個人課税課情報 第5号 平成28年6月1日 国税庁
個人課税課

標題のことについて、農林水産省から照会があり、これに対して次のとおり回答したので、今後の執務の参考とされたい。

(照会要旨)

1 新たな競走馬登録制度(早期特例登録制度)の創設

従前の競走馬の調教については、トレーニングセンター等に入厩させてから調教師により開始されることが一般的でありましたが、近年では、育成牧場施設の充実及び育成牧場での調教(以下「育成調教」といいます。)技術の進歩により、馬主が競走用の馬を取得した後、調教師との間の預託契約に基づく調教師の一定の関与の下で、早期に育成調教が開始され、基本的な育成調教が終了した後、トレーニングセンター等に入厩し、調教師の管理の下、競馬へ出走することが一般的となってきております。

このような競走用の馬に関する調教の実態の変化を踏まえ、日本中央競馬会及び地方競馬全国協会においては、従来の競走馬登録制度に加え、トレーニングセンター等への入厩を要件とせず育成牧場での育成調教進度を踏まえた競走馬登録を可能とする新たな競走馬登録制度が創設されたところです。

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2 新たな競走馬登録制度に基づく登録を受けた競走馬の減価償却の開始時期

生物の減価償却の開始時期については、当該生物がその成熟の年齢又は樹齢に達した月(成熟の年齢又は樹齢に達した後に取得したものについては、取得の月)から行うことができ、牛馬等の成熟の年齢は、「通常業務の用に供する」年齢とされています。

本取扱いを踏まえ、競走馬の「通常業務の用に供する」については、競走用の馬を出走させるためには、「調教師との預託契約」、「トレーニングセンター等への入厩」、「競走馬登録」が必要とされていることから、その競走用の馬について、馬主と調教師との預託契約に基づきトレーニングセンター等に入厩し、かつ、競走馬登録が終了した時と取り扱うことが原則とされています。

今回創設された新たな競走馬登録制度においては、

  1. 1 馬主と調教師との間で預託契約の締結が必要とされていること
  2. 2 育成牧場において競走馬としての調教が開始されたこと、また、当該調教が開始されたことを調教師が確認し、その旨の記載のある「育成調教開始報告書」の写しの提出が必要とされていること
  3. 3 競走馬としての資格が付与されること

から、同制度に基づく登録を受けた競走馬については、「通常業務の用に供した」と解され、当該登録の終了した月から減価償却を開始できると考えますが貴庁の見解を承りたく照会いたします。

併せて、従来から認められている「3年間、該当する全ての馬について同じ経理を継続することを条件として、馬齢二歳の4月から減価償却を開始するという取扱いをすること」及び「この取扱いを適用しながらも、馬齢二歳の5月以降に入厩した競走馬にあっては入厩させた月から減価償却を開始するという取扱いをすること」も引き続き認められると考えますが貴庁の見解を承りたく照会いたします。

(回答)

○ 生物の減価償却の開始時期については、当該生物がその成熟の年齢又は樹齢に達した月(成熟の年齢又は樹齢に達した後に取得したものについては、取得の月)から行うことができ、牛馬等の成熟の年齢は、「通常業務の用に供する」年齢とされています(所基通49−27)。

競走馬における「通常業務の用に供する」については、その競走用の馬について、馬主と調教師との預託契約に基づきトレーニングセンター等に入厩し、かつ、競走馬登録が終了した時と取り扱っています。

そこで、今回創設された新たな競走馬登録制度において登録を受けた競走馬の減価償却開始時期については、同制度において、

  1. 1 馬主と調教師との間で預託契約の締結が必要とされていること
  2. 2 育成牧場において競走馬としての調教が開始されたこと、また、当該調教が開始されたことを調教師が確認し、その旨の記載のある「育成調教開始報告書」の写しの提出が必要とされていること
  3. 3 競走馬としての資格が付与されること

を踏まえれば、同制度に基づく登録を受けた競走馬については、「通常業務の用に供した」と解され、当該登録の終了した月から減価償却を開始して差し支えないと考えます。

また、「3年間、該当する全ての馬について同じ経理を継続することを条件として、馬齢二歳の4月から減価償却を開始するという取扱いをすること」及び「この取扱いを適用しながらも、馬齢二歳の5月以降に入厩した競走馬にあってはその競走馬を入厩させた月から減価償却を開始するという取扱いをすること」も引き続き認められると考えます。

○ したがいまして、競走馬の減価償却開始時期の取扱いについては、

  1. 1 その競走用の馬について、馬主と調教師との預託契約に基づき、

    イ 育成牧場において競走馬としての調教が開始され、かつ、競走馬登録が終了した場合

    又は、

    ロ トレーニングセンター等に入厩し、かつ、競走馬登録が終了した場合

    には、当該登録が終了した月から減価償却を開始することを原則としつつ、

  2. 2 3年間、該当する全ての馬について同じ経理を継続することを条件として、馬齢二歳の4月から減価償却を開始するという取扱いをすること及びこの取扱いを適用しながらも、馬齢二歳の5月以降に入厩した競走馬にあってはその競走馬を入厩させた月から減価償却を開始するという取扱いをすることも認められることとなります。