「被相続人」という。)に係る相続の開始の直前まで引き続き当該被相続人が有していたものであること。
  2. 二 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二条第一項第十六号に規定する棚卸資産(これに準ずるものとして財務省令で定めるものを含む。)に該当しないものであること。

2 法第百八十条第一項第一号に規定する旧公社に対し貸し付けられていた建物で政令で定めるものは、同号の旧公社との賃貸借契約の当事者である被相続人又は当該被相続人の相続人が有していた建物とする。

3 法第百八十条第一項第一号に規定する政令で定める事項は、次に掲げる事項とする。

  1. 一 当該賃貸借契約に係る郵便局株式会社の営業所、事務所その他の施設(以下この号において「支社等」という。)の名称若しくは所在地又は支社等の長
  2. 二 当該賃貸借契約に係る被相続人又は当該被相続人の相続人の氏名又は住所
  3. 三 当該賃貸借契約において定められた契約の期間
  4. 四 当該賃貸借契約に係る法第百八十条第一項に規定する特定宅地等及び同項第一号に規定する郵便局舎の所在地の行政区画、郡、区、市町村内の町若しくは字若しくはこれらの名称又は地番

4 法第百八十条第一項第一号に規定する郵便局株式会社に対し貸し付けられていた建物で政令で定めるものは、同号の郵便局株式会社との賃貸借契約の当事者である被相続人又は当該被相続人の相続人が有していた建物とする。

○ 郵政民営化に関する法人税及び相続税に係る課税の特例に関する省令 (平成19年財務省令第54号)(抜すい)

(相続税に係る課税の特例)

第二条 法第百八十条第一項第二号に規定する財務省令で定める証明は、総務大臣の次に掲げる事項を証する書類を相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第二十七条又は第二十九条の規定による申告書(これらの申告書に係る国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十八条第二項に規定する期限後申告書及びこれらの申告書に係る同法第十九条第三項に規定する修正申告書を含む。)に添付することにより行うものとする。

  1. 一 当該土地又は土地の上に存する権利が法第百八十条第一項第一号に規定する宅地等に該当する旨
  2. 二 法第百八十条第一項第二号に規定する相続人から相続の開始の日以後五年以上同項第一号に規定する郵便局舎を郵便局株式会社が引き続き借り受けることにより、当該土地又は土地の上に存する権利を同日以後五年以上当該郵便局舎の敷地の用に供する見込みである旨

2 令第二十条第一項第二号に規定する財務省令で定めるものは、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十五条第一項に規定する雑所得の基因となる土地又は土地の上に存する権利とする。

○ 旧日本郵政公社法(平成14年法律第97号)(抜すい)

(業務の範囲)

第十九条 公社は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。

  1. 一 郵便法(昭和二十二年法律第百六十五号)の規定により郵便の業務を行うこと。
  2. 二 郵便貯金法(昭和二十二年法律第百四十四号)の規定により郵便貯金の業務を行うこと。
  3. 三 郵便為替法(昭和二十三年法律第五十九号)の規定により郵便為替の業務を行うこと。
  4. 四 郵便振替法(昭和二十三年法律第六十号)の規定により郵便振替の業務を行うこと。
  5. 五 簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)の規定により簡易生命保険の業務を行うこと。
  6. 六 国の委託を受けて、印紙の売りさばきを行うこと。
  7. 七 国の委託を受けて、恩給その他の国庫金の支払を行うこと。
  8. 八 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

2〜4 (略)

(郵便局)

第二十条 公社は、前条第一項第一号から第五号までに掲げる業務及びこれらに附帯する業務を行うため、総務省令で定めるところにより、郵便局をあまねく全国に設置しなければならない。

2 前項の総務省令を定めるに当たっては、地域住民の利便の確保について配慮しなければならない。

○ 郵便局株式会社法(平成17年法律第100号)(抜すい)

(会社の目的)

第一条 郵便局株式会社(以下「会社」という。)は、郵便窓口業務及び郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を営むことを目的とする株式会社とする。

(定義)

