(特定同族株式等の贈与の特例と住宅取得等資金の贈与の特例の重複適用)

70の3の3─1 措置法第70条の3の3第3項第1号に規定する特定受贈者(以下70の3の3─5までにおいて「特定受贈者」という。)が特定同族株式等の贈与を受けた年(措置法第70条の3の3第3項第1号ロに規定する選択年(以下70の3の4─3までにおいて「選択年」という。)に限る。)の前年以前において当該特定同族株式等の贈与をした者(以下70の3の3─5までにおいて「特定贈与者」という。)からの贈与により取得した住宅取得等資金について措置法第70条の3第1項の規定の適用を受けている場合には、当該特定同族株式等について措置法第70条の3の3第1項の規定の適用は受けられないのであるが、当該選択年中に当該特定贈与者(当該選択年の1月1日において60歳以上の者に限る。)からの贈与により取得した特定同族株式等及び住宅取得等資金がある場合には、同項及び措置法第70条の3第1項の規定の適用を受ける旨の贈与税の申告書を提出することにより双方の規定の適用を受けることができることに留意する。

(新設)
(説明)
 改正理由は、措通70の3─1の2と同旨。
(特定同族株式等を贈与により取得した年分以降に財産の贈与を受けた場合の取扱い)

70の3の3─2 措置法第70条の3の3第1項の規定の適用を受けた特定受贈者が、選択年分以降に当該特定受贈者に係る特定贈与者から財産の贈与を受けた場合には、当該特定贈与者が当該贈与をした年の1月1日において65歳未満であっても、当該財産については相続時精算課税が適用されることに留意する。

(注) 特定贈与者から選択年中に特定同族株式等とそれ以外の財産の贈与があった場合において、当該特定同族株式等以外の財産の贈与が当該特定同族株式等の贈与前にあったとしても、当該特定同族株式等について同項の規定の適用を受けるときには、当該特定同族株式等以外の財産についても相続時精算課税が適用されることに留意する。

(新設)
(説明)
 特定同族株式等の贈与の特例を適用した年分以降に、当該特定同族株式等の贈与をした者(以下「特定贈与者」という。)から贈与により財産を取得した場合には、たとえ当該特定贈与者の年齢が当該贈与をした年の1月1日において65歳未満であっても、財産の種類にかかわらず相続時精算課税が適用されることとされている(措法70の3の32)。 本特例は、特定同族株式等に係るものであることから、相続時精算課税の対象となるのは特定同族株式等に限るのではないかとの疑義が生じる。
 そこで、措通70の3の3―2では、財産の種類にかかわらず相続時精算課税が適用されることを留意的に明らかにした。
 なお、措通70の3の3―2の注書では、特定同族株式等の贈与を受けた者が、当該特定贈与者から同一年中に特定同族株式等以外の財産の贈与を受けている場合で、当該特定同族株式等について本特例の適用を受けるときには、当該特定同族株式等以外の財産の贈与が当該特定同族株式等の贈与の前になされたとしても、特定同族株式等以外の財産について相続時精算課税が適用されることを留意的に明らかにした。
(種類株式発行会社の定款に拒否権付種類株式の内容に関する事項が定められている場合)

70の3の3─3 会社法第2条第13号((定義))に規定する種類株式発行会社の定款においていわゆる拒否権付種類株式の内容に関する事項が定められている場合には、当該種類株式発行会社は措置法第70条の3の3第3項第3号に規定する特定同族法人に該当しないことに留意する。

(新設)
(説明)
 特定同族株式等の贈与の特例については、贈与財産である特定同族株式等の発行法人が会社法第2条第13号((定義))に規定する種類株式発行会社である場合には、ある種類の株式の内容として同法第108条第1項第8号に掲げる事項について定款の定めを設けていないことが要件の一つとされている(措法70の3の33三)。
 そこで、措通70の3の3─3では、当該事項は、いわゆる拒否権付種類株式の内容に関する事項が定められている場合をいい、当該事項が定款に定められている場合には、当該種類株式発行会社については措法第70条の3の3第3項第3号に規定する特定同族法人(以下「特定同族法人」という。)に該当しないことを留意的に明らかにした。
(参考)
会社法(平成17年7月26日法律第86号)
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
  • 一〜十二 (省略)
  • 十三 種類株式発行会社 剰余金の配当その他の第百八条第一項各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する株式会社をいう。
(以下省略)
(異なる種類の株式)
第百八条 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、委員会設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
  • 一〜七 (省略)
  • 八 株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社(第四百七十八条第六項に規定する清算人会設置会社をいう。以下この条において同じ。)にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの
(以下省略)
(特定同族株式等の贈与があった年中に特定贈与者又は特定受贈者が死亡した場合)

70の3の3─4 特定同族株式等の贈与があった選択年中に当該特定同族株式等に係る特定贈与者又は特定受贈者が死亡した場合には、措置法第70条の3の3第1項の規定の適用はないことに留意する。

