(法第9条の5の規定の適用がある場合)
9の5─1 受益者等が存しない信託については、法第9条の4第1項又は第2項の規定の適用の有無にかかわらず、当該信託について受益者等(同条第1項又は第2項の信託の残余財産の給付を受けることとなる者及び同項の次に受益者等となる者を含む。)が存することとなり、かつ、当該受益者等が、当該信託の契約締結時(令第1条の11各号に規定する時をいう。)における委託者の親族であるときは、法第9条の5の規定の適用があることに留意する。
(新設)
(説明)
 法第9条の4では、受益者等の存しない信託の効力が生ずる場合又は受益者等の存する信託について当該信託の受益者等が存しなくなった場合において、将来、受益者等となる者が委託者(法第9条の4第2項の次に受益者等となる者の前の受益者等を含む。以下同じ。)の親族等であるときは、当該受託者に対し贈与税又は相続税が課税されることとされた。
 また、法第9条の5では、受益者等の存しない信託について、当該信託の契約締結時において存しない者が当該信託の受益者等となる場合において、当該信託の受益者等となる者が当該信託の契約締結時等における委託者の親族等であるときは、その存しない者が、当該信託の受益者等となる時において、当該信託の受益者等となる者は、当該信託に関する権利を個人から贈与により取得したものとみなされ贈与税が課税されることとされた。
 ところで、法第9条の5の規定については、法第9条の4の規定の適用があったもの、例えば、まだ生まれていない子を受益者とする信託を設定し、当該信託の効力が生じた時に当該信託の受託者に対して贈与税又は相続税が課税されたものについて、当該生まれていない子が出生し、当該信託の受益者となった時に適用されるのか疑義が生ずる。しかしながら、法第9条の5の規定の適用については、条文上、法第9条の4の規定の適用があったものについて適用しない旨の規定がないことからすれば、当該生まれていない子が出生し、当該信託の受益者となった時に贈与税が課税されるのは明らかである。
 そこで、相基通9の5―1では、そのことを留意的に明らかにした。
受益者等が存しない信託