個人課税課情報 第8号 平成14年12月16日 国税庁
個人課税課

 標題のことについては、別紙のとおり取扱うこととなるので、執務の参考のために送付する。

(別紙)

旧農林漁業団体職員共済組合から支給された退職一時金を返還した場合の確定申告について

1 退職一時金の返還制度の概要等

(1)  農林漁業団体職員共済組合(以下「共済組合」という。)の旧年金制度(昭和55年の改正前のものをいう。)においては、昭和54年以前に組合員期間が20年未満の組合員が退職した場合には、年金受給権が生ぜず、共済組合から退職一時金が支給されることとされ、その後、当該退職者が再度共済組合員となり、再退職した場合において、以前の組合員期間と通算して組合員期間が20年以上となったときには、年金受給権が発生することから、過去に受給した退職一時金を共済組合に返還することとされていた。
 (以下、昭和54年以前に組合員期間が20年未満で退職した組合員を「本件組合員」という。)。

(2) 退職一時金の返還方法には、次の2方式がある。

1 年金控除方式・・・ その年の年金要支給額から、退職一時金相当額に達するまでの金額を順次控除する(退職一時金相当額がその年の年金要支給額を超える場合は、年金の実支給額はない。)。

2 現金返還方式・・・年金受給権取得時から1年以内に、一括又は分割により現金で返還する。

(3)  平成13年7月4日に「厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律」(以下「法」という。)が成立し同14年4月1日に施行され、従来年金の全額が共済組合から支給されていたものが、法施行後においては、1職域年金相当分は共済組合が特例年金として支給し、2厚生年金相当分は社会保険庁が移行年金(老齢厚生年金)として支給することとされた。

2 退職一時金を返還した場合の課税関係
 本件組合員が退職一時金を返還した場合は、年金控除方式又は現金返還方式のいずれの場合においても、年間の年金要支給額から当該年において返還した退職一時金の額を控除した残額をもって、公的年金等の収入金額とすることとされている(法附則51等)。

(注) 共済組合の発行する「公的年金等の源泉徴収票」の収入金額は、返還された退職一時金の控除後の金額が表示されている。なお、残額がない者については源泉徴収票は送付されないが、本件組合員には、年金の支給期に送付する「送金通知書」に控除額等が記載されている。

3 本件組合員が退職一時金を返還した場合の確定申告

(1) 退職一時金返還制度は、法施行後の現在も存続しており、本件組合員は年金受給権取得後に退職一時金を共済組合に返還することとなるが、本件組合員が年金控除方式を選択した場合、退職一時金を控除する年金は、共済組合が支給する特例年金部分に限定されていることから、従来と異なるところはない。

(2) しかし、本件組合員が現金返還方式を選択した場合、返還した退職一時金の額が共済組合が支給する特例年金額を上回るときには、特例年金額を控除した後の残額を社会保険庁が支給する年金額から控除する必要が生ずる。
 このため、共済組合は、本件組合員に対し「退職一時金支給額等返還金通知書(PDFファイル/27KB)」(別添。以下「通知書」という。)を送付し、本件組合員に補完記入をさせ、確定申告書に添付させることとしている。

(参考)
 この場合、当該通知書の「3.(1)移行年金実支払額E」又は「3.(2)老齢厚生年金等実支払額」の額が、公的年金等の収入金額となる。

4 確定申告時の留意事項
 上記のとおり、本件組合員が退職一時金を現金返還方式により返還した場合については、社会保険庁が発行する公的年金等の源泉徴収票に記載された支払金額によるのではなく、確定申告書に添付された通知書に記載された金額を収入金額とすることに留意する。
 なお、通知書の記載方法等については、共済組合が責任を持って本件組合員を指導するとしていることから、納税者からの問い合わせ等があった場合は、共済組合に照会するよう指導することに留意する。

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(参考)

1  法施行に伴う年金支給者の変更

 法施行に伴う年金支給者の変更の図

2 退職一時金を返還した場合の相違

○ 厚生年金統合前(〜平成14年3月)
(設例)
退職一時金の返還額・・・100万円
年金の年間支給額・・・ 150万円
厚生年金統合前の図

○ 厚生年金統合後(平成14年4月〜)
(設例)
退職一時金の返還額・・・ 100万円(現金返還方式を選択)
年金の年間支給額・・・・150万円(共済組合70万円、社会保険庁80万円)
厚生年金統合後の図

1  共済組合は、支給額から返還額を控除した残額について源泉徴収を行う(当設例の場合、返還額控除後の支給額が発生しないことから、受給者には源泉徴収票 の交付も行われない。)。

※  年金支給額(70万円)− 返還額(年金支給額が限度:70万円) = 0

2 共済組合から発行された通知書を利用し、社会保険庁から交付された源泉徴収票の支払金額を再計算し、同通知書を申告書に添付する。

※  年金支給額(80万円)− 返還額の残額(100万円−70万円) = 50万円