(個人とみなされるもの)
1の3・1の4共─2 相続税又は贈与税の納税義務者は、相続若しくは遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずべき贈与(以下「死因贈与」という。)を含む。以下同じ。)又は贈与(死因贈与を除く。以下同じ。)によって財産を取得した個人を原則とするが、次に掲げる場合(その贈与又は遺贈に係る財産の価額が法人税法(昭和40年法律第34号)の規定により社団若しくは財団又は法人(法第9条の4第3項の規定の適用により個人とみなされる社団若しくは財団又は法人を除く。)の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される場合を除く。)においては、それぞれ次に掲げるものは同項又は法第66条の規定により個人とみなされて相続税又は贈与税の納税義務者となるのであるから留意する。
(1) 法第9条の4第1項又は第2項に規定する信託の受託者(個人以外の受託者に限る。)について同条第1項又は第2項の規定の適用がある場合
(以下省略)
※下線部分が改正部分である。(改正)
(説明)
 信託法(平成18年法律第108号、以下「新信託法」という。)の制定等を踏まえ、平成19年度税制改正において、相続税法における信託課税の規定について所要の整備が行われ、当該整備の一環として法第9条の4((受益者等が存しない信託等の特例))の規定が創設された。
 同条の規定は、受益者等(法第9条の2第1項に規定する受益者等をいう。以下同じ。)の存しない信託の効力が生ずる場合又は受益者等が存する信託の受益者等が存しないこととなった場合について、当該信託の受益者等となる者が当該信託の委託者(法第9条の4第2項の次に受益者等となる者の前の受益者等を含む。以下この項において同じ。)の親族(令第1条の9に規定する者をいう。)であるときは、受益者等の存しない信託の効力が生じた時又は受益者等が存しないこととなった時において、当該信託の受託者(個人又は法人)が、当該信託に関する権利を当該信託の委託者から贈与又は遺贈により取得したものとみなして贈与税又は相続税を課税するものである。
 ところで、相続税又は贈与税の納税義務者は個人を原則とする(法1の3、1の4)が、税負担の軽減又は回避を防止するため、特定の場合には、個人以外の者を個人とみなして相続税又は贈与税の納税義務を負わせており、現行の相基通1の3・1の4共─2は、個人以外の者を個人とみなす場合を留意的に明らかにするものである。
 そこで、相基通1の3・1の4共─2では、法第9条の4の規定の適用を受けた受託者である法人が、個人とみなされて贈与税又は相続税が課税されることとされたことから、当該受託者が相続税又は贈与税の納税義務者に該当することを留意的に明らかにした。
 なお、同条の適用を受けた受託者(法人)は、法人税と贈与税又は相続税の双方の課税を受けることとなるため、相基通1の3・1の4共─2の本文のかっこ書に掲げる法人から除いたことに留意する。