第二条 この法律において「郵便窓口業務」とは、郵便窓口業務の委託等に関する法律(昭和二十四年法律第二百十三号)第二条に規定する郵便窓口業務をいう。

2 この法律において「郵便局」とは、会社の営業所であって、郵便窓口業務を行うものをいう。

(業務の範囲)

第四条 会社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むものとする。

  1. 一 郵便事業株式会社の委託を受けて行う郵便窓口業務
  2. 二 郵便事業株式会社の委託を受けて行う印紙の売りさばき
  3. 三 前二号に掲げる業務に附帯する業務

2 会社は、前項に規定する業務を営むほか、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むことができる。

  1. 一 地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律(平成十三年法律第百二十号)第三条第五項に規定する事務取扱郵便局において行う同条第一項第一号に規定する郵便局取扱事務に係る業務
  2. 二 前号に掲げるもののほか、銀行業及び生命保険業の代理業務その他の郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務
  3. 三 前二号に掲げる業務に附帯する業務

3 会社は、前二項に規定する業務のほか、前二項に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、前二項に規定する業務以外の業務を営むことができる。

4 会社は、第二項第二号に掲げる業務及びこれに附帯する業務並びに前項に規定する業務を営もうとするときは、あらかじめ、総務省令で定める事項を総務大臣に届け出なければならない。

○ 地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律(平成13年法律第120号)(抜すい)

(郵便局における事務の取扱い)

第二条 地方公共団体は、次に掲げる当該地方公共団体の事務を、当該地方公共団体において取り扱うほか、次条第一項の規定により当該地方公共団体が指定した郵便局において取り扱わせることができる。

  1. 一 戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第十条第一項の規定に基づく同項の戸籍の謄本若しくは抄本若しくは戸籍に記載した事項に関する証明書若しくは同法第百十七条の四第一項の磁気ディスクをもって調製された戸籍に記録されている事項の全部若しくは一部を証明した書面(以下この号において「戸籍謄本等」という。)の交付(当該戸籍に記載され、又は記録されている者に対するものに限る。)又は同法第十二条の二第一項の規定に基づく同項の除かれた戸籍の謄本若しくは抄本若しくは除かれた戸籍に記載した事項に関する証明書若しくは同法第百十七条の四第一項の磁気ディスクをもって調製された除かれた戸籍に記録されている事項の全部若しくは一部を証明した書面(以下この号において「除籍謄本等」という。)の交付(当該除かれた戸籍に記載され、又は記録されている者に対するものに限る。)の請求の受付及び当該請求に係る戸籍謄本等又は除籍謄本等の引渡し
  2. 二 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第二十条の十の規定に基づく同条の証明書(以下この号において「納税証明書」という。)の交付の請求の受付及び当該請求に係る納税証明書の引渡し
  3. 三 外国人登録法(昭和二十七年法律第百二十五号)第四条の三第二項の規定に基づく同項の登録原票の写し又は登録原票記載事項証明書(以下この号において「登録原票の写し等」という。)の交付の請求の受付及び当該請求に係る登録原票の写し等の引渡し
  4. 四 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第十二条第一項の規定に基づく同項の住民票の写し又は住民票記載事項証明書(以下この号において「住民票の写し等」という。)の交付の請求の受付及び当該請求に係る住民票の写し等の引渡し
  5. 五 住民基本台帳法第二十条第一項の規定に基づく同項の戸籍の附票の写し(以下この号において「戸籍の附票の写し」という。)の交付(当該戸籍の附票に記載されている者に対するものに限る。)の請求の受付及び当該請求に係る戸籍の附票の写しの引渡し
  6. 六 市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、市長又は区長とする。)が作成する印鑑に関する証明書(以下この号において「印鑑登録証明書」という。)の交付(当該印鑑登録証明書に記載されている者に対するものに限る。)の請求の受付及び当該請求に係る印鑑登録証明書の引渡し

(郵便局の指定等)

