(信託が終了した場合)
9の2─5 法第9条の2第4項の規定の適用を受ける者とは、信託の残余財産受益者等に限らず、当該信託の終了により適正な対価を負担せずに当該信託の残余財産(当該信託の終了直前においてその者が当該信託の受益者等であった場合には、当該受益者等として有していた信託に関する権利に相当するものを除く。)の給付を受けるべき又は帰属すべき者となる者をいうことに留意する。
(新設)
(説明)
 法第9条の2第4項では、受益者等の存する信託が終了した場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者があるときは、当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となった時において、当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となった者は、当該残余財産(当該信託の終了直前においてその者が当該信託の受益者等であった場合には、当該受益者等として有していた信託に関する権利に相当するものを除く。以下この項において同じ。)を当該信託の受益者等から贈与(当該受益者等であった者の死亡に基因して当該信託が終了した場合には遺贈)により取得したものとみなされ、贈与税(遺贈の場合は相続税)が課税されることとされた。
 ところで、法第9条の2第4項では、贈与税又は相続税の課税対象とされる者を残余財産受益者等に限定していないことから、信託の終了により適正な対価を負担せずに当該信託の残余財産の給付を受けるべき又は帰属すべき者となる者、例えば、受益権が複層化された信託(受益者連続型信託以外の信託に限る。)の元本受益者が、信託の終了により元本受益権相当部分以外の残余財産の給付を受けた場合には、同項の規定の適用があることになる。
 そこで、相基通9の2─5では、信託が終了した場合において、法第9条の2第4項の規定の適用を受ける者の範囲を留意的に明らかにした。
(公益信託の委託者の地位が異動した場合)
9の2─6 公益信託の委託者の地位が異動した場合には、それに伴い当該公益信託に関する権利も異動するのであるが、相続税又は贈与税の課税上、当該公益信託のうち所得税法施行令(昭和40年政令第96号)第217条の2第1項各号に掲げる要件を満たすものに関する権利の価額は零として取り扱うものとする。
(注) 9の4─2参照
(新設)
(説明)
 公益信託の委託者は、法第9条の2第5項に規定する特定委託者に該当するものとみなして、相続税法の規定を適用するとされているが(附則24)、公益信託のうち所得税法施行令(昭和40年政令第96号)第217条の2第1項各号に掲げる要件を満たすもの(以下「特定公益信託」という。)については、合意により終了できないものであり、かつ、信託が終了した場合において信託財産が国若しくは地方公共団体に帰属し、又は当該特定公益信託と類似の目的のための公益信託として継続することから、特定委託者の有する当該特定公益信託に関する権利は、極めて弱いものである。
 そこで、相基通9の2―6では、特定公益信託の委託者の地位が異動した場合には、当該信託に関する権利の価額は零として取り扱うことを留意的に明らかにした。