(新設)
(説明)
 特定同族株式等の贈与の特例の適用要件の1つとして、措法第70条の3の3第3項第1号に規定する特定受贈者(以下「特定受贈者」という。)が贈与により取得した特定同族株式等について特定同族株式の贈与の特例又は措法第70条の3の4第1項(以下「特定同族株式等特別控除の特例」という。)の規定の適用を受ける年(以下「選択年」という。)の翌年3月15日から4年を経過する日(1特定受贈者又は当該特定受贈者に特定同族株式等を贈与した特定贈与者が選択年の翌年1月1日から当該経過する日までの間(以下「選択期間」という。)に死亡した場合には、当該死亡の日、2選択期間内に当該特定同族株式等に係る特定同族法人が解散した場合には、その解散の日の翌日、3選択期間内に当該特定同族株式等に係る特定同族法人について会社更生法の規定による更生手続の決定があった場合には、その決定日の翌日をいう。以下「確認日」という。)において、当該特定受贈者が措法第70条の3の3第3項第1号ロ(1)から(3)までのすべての要件を満たし、かつ、当該特定同族株式等に係る法人が同項第3号(ハを除く。)に掲げる要件のすべてを満たしていることなどとされている(措法70の3の31)。したがって、選択年中において特定受贈者又は特定贈与者が死亡した場合には、上記の要件を満たさないことになることから、本特例の適用が受けられないのは明らかである。
 そこで、措通70の3の3─4では、そのことを留意的に明らかにした。
(提出期限までに確認書の提出がなかった場合等)

70の3の3─5 措置法第70条の3の3第5項の規定の適用がある場合の特定受贈者は、選択年から措置令第40条の5の3第3項各号に規定するいずれかの事由が生じた日の属する年の前年までの間に当該特定受贈者に係る特定贈与者からの贈与により取得した財産(相続時精算課税の適用を受けたものに限る。)のうち当該選択年の翌年以降に贈与により取得した次に掲げる財産を除き、措置法第70条の3の3第5項に規定する提出期限(以下70の3の3─7までにおいて「提出期限」という。)までに当該財産に係る各年分の贈与税についての修正申告書を提出し、かつ、当該提出期限までに当該修正申告書の提出により納付すべき税額を納付しなければならないことに留意する。

(1) 当該贈与を受けた年の1月1日において65歳以上の特定贈与者から特定受贈者が贈与を受けた財産で、提出期限までに当該財産に係る届出書を選択年の年分の修正申告書に添付して提出しているもの

(2) 当該贈与を受けた年の1月1日において65歳未満の特定贈与者から特定受贈者が贈与を受けた住宅取得等資金(当該住宅取得等資金に係る贈与税の申告において措置法第70条の3の2第1項の規定の適用を受けているものに限る。)で、提出期限までに当該住宅取得等資金に係る同法第70条の3第1項において準用する届出書を選択年の年分の修正申告書に添付して提出しているもの

(注) 当該修正申告書に係る贈与税は、当該特定受贈者が選択年中に当該特定贈与者から贈与により取得した住宅取得等資金について措置法第70条の3第1項の規定の適用を受けている場合を除き、暦年課税により計算することに留意する。

(新設)
(説明)
 特定同族株式等の贈与の特例の適用を受けた後に、確認日において一定の要件を満たしていない場合には、選択年分以降に当該特定同族株式等に係る特定贈与者から贈与により取得した財産について相続時精算課税の適用が受けられなくなることから、当該確認日の翌日から2月を経過する日の前日(以下「提出期限」という。)までに、暦年課税により計算した修正申告書を提出しなければならないこととされている(措法70の3の35)。
 ただし、次に掲げる財産で、それぞれに掲げる手続を行ったものについては、引き続き相続時精算課税の適用が認められることとされている(措法70の3の367)。

(1) 選択年分以降の年の1月1日おいて65歳以上の特定贈与者から特定受贈者が贈与により取得した財産 提出期限までに当該財産に係る相続税法第21条の9第2項の届出書(以下「届出書」という。)を選択年の修正申告書に添付して提出しているもの

(2) 選択年分以降の年の1月1日において65歳未満の特定贈与者から特定受贈者が贈与により取得した住宅取得等資金(当該住宅取得等資金に係る贈与税の申告において措法第70条の3の2第1項((住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税に係る贈与税の特別控除の特例))の規定の適用を受けているものに限る。) 提出期限までに当該住宅取得等資金に係る措法第70の3第1項において準用する届出書を選択年の修正申告書に添付して提出しているもの

そこで、措通70の3の3─5では、そのことを留意的に明らかにした。
(参考)
届出書の再提出のイメージ
届出書の再提出のイメージ図
(期限後申告等に係る「特定の贈与者から特定同族株式等の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例」の適用)

70の3の3─6 措置法第70条の3の3第1項の規定は、期限後申告若しくは修正申告又は更正若しくは決定に係る贈与税については、適用がないことに留意する。

(新設)
(説明)
 措法第70条の3の3第1項の規定には、制度上、宥恕規定が設けられていないことから、期限後申告若しくは修正申告又は更正若しくは決定に係る贈与税については、適用できないこととなる。
 そこで、措通70の3の3─6では、そのことを留意的に明らかにした。
(特例の適用要件に該当しないものについて証明書の提出があった場合)

70の3の3─7 措置法第70条の3の3第1項の規定は、提出期限までに同条第1項に規定する確認書の提出があった場合であっても、税務署長において同項の要件を満たしていないと認めるときは、適用がないことに留意する。

(新設)
(説明)
 特定同族株式等の贈与の特例の適用を受けるためには、確認日の翌日から2月以内に確認書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされている(措法70の3の35)。そして、この確認書とは、具体的には、当該特定受贈者が措法第70条の3の3第3項第1号ロ(1)から(3)までのすべての要件を満たし、かつ、当該特定同族株式等に係る特定同族法人が同項第3号(ハを除く。)に掲げる要件のすべてを満たしていることについて当該特定同族法人の本店又は主たる事務所を所轄する経済産業局長が、確認をし、証明した書類である。
 しかしながら、提出期限までに確認書の提出があった場合であっても、確認書に記載された事項と異なる事実が存することが判明した場合には、本特例の適用が受けられないことになる(措法70の3の35、措令40の5の33)。
 措通70の3の3─7では、そのことを留意的に明らかにした。