第三条 地方公共団体は、前条各号に掲げる事務を郵便局において取り扱わせようとするときは、次に掲げる基準に適合する郵便局を指定するものとする。

  1. 一 その人的構成に照らして、前条各号に掲げる事務のうち郵便局において取り扱う事務(以下「郵便局取扱事務」という。)を適正かつ確実に実施することができる知識及び能力を有していること。
  2. 二 郵便局取扱事務を適正かつ確実に実施するために必要な施設及び設備として総務省令で定める施設及び設備を備えていること。
  3. 三 個人情報の適正な取扱いを確保するための措置その他郵便局取扱事務を適正かつ確実に実施するために必要な措置として総務省令で定める措置が講じられていること。
  4. 四 その他総務省令で定める基準に適合するものであること。

2〜4 (略)

5 地方公共団体は、郵便局株式会社との協議により、第一項の規定により指定した郵便局(以下「事務取扱郵便局」という。)の郵便局取扱事務若しくは郵便局取扱事務を取り扱う期間を変更し、又は同項の規定による指定を取り消すことができる。この場合においては、前二項の規定を準用する。

○ 郵便窓口業務の委託等に関する法律(昭和24年法律第213号)(抜すい)

(定義)

第二条 この法律において「郵便窓口業務」とは、次に掲げる業務をいう。

  1. 一 郵便物の引受け
  2. 二 郵便物の交付
  3. 三 郵便切手類販売所等に関する法律(昭和二十四年法律第九十一号)第一条に規定する郵便切手類の販売
  4. 四 前三号に掲げる業務に付随する業務
(郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等について相続税に係る課税の特例の適用を受けている場合)
69の4─29 郵政民営化法第180条第1項の規定は、郵便局株式会社法(平成17年法律第100号)第2条第2項に規定する郵便局の用に供するため郵政民営化法第79条の規定により設立された郵便局株式会社(以下69の4─38までにおいて「郵便局株式会社」という。)に対し貸し付けられていた建物(以下69の4─38までにおいて「郵便局舎」という。)の敷地の用に供されていた土地又は土地の上に存する権利(以下69の4─38までにおいて「土地等」という。)について、既に同法第180条第1項の規定の適用を受けていない場合に限り適用があることに留意する。
(新設)
(説明)
 郵政民営化法第180条第1項の規定は、郵政民営化法の施行日(平成19年10月1日)前に、被相続人又はその被相続人の相続人と旧日本郵政公社との間の賃貸借契約に基づき、旧日本郵政公社法第20条第1項に規定する郵便局の用に供するため旧日本郵政公社に対し貸し付けられていた一定の建物の敷地の用に供されていた土地等のうち、郵政民営化法の施行日から被相続人に係る相続の開始の直前までの間において、賃貸借契約(郵政民営化法の施行日の直前に効力を有するものに限る。)の契約事項に一定事項以外の事項の変更がない賃貸借契約に基づき、引き続き郵便局株式会社法(平成17年法律第100号)第2条第2項に規定する郵便局の用に供するため郵便局株式会社に対し貸し付けられていた建物(以下「郵便局舎」という。)の敷地の用に供されていた土地等がその特例の適用対象となっているが、特例の適用を受けることができるのは、当該土地等について、既に郵政民営化法第180条第1項の規定の適用を受けたことがないものであることが要件の一つとされている(郵政民営化法第180条1三)。
 そこで、措通69の4─29では、そのことを留意的に明らかにした。
 なお、当該土地等について郵政民営化法第180条第1項の規定を既に適用している場合には、その後の相続において同項の規定の適用を受けることはできないのであるが、その場合であっても措法第69条の4に規定する要件を満たす場合には、同条第1項の規定の適用を受けることができることに留意する。
(「相続人」の意義)
69の4─30 郵政民営化法第180条第1項に規定する「相続人」には、相続を放棄した者及び相続権を失った者を含まないことに留意する。
 なお、「相続を放棄した者」及び「相続権を失った者」の意義については、相続税法基本通達3─1((「相続を放棄した者」の意義))及び3─2((「相続権を失った者」の意義))をそれぞれ準用する。
(新設)
(説明)
 郵政民営化法第180条第1項に規定する「相続人」については、相続を放棄した者及び相続権を失った者が含まれるか否か疑義が生ずるところであるが、同項第1号において「当該相続若しくは遺贈に係る被相続人又は当該被相続人の相続人」と規定されていることから、同項に規定する「相続人」とは、被相続人に係る相続において相続人である者となる。
 そこで、措通69の4─30では、そのことを留意的に明らかにした。
(参考)

