問1

 平成18年5月1日前に贈与により取得した特定受贈同族会社株式等について、会社分割等があった場合において、措置法令第40条の2の2第10項から第12項の規定は適用されるか。

(答)

 措置法令第40条の2の2第10項から第12項の規定は適用される。

(解説)
 措置法令第40条の2の2第10項から第12項の規定は、会社法の施行日(平成18年5月1日)以後に相続又は遺贈により取得した財産について特定事業用資産の特例の適用を受ける場合に適用される。そして、ここでいう「相続又は遺贈により取得した財産」には、相続税法第21条の15第1項の規定により相続税の課税価格に加算される特定受贈同族会社株式等又は相続税法第21条の16第1項の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる特定受贈同族会社株式等も含まれる。
 したがって、平成18年5月1日前に贈与により取得した特定受贈同族会社株式等について、同日前又は同日以後に会社分割等があった場合においても、同日以後に相続又は遺贈により取得した財産について特定事業用資産の特例の適用を受けるときには、措置法令第40条の2の2第10項から第12項の規定が適用されることになる。

【関係法令通達】
 措置法令第40条の2の2第10項〜第12項
 平成18年改正措置法令附則第1条第7号

問2

 措置法第69条の5第1項の規定の適用を受けない特定受贈同族会社株式等について会社分割等があった場合において、当該特定受贈同族会社株式等及び特定受贈同族会社株式等に係る対応株式の価額の計算は必要か。

(答)

 特定受贈同族会社株式等について会社分割等があった場合において、当該特定受贈同族会社株式等及び特定受贈同族会社株式等に係る対応株式(措置法令第40条の2の2第11項に規定する対応株式をいう。以下同じ。)について特定事業用資産の特例の適用を受けないときには、措置法令第40条の2の2第10項及び第11項に規定する特定受贈同族会社株式等及び特定受贈同族会社株式等に係る対応株式の価額の計算は必要ない。
(注) 問7参照。

【関係法令通達】
 措置法第69条の5第1項、第2項第7号
 措置法令第40条の2の2第10項〜第12項

問3

 法人の分割に際し特定事業用資産相続人等が、特定受贈同族会社株式等に対応する分割承継法人の株式のほかに金銭その他の資産の交付を受けた場合の措置法令第40条の2の2第10項第3号イの金額はどのように計算するのか。
(設例) 交付を受けた資産の内訳

(1) 分割承継法人の株式の価額 5,000,000円

(2) 金銭(その他資本剰余金の減少に伴うもの。) 100,000円

(注) 5,100,000円((1)+(2))のうち配当所得の対象となる金額 1,020,000円
(内株式の価額に相当する金額1,000,000円)

(答)

 次の計算式により、措置法令第40条の2の2第10項第3号イの金額は、80,000円となる。

【計算式】

100,000円  −  (1,020,000円−1,000,000円)  = 80,000円
分割承継法人の
株式又は出資以
外の金銭その他
の資産の金額
(A)
  (A)に係る配当所得の対象
となる金額(分割承継法人
の株式又は出資に係る
配当所得の対象となる
金額は含まれない。)
   

(解説)
法人の分割(措置法令第40の2の2第11項第4号に掲げる法人の分割に当たらない法人の分割をいう。)があった場合の同条第10項第3号イに掲げる金額(以下本問において「イの金額」という。)は、分割によって分割法人(法人税法第2条第12号の2に規定する「分割法人」をいう。)の株主又は社員である特定事業用資産相続人等が交付を受けた分割承継法人(同条第12号の3に規定する「分割承継法人」をいう。)の株式又は出資以外の金銭その他の資産の金額から、当該金額のうち所得税法第24条第1項又は第25条第1項の規定により配当所得の対象とされる金額を控除することとしている(措置通69の5−11。上記計算式参照。)。

