課個5−5
平成15年8月19日

国税局課税(第一)部長 殿
沖縄国税事務所次長 殿

国税庁 個人課税課長

 標題のことについては、農林水産省から別紙2のとおり照会があり、これに対して当庁課税部長名をもって別紙1のとおり回答したので、通知する。


別紙1

課個5−4
平成15年8月8日

農林水産省 生産局長 殿

国税庁 課税部長

 標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
 ただし、照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合には、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることを申し添えます。


別紙2

15生畜第2163号
平成15年8月1日

国税庁課税部長 殿

農林水産省生産局長

 競走馬を保有する者が所得税の計算を行う場合において、その年の競走馬の保有に係る所得が事業所得に該当するかどうかは、所得税法施行令第178条第1項第1号の規定に基づき、その規模、収益の状況その他の事情に照らして判定することとされています。
 これを受けて所得税基本通達27−7においては、その年の競走馬の保有に係る所得が事業所得に該当するかどうかは、その規模、収益の状況その他の事情を総合勘案して判定するのであるが、1その年において、競馬法第14条(馬の登録)(同法第22条(準用規定)において準用する場合を含む。)の規定による登録を受けている競走馬(以下「登録馬」という。)でその年における登録期間が6月以上であるものを5頭以上保有している場合、又は、2その年以前3年以内の各年において、登録馬(その年における登録期間が6月以上であるものに限る。)を2頭以上保有し、かつ、その年の前年以前3年以内の各年のうちに、競走馬の保有に係る所得の金額が黒字の金額である年が1年以上ある場合は、事業所得に該当するものとして取り扱われています。
 近年、我が国の社会経済情勢は大きく変化し、日本中央競馬会が主催する中央競馬及び都道府県等が主催する地方競馬の馬主の実態をみますと、近年の競走馬価格や競馬賞金等の上昇を背景として、個人馬主から法人馬主に移行する者や複数人で競走馬を共有する者の増加が顕在化してきております。
 また、馬主層の多様化による競馬界全体の活性化を図るため、日本中央競馬会においては平成13年、地方競馬全国協会においては平成14年から新たに、民法第667条に基づく組合が馬主となれる組合馬主制度を導入しているところであります。
 このような状況を踏まえ、競走馬の保有に係る所得の税務上の取扱いについて、下記のように解して差し支えないか、貴庁の見解を承りたく照会します。

1. 組合馬主制度における組合員の受ける損益の税務上の取扱いについて

 組合馬主制度は、複数の組合員をもって構成された民法第667条に定める法人格なき組合を競馬法第13条(同法第22条において準用する場合を含む。)に基づき馬主登録するものであり、当該組合は、競走馬を所有し競争を通じて収益を得ることをその目的としています。
 また、当該組合においては、組合財産として競走馬を保有し、競馬賞金等の収入は組合財産に繰り入れ、経費については組合員が出資比率に応じて拠出する会費等により支弁され、損益は民法第674条に基づき、組合契約に定める分配割合に応じて各組合員に帰属することとなっています。
 したがって、この組合馬主制度における各組合員に対してその分配割合によりあん分される利益の額又は損失の額については、所得税基本通達(36・37共−19及び20)に基づいて取り扱うものと考えております。

2. 個人馬主の競走馬の保有に係る所得の税務上の取扱いについて

(1) 近年の個人馬主においては、競馬賞金等の上昇等に伴い、多頭数の競走馬を保有するよりも、血統、馬格等の良い高資質馬をレベルの高い施設の中で調教し、確実に出走させることにより収益をあげていくといった経済性を重視する傾向にあります。
 さらに、競走馬の購入に当たっては、馬主自らが北海道等の市場や牧場等へ買付けに出向く者も増加し、また、競走馬を預託する厩舎の選択・騎乗騎手の選択・出走させる競争の選択等に馬主自らが関与するなど、競走馬の保有に係る財産的支出だけでなく、経営管理的な知的労力なども増大してきております。
 このような傾向を踏まえ、平成14年の個人馬主の経営状況をみると、3歳以上の競走馬が年間5回以上出走した場合には、年間平均の競馬賞金等の収入は中央競馬で1,357万円、地方競馬で429万円という規模になり、かつ、年間の損益分岐点(中央競馬:1,218万円、地方競馬:322万円)を超える状況にあります。また同様に、2歳の競走馬が年間3回以上出走した場合には、年間平均の競馬賞金等の収入は中央競馬で548万円、地方競馬で222万円という規模になり、かつ、年間の損益分岐点(中央競馬:522万円、地方競馬:172万円)を超える状況にあります。
 このように年間出走回数が、3歳以上馬にあっては5回以上、2歳馬にあっては3回以上の競走馬(共有馬を除く。)を保有している場合には、相当程度の規模の収入金額が見込まれ、かつ、競走馬の初期投資を含む経費を回収できる程度の収益性も見込まれることから、「その年以前3年間の各年において競馬賞金等の収入があり、その3年間のうち、年間5回以上(2歳馬については年間3回以上)出走している競走馬を保有する年が1年以上ある場合」には、競走馬の保有に係る所得は、所得税法施行令第178条に規定する規模、収益の状況等に照らし、事業所得に該当するものと考えられます。

(注) 上記の「競馬賞金等」とは、別紙1に記載のものとします。

(2) 上記(1)の取扱いにより、個人馬主が適正な申告を行うためには、何らかの担保措置が必要であると考えており、具体的には、1日本中央競馬会、地方競馬全国協会及び都道府県等地方競馬主催者が、個人馬主ごとに、その保有する競走馬の出走回数及び競馬賞金収入の額等を記載した証明書類(別紙2−1〜2−3)を作成・交付し、2個人馬主は、確定申告に際して、当該証明書類を確定申告書に添付することとします。
 また、取扱いに齟齬をきたすことのないよう、日本中央競馬会、地方競馬全国協会及び都道府県等地方競馬主催者等を通じて個人馬主の所得税等の申告等について的確な周知・指導を行っていくことを考えております。
 なお、出走回数等の証明書類の作成・交付は、平成15年分所得税の確定申告から措置することが可能であることから、上記の取扱いは平成15年分所得税の確定申告から適用できると考えております。

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