○ 相続税法基本通達(抜すい)

(「相続を放棄した者」の意義)

3―1 法第3条第1項に規定する「相続を放棄した者」とは、民法第915条((相続の承認又は放棄をすべき期間))から第917条までに規定する期間内に同法第938条((相続の放棄の方式))の規定により家庭裁判所に申述して相続の放棄をした者(同法第919条第2項((相続の承認及び放棄の撤回及び取消し))の規定により放棄の取消しをした者を除く。)だけをいうのであつて、正式に放棄の手続をとらないで事実上相続により財産を取得しなかつたにとどまる者はこれに含まれないのであるから留意する。

(「相続権を失つた者」の意義)

3―2 法第3条第1項に規定する「相続権を失つた者」とは、民法第891条の各号((相続人の欠格事由))に掲げる者並びに同法第892条((推定相続人の廃除))及び第893条((遺言による推定相続人の廃除))の規定による推定相続人の廃除の請求に基づき相続権を失つた者(同法第894条((推定相続人の廃除の取消し))の規定により廃除の取消しのあつた者を除く。)だけをいうのであるから留意する。

〔設例〕
《事例1》
郵政民営化法の施行日前に旧日本郵政公社との賃貸借契約を締結した契約当事者(建物所有者)は、その時点において被相続人の推定相続人であったが、施行日から被相続人に係る相続の開始の直前までの間において相続人の欠格事由(民法891)に該当し、被相続人に係る相続において相続人でなくなった場合
⇒ 郵政民営化法による相続税に係る課税の特例の適用を受けることはできない。
《事例2》
郵政民営化法の施行日前に旧日本郵政公社との賃貸借契約を締結した契約当事者(建物所有者)は、その時点において被相続人の推定相続人の推定相続人(例えば、被相続人の孫)であったが、施行日から被相続人に係る相続の開始の直前までの間において被相続人の推定相続人が亡くなったため、被相続人に係る相続において代襲相続により被相続人の相続人となった場合
⇒ 他の要件を満たせば郵政民営化法による相続税に係る課税の特例の適用を受けることができる。
《事例3》
郵政民営化法の施行日前に旧日本郵政公社との賃貸借契約を締結した契約当事者(建物所有者)は、その時点において被相続人の推定相続人(被相続人の子)であったが、施行日から被相続人に係る相続の開始の直前までの間において被相続人の推定相続人が亡くなったため、その推定相続人の相続において推定相続人の相続人(被相続人の孫)が賃貸借契約に係る建物(郵便局舎)を相続し、郵便局株式会社との契約当事者となり、その後被相続人に係る相続において代襲相続により被相続人の相続人となった場合
⇒ 郵政民営化法による相続税に係る課税の特例の適用を受けることはできない。
(理由) 代襲相続により相続人となった者は、被相続人に係る相続における相続人であるが、当該相続人は、被相続人の相続開始前に当該被相続人の推定相続人の死亡により賃貸借契約に係る建物(郵便局舎)を取得し、契約当事者となっている。したがって、郵政民営化法の施行日前に旧日本郵政公社との賃貸借契約の契約当事者ではなく、また、郵政民営化法施行日以後の契約当事者の変更は、郵政民営化法第180条第1項第1号に規定する契約事項の変更に該当するため、郵政民営化法第180条第1項の規定の適用を受けることはできない。
(特定宅地等の範囲)
69の4─31 郵政民営化法第180条第1項の規定は、郵便局舎の敷地の用に供されていた土地等を被相続人が法施行日前から相続の開始の直前まで引き続き有している場合に限り適用されることに留意する。
(新設)
(説明)
 旧措法第69条の4第1項に規定する小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例においては、被相続人の宅地等の取得の時期に関わらず特定郵便局の事業の用に供されていた宅地等であれば、「国の事業の用に供されている宅地等」として同項第2号の規定の適用(当該宅地等が同条第3項第3号に規定する国営事業用宅地等に該当する場合には、同条第1項第1号の規定の適用)を受けることができたが、郵政民営化法による相続税に係る課税の特例においては、特例の適用対象となる土地等は、郵政民営化法の施行日(平成19年10月1日)前から相続開始の直前まで被相続人が引き続き有していたものであることが要件の一つとされている(郵政民営化法180条1、郵政民営化法施行令20条1一)。
 そこで、措通69の4─31では、そのことを留意的に明らかにした。
(建物の所有者の範囲)
69の4─32 郵政民営化法第180条第1項の規定は、同項第1号に規定する賃貸借契約の当事者である被相続人又は被相続人の相続人が、郵便局舎を法施行日前から有していた場合に限り適用されることに留意する。
(新設)
(説明)
旧措法第69条の4第1項に規定する小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例においては、特定郵便局の事業の用に供されていた宅地等であれば、特定郵便局の建物の所有者が誰であるか、誰が旧日本郵政公社と賃貸借契約を締結していたか、また、その賃貸借契約の時期がいつかに関わらず「国の事業の用に供されている宅地等」として同項第2号の規定の適用(当該宅地等が同条第3項第3号に規定する国営事業用宅地等に該当する場合には、同条第1項第1号の規定の適用)を受けることができたが、郵政民営化法による相続税に係る課税の特例においては、特例の適用対象となる土地等の上に存する郵便局舎の用に供されている建物を郵便局株式会社との賃貸借契約の当事者である被相続人又はその被相続人の相続人が郵政民営化法の施行日(平成19年10月1日)前から有していたものであることが要件の一つとされている(郵政民営化法180条1、郵政民営化法施行令20条2)。
 そこで、措通69の4─32では、そのことを留意的に明らかにした。
〔設例〕