(参考)
措置法令第40条の2の2第10項第3号イの規定どおりに「イの金額」を計算すると次のとおりとなる。

【計算式】

(5,000,000円+100,000円) (5,000,000円 + (1,020,000円 − 1,000,000円))= 80,000円
剰余金の配当として
交付を受けた金銭そ
の他の資産の金額
  株式及び出資に
係る価額
配当所得の対象
となる金額(B)
(B)のうち当該株
式又は出資に係る
配当所得の対象と
なる金額
 

設例における措置法令第40条の2の2第10項第3号イの規定のイメージ

設例における措置法令第40条の2の2第10項第3号イの規定のイメージ図

(注) 上図において株式又は出資の価額(5,000,000円)のうち、配当所得の対象となる金額(1,000,000円)は、「配当等とみなす金額に関する支払調書」上の「配当等とみなされる金額の総額」欄の総額を「計」欄の価額で除して得た額に「株式又は出資」欄の価額を乗じて得た金額となる。

【計算式】

「配当等とみなされる金額の総額」欄の総額 × 「株式又は出資」欄の価額

「計」欄の価額
配当等とみなす金額に関する支払い調書

【関係法令通達】
 措置法令第40条の2の2第10項第3号イ
 措置通69の5−11
 所得税法施行規則別表第5(7)

問4

 措置法令第40条の2の2第10項第3号イに規定する「株式及び出資の価額」の算定はどのように行うのか。

(答)

 「株式及び出資の価額」の算定は不要である。

(解説)
 措置法令第40条の2の2第10項から第12項の計算に当たっては、問3のとおり措置法令第40条の2の2第10項第3号イに規定する「株式及び出資の価額」は考慮する必要はないことから、改めて当該価額を算定することは不要である(措置通69の5-11)。
 なお、「株式及び出資の価額」は、「配当等とみなす金額に関する支払調書」(所得税法施行規則別表第5(7))上の「株式又は出資」欄の価額(ただし、当該欄の価額は株式又は出資の1株又は1口の価額である。問3参照。)となる。

【関係法令通達】
 措置法令第40条の2の2第10項第3号イ
 措置通69の5−11

問5

 合併に際し合併法人から端数株式の譲渡代金を取得した場合、当該譲渡代金は「特定(受贈)同族会社株式等について会社分割等があった場合の特例の対象となる価額等の計算明細」のいずれの欄に記載すればよいか。

(答)

 端数株式の譲渡代金は計算明細に記載する必要はない。

(解説)
 分割等対象株式等の発行法人が行った合併が措置法令第40条の2の2第11項第3号に掲げる合併に該当するかどうかの判定をする場合において、合併法人(法人税法第2条第12号に規定する「合併法人」をいう。)が合併に際し、被合併法人(同条第11号に規定する「被合併法人」をいう。)の株主に交付する株式に端数株式が生じたため、その端数の合計数に相当する株式を他に譲渡し、その譲渡代金を当該株主に交付したときは、当該株主に対してその端数株式を交付したものとして取り扱うこととしている(「特定(受贈)同族会社株式等について会社分割等があった場合の特例の対象となる価額等の計算明細」の10欄に交付を受けた株式と端数株式の合計株数を記入する(措置通69の5−14)。)ことから、分割等対象株式等の価額等の計算を行う計算明細に当該端数株式の譲渡代金を記載する必要はない。

【関係法令通達】
 措置通69の5−14

(参考) 特定(受贈)同族会社株式等について会社分割等があった場合の特例の対象となる価額等の計算明細(相続税の申告書第11・11の2表の付表3の2)(PDFファイル/267KB)

問6

 特定事業用資産相続人等(甲)が有する特定受贈同族会社株式等に係るA社について法人の分割が行われB社が新設された。甲はA社より対応株式としてB社の株式の交付を受けた。
 この場合、特定事業用資産の特例の適用要件の一つであるB社の役員である期間はどのように判定するのか。

(設例)