郵政民営化法の施行日前に旧日本郵政公社との賃貸借契約を締結した契約当事者(建物所有者)は、その時点において被相続人の推定相続人(被相続人の子)であったが、施行日から被相続人に係る相続の開始の直前までの間において被相続人の推定相続人が亡くなったため、その推定相続人の相続において推定相続人の相続人(被相続人の孫)が賃貸借契約に係る建物を相続し、郵便局株式会社との契約当事者となり、その後被相続人の相続において代襲相続により被相続人の相続人となった場合
⇒ 郵政民営化法による相続税に係る課税の特例の適用を受けることはできない。

(注)建物所有者の変更に伴う賃貸借契約の当事者の変更は、郵政民営化法第180条第1項第1号に規定する契約事項の変更にも該当する。

(特定宅地等とならない部分の範囲)
69の4─33 特定宅地等となる土地等とは、当該土地等のうちに郵便局株式会社法第4条第1項に規定する業務(同条第2項に規定する業務を併せて行っている場合の当該業務を含む。以下同じ。)の用に供されていた部分以外の部分があるときは、当該業務の用に供されていた部分に限られることに留意する。
(注)郵便局株式会社に対し貸し付けられている郵便局舎で、例えば、当該郵便局株式会社から郵政民営化法第70条の規定により設立された郵便事業株式会社に転貸される部分は、郵便局株式会社法第4条第3項に規定する業務の用に供される部分であるため郵政民営化法第180条第1項の規定の適用はないことに留意する。
 ただし、当該部分が措置法第69条の4第1項第2号に規定する小規模宅地等に該当するときは、同号の規定の適用があることに留意する。
(新設)
(説明)
 郵政民営化法第180条第1項の規定の適用対象となる土地等は、郵便局株式会社が郵便局株式会社法第4条第1項に規定する業務(同条第2項に規定する業務を併せて行っている場合の当該業務を含む。以下同じ。)の用に供されていた部分に限られており(郵政民営化法180条1、郵政民営化法施行令20条1)、郵便局舎の内、いわゆる配達センターの部分は、郵便局株式会社が郵便事業株式会社に転貸し、郵便事業株式会社の本来業務の用に供するものとして使用されていることから、同条第3項に規定する業務の用に供する部分に該当し、同条第1項に規定する業務の用に供する部分には該当しないこととなるため、当該部分については、郵政民営化法第180条第1項の規定の適用を受けることはできない。
 そこで、措通69の4─33では、そのことを留意的に明らかにした。
 なお、郵政民営化法による相続税に係る課税の特例を受けることができない場合であっても、当該部分が措法69条の4第1項第2号に規定する小規模宅地等に該当するときは、同号の適用を受けることができることに留意する必要がある。通達(注)のただし書は、そのことを留意的に明らかにした。
(参考)

○ 郵便局株式会社法(平成17年法律第100号)(抜すい)

(業務の範囲)

第四条 会社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むものとする。

  1. 一 郵便事業株式会社の委託を受けて行う郵便窓口業務
  2. 二 郵便事業株式会社の委託を受けて行う印紙の売りさばき
  3. 三 前二号に掲げる業務に附帯する業務

2 会社は、前項に規定する業務を営むほか、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むことができる。

  1. 一 地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律(平成十三年法律第百二十号)第三条第五項に規定する事務取扱郵便局において行う同条第一項第一号に規定する郵便局取扱事務に係る業務
  2. 二 前号に掲げるもののほか、銀行業及び生命保険業の代理業務その他の郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務
  3. 三 前二号に掲げる業務に附帯する業務

3 会社は、前二項に規定する業務のほか、前二項に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、前二項に規定する業務以外の業務を営むことができる。

4 会社は、第二項第二号に掲げる業務及びこれに附帯する業務並びに前項に規定する業務を営もうとするときは、あらかじめ、総務省令で定める事項を総務大臣に届け出なければならない。

(郵便局舎の敷地を被相続人から無償により借り受けている場合)
69の4─34 被相続人の相続の開始の直前において、当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の相続人が、当該被相続人から無償により借り受けていた土地等を郵便局舎の敷地の用に供していた場合において、当該土地等が特定宅地等に該当しない場合であっても、当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の相続人が、当該土地等の上に存する郵便局舎を郵便局株式会社に対し相当の対価を得て継続的に貸し付けていた場合には、措置法第69条の4第1項第2号の規定の適用があることに留意する。
(新設)
(説明)
 郵政民営化法第180条第1項の規定の適用は、土地等の所有者が被相続人で、建物の所有者が被相続人の相続人である場合に、その土地等の使用関係について使用貸借であるか賃貸借であるかに関わらず同項に規定する要件を満たす場合に限り同項の規定の適用を受けることができるが、郵政民営化法の施行日前からの旧日本郵政公社(施行日以後の契約当事者は郵便局株式会社)との継続賃貸借要件、相続開始日以後の郵便局舎の敷地の供用見込年数要件など、同項に規定する要件を満たさない場合でも、被相続人の相続の開始の直前において、当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の相続人が、当該被相続人から無償(相当の対価に至らない程度の対価の授受がある場合を含む。)により借り受けていた土地等を郵便局舎の敷地の用に供していた場合で、当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の相続人が、当該土地等の上に存する郵便局舎を郵便局株式会社に対し相当の対価を得て継続的に貸し付けていた場合には、当該土地等は、事業の用に供されている宅地等に該当することとなるので措法第69条の4第1項第2号の規定の適用を受けることができる。