・ A社株式の贈与の日 平成18年1月1日

・ A社の会社分割の日 平成19年3月31日

・ B社の設立の日 平成19年3月31日

・ 平成18年1月1日から平成19年3月31日の間においてA社において役員であった期間 6か月

(答)

 B社(対応株式)の役員である期間の判定の始期は、A社株式の贈与のあった日の平成18年1月1日となる。
 また、B社の役員である期間の判定に当たり、平成18年1月1日からB社設立の日(平成19年3月31日)までの期間においてA社(特定受贈同族会社株式等)の役員であった期間(6か月)は、B社の役員である期間とみなして判定を行う。

(解説)
 措置法令第40条の2の2第11項各号に掲げる事由(会社分割等)により特定事業用資産相続人等が、特定受贈同族会社株式等に係る対応株式を取得した場合には、当該対応株式を当該特定事業用資産相続人等が当該特定受贈同族会社株式等に係る贈与の時から引き続き有する特定受贈同族会社株式等とみなすとしている(措置法令40の2の211前段、措置通69の5−16(注)2)。

(参考)
 役員の期間について
 特定事業用資産相続人等とは、特定受贈同族会社株式等に係る贈与の時から被相続人である特定贈与者の死亡により開始した相続税の申告期限を経過するときまでの間のうち、原則として次の1又は2の期間において、措置法第69条の5第1項に規定する選択特定事業用資産である特定受贈同族会社株式等に係るすべての法人について、当該法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員(清算人を除く。)をいう。)であることを要件の1つとしている(措置法69の52十一ロ(2)、措置法令40の2の29)。

1 受贈者の年齢が贈与の日において65歳未満である場合
 当該贈与の日から当該受贈者が65歳に達する日までの間の100分の80に相当する期間(当該期間が2年間より短い場合は2年間)

2 受贈者の年齢が贈与の日において65歳以上である場合
 2年間

【関係法令通達】
 措置法令第40条の2の2第11項
 措置通69の5−16

問7

 特定事業用資産相続人等(甲)が有する特定受贈同族会社株式等に係るA社について法人の分割が行われB社が新設された。甲はA社より対応株式としてB社の株式の交付を受けた。
 分割時後のB社の株主は次のとおりであるが、甲及び乙(特定贈与者である甲の父)が所有するB社の株式の総数(2,000株)がB社の発行済株式の総数(5,000株)の2分の1を超えない状況にあり、特定受贈同族会社株式等の要件の一つである措置法第69条の5第2項第8号イの要件(2分の1要件)に該当しない。この場合、当該対応株式について特定事業用資産の特例は適用されるか。

(設例)B社の株主及び

所有株数

・甲 1,000株

・乙 1,000株

・丙 3,000株

(注)

1 乙は甲の特定贈与者である。

2 丙は乙の親族又は措置法令第40条の2の2第8項に規定する特別の関係がある者には該当しない。

3 B社の発行済株式総数は5,000株であり議決権の制限がある株式は含まれない。

(答)

 特定事業用資産の特例は適用される。

(解説)
 特定受贈同族会社株式等について会社分割等に伴い取得した対応株式は、措置法令第40条の2の2第11項において「当該特定事業用資産相続人等が当該特定受贈同族会社株式等に係る贈与の時から引き続き有する特定受贈同族会社株式等とみなして、法第69条の5の規定を適用する。」と規定されていることから、措置法第69条の5第2項第8号イの要件(2分の1要件)に該当しなくとも特定受贈同族会社株式等とみなされ、特定事業用資産の特例の適用対象となる。
 なお、措置法第69条の5第2項第8号柱書の要件(20億円要件)又は同号ロの要件(3分の2要件)についても同様である。
 また、特定同族会社株式等の判定(措置法69の52七)に当たっても、対応株式は特定受贈同族会社株式等とみなして判定することになる。

【関係法令通達】
 措置法第69条の5第2項第7号、第8号
 措置法令第40条の2の2第11項

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