 そこで、措通69の4─34では、郵政民営化法第180条第1項の規定の適用を受けることができない場合であっても、措法69条の4第1項に規定する事業の用に供されている宅地等に該当する場合には、同項第2号の規定の適用を受けることができることを留意的に明らかにした。
 なお、被相続人が所有する土地等と建物所有者との使用関係について賃貸借である場合に、当該土地等の貸付けが相当の対価を得て継続的に行われているときには、当該土地等は、事業の用に供されている宅地等に該当することとなるので措法第69条の4第1項第2号の規定の適用を受けることができるのは言うまでもない。
(賃貸借契約の変更に該当しない事項)
69の4─35 郵政民営化法第180条第1項第1号に規定する旧公社との間の賃貸借契約においてあらかじめ契約条項として盛り込まれた賃貸借料算出基準に基づく賃貸借料の改定又は賃貸借契約の目的物に変更がないと認められる面積に増減が生じない郵便局舎の修繕、耐震工事若しくは模様替えは、同号に規定する賃貸借契約の契約事項の変更に該当しないことに留意する。
(新設)
(説明)
 郵政民営化法による相続税に係る課税の特例については、郵政民営化法の施行日(平成19年10月1日)から被相続人に係る相続の開始の直前までの間において、郵便局株式会社との間の賃貸借契約の契約事項のうち、1郵便局株式会社の営業所、事務所その他の施設(以下「支社等」という。)の名称若しくは所在地又は支社等の長、2被相続人又はその被相続人の相続人の氏名又は住所、3契約期間、4郵便局舎の所在地の行政区画、郡、区、市町村内の町若しくは字若しくはこれらの名称又は地番、以外の契約事項に変更がない賃貸借契約に基づき郵便局の用に供するため郵便局株式会社に対し貸し付けられていた建物の敷地の用に供されていた土地等であることが要件の一つとされている(郵政民営化法1801一、郵政民営化法施行令203)。
 ところで、「郵便局局舎の賃貸借料算出基準」(以下「基準」という。)に基づく賃貸借料の変更については、郵便局舎の所有者(甲)と郵便局株式会社(乙)との間で締結されている賃貸借契約書の標準様式によると、同契約書第3条第2項において「前項に定める賃貸借料は、乙が別に定める『郵便局局舎の賃貸借料算出基準』に基づいて算出するものとし、算出した額に改定が生じる場合は、乙は改定後の賃貸借料を甲に通知するものとします。」と規定されており、当該基準が契約の一部を構成すると考えられることから、当該基準に基づき賃貸借料の変更があったとしても、郵政民営化法第180条第1項第1号に規定する賃貸借契約の契約事項の変更には該当しない。
 また、面積に増減が生じない郵便局舎の修繕、耐震工事又は模様替えについては、建物の維持管理を目的に行われることから当該行為が行われた場合にも、郵政民営化法第180条第1項第1号に規定する賃貸借契約の契約事項の変更には該当しない。
 そこで、措通69の4─35では、そのことを留意的に明らかにした。
(相続の開始以後の郵便局株式会社への郵便局舎の貸付)
69の4─36 郵政民営化法第180条第1項の規定は、相続又は遺贈により郵便局舎の敷地の用に供されている土地等を取得した相続人が当該土地等の上に存する郵便局舎である建物の全部又は一部を有し、かつ、郵便局株式会社との賃貸借契約の当事者として当該郵便局舎を貸し付けている場合に限り適用があることに留意する。
(新設)
(説明)
 郵政民営化法第180条第1項の規定の適用は、相続の開始以後、相続又は遺贈により土地等を取得した相続人が当該土地等の上に存する郵便局舎である建物の全部又は一部を有し、かつ、賃貸借契約の当事者として郵便局舎を郵便局株式会社に貸し付けている場合に限り、その適用を受けることができる(郵政民営化法第180条1二)
 そこで、措通69の4─36では、そのことを留意的に明らかにした。
〔設例〕

いずれの事例も相続の開始以後における建物所有者が郵便局株式会社との賃貸借契約の当事者となっている。

《事例1》
事例1の図
○ A及びBともに郵便局株式会社との契約当事者(建物所有者)であることから、他の要件を満たせば郵政民営化法による相続税に係る課税の特例の適用を受けることができる。
《事例2》
事例2の図
○ Aは、郵便局株式会社との契約当事者(建物所有者)であることから、他の要件を満たせば郵政民営化法による相続税に係る課税の特例の適用を受けることができるが、Cは、郵便局株式会社との契約当事者(建物所有者)ではないことから同特例の適用を受けることはできない。
《事例3》
事例3の図
○ Aは、郵便局株式会社との契約当事者(建物所有者)であることから、他の要件を満たせば郵政民営化法による相続税に係る課税の特例の適用を受けることができるが、Bは、郵便局株式会社との契約当事者(建物所有者)ではないことから同特例の適用を受けることはできない。
《事例4》
事例4の図
○ A、Bともに郵便局株式会社との契約当事者(建物所有者)であることから、他の要件を満たせば郵政民営化法による相続税に係る課税の特例の適用を受けることができる。なお、A及びBは建物の共有持分を有しているが、郵政民営化法第180条の規定上、建物に対する持分概念が規定されていないことから、A及びBとも相続等により取得した土地等の全部について特例の適用を受けることができる。
(災害のため業務が休業された場合)
69の4─37 郵政民営化法第180条第1項第2号の要件の判定において、郵便局舎が災害により損害を受けたため、相続税の申告期限において郵便局の業務が休業中である場合には、同号に規定する相続人から郵便局株式会社が郵便局舎を借り受けており、かつ、郵便局の業務の再開のための準備が進められていると認められるとき(同号の証明がされたものに限る。)に限り、当該土地等を相続の開始の日以後5年以上当該郵便局舎の敷地の用に供する見込みであるものとして取り扱う。
(新設)
(説明)
 郵政民営化法第180条第1項の規定の適用は、相続の開始の日以後5年以上郵便局舎を郵便局株式会社が引き続き借り受けることにより、その土地等を同日以後5年以上当該郵便局舎の敷地の用に供する見込みであることがその要件の一つとされている(郵政民営化法第180条1二)。したがって、郵便局舎が災害により損害を受けたため、相続税の申告期限において郵便局の業務が休業しているときには、当該土地等が郵便局の業務の用に供されていないことから同項の適用について疑義が生じる。
 しかしながら、このような場合については、当該業務の休業の理由が納税者及び郵便局株式会社の意思に基づかないやむを得ない事情によるものであることに照らし、休業中であることのみをもって同項に規定する特定宅地等に該当しないとすることは適当でないと考えられる。
 そこで、措通69の4─37では、郵便局舎が災害により損害を受けたため、相続税の申告期限において郵便局の業務が休業中であっても、郵便局株式会社との賃貸借契約が継続しており、かつ、郵便局の業務の再開のための準備が進められていると認められるとき(同項第2号の証明がされたものに限る。)に限り、当該土地等を相続の開始の日以後5年以上当該郵便局舎の敷地の用に供する見込みであるものとして取り扱うことを明らかにした。
(宅地等の一部の譲渡又は郵便局株式会社との賃貸借契約の解除等があった場合)
69の4─38 郵政民営化法第180条第1項第2号に規定する「当該相続又は遺贈により当該宅地等の取得をした相続人から当該相続の開始の日以後5年以上当該郵便局舎を郵便局株式会社が引き続き借り受けることにより、当該宅地等を同日以後5年以上当該郵便局舎の敷地の用に供する見込みであること」とは、当該相続又は遺贈により取得した郵便局舎の敷地の用に供されていた土地等の全部について当該郵便局舎の敷地の用に供する見込みである場合をいうのであって、例えば、被相続人に係る相続の開始の日以後から同号に規定する証明がされるまでの間に、当該土地等の一部が譲渡され、又は郵便局株式会社との賃貸借契約を解除された場合、若しくは、当該土地等の一部を譲渡し、又は郵便局株式会社との賃貸借契約を解除する見込みである場合は同項の規定の適用はないことに留意する。
(新設)
(説明)
 郵政民営化法第180条第1項第2号の規定では、「・・・当該郵便局舎を郵便局株式会社が引き続き借り受けることにより、当該宅地等を・・・当該郵便局舎の敷地の用に供する見込みであること」とされている。ここでいう「当該宅地等」とは、同項第1号に規定する「宅地等」であり、被相続人に係る相続の開始前に郵便局舎の敷地の用に供されていた宅地等の全部(全体)を指していることから、相続の開始の日以後から総務大臣の証明がされるまでの間に、例えば、郵便局舎の敷地の用に供されている土地等が譲渡され、又は郵便局株式会社との賃貸借契約を解除された場合、若しくは、当該土地等の一部を譲渡し、又は郵便局株式会社との賃貸借契約を解除する見込みである場合には、当該宅地等の全部(全体)を郵便局舎の敷地の用に供される見込みであるとはいえないことから同項の適用を受けることはできない。
 そこで、措通69の4─38では、そのことを留意的に明らかにした。