介護保険制度の概要
居宅サービスの利用に当たっては、複数のサービス単位での限度基準額が設定される(区分支給限度基準額)。また、市町村では、一定の個別サービスについての限度基準額を設定することができる(種類支給限度基準額)。
居宅介護サービス費と特例居宅介護サービス費の合計額は、区分支給限度基準額・種類支給限度基準額それぞれの9割が限度額となります。いずれかの限度額を超えたときには、その限度基準額の9割が支給される(介護保険法施行令16)。
(1) 区分支給限度基準額について
イ 居宅サービス区分と区分支給限度額の管理期間(介護保険法施行規則66、67)
次の区分が設定されており、区分支給限度額を超える部分については介護保険給付の対象とはならない。
なお、居宅療養管理指導、痴呆対応型共同生活介護及び特定施設入所者生活介護は、介護報酬により上限が決まる。
区分 | 区分に含まれるサービスの種類 | 区分支給限度額の管理期間 |
---|---|---|
訪問通所サービス | 訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション 、通所介護、通所リハビリテーション 、福祉用具貸与 | 1か月(暦月単位) |
短期入所サービス | 短期入所生活介護、短期入所療養介護 | 認定の有効期間に対応した期間(原則6か月、暦月単位)※ |
※ 変更認定の場合の短期入所サービスの管理期間は、申請日の翌月(各月1日の場合はその月)からとなる。
(参考)
○ 区分支給限度基準額の概念図
ロ 区分支給限度基準額(平成12年厚生省告示第33号)
訪問通所サービス区分に係る区分支給限度基準額
要支援 :1か月当たり 6,150単位
要介護1 :1か月当たり 16,580単位
要介護2 :1か月当たり 19,480単位
要介護3 :1か月当たり 26,750単位
要介護4 :1か月当たり 30,600単位
要介護5:1か月当たり 35,830単位
(注) 原則として1単位当たり10円である。
短期入所サービス区分に係る区分支給限度基準額
要支援 :6か月当たり7日間
要介護1・2 :6か月当たり14日間
要介護3・4 :6か月当たり21日間
要介護5 :6か月当たり42日間
ハ 訪問通所サービス区分に係る区分支給限度基準額の短期入所の利用限度日数への振替え(平成12年厚生省告示第93号)
平成12年3月24日付厚生省告示第93号により、「居宅介護サービス費区分支給限度基準額及び居宅支援サービス費区分支給限度基準額」(平成12年厚生省告示第33号)の一部改正が行われ、一定の要件の下で訪問通所サービス区分に係る区分支給限度基準額の短期入所の利用限度日数への振替えができるようになった。
改正された内容は、次のとおりである。
・ 要件
対象市町村
短期入所サービスの基盤整備状況が十分であると認められる市町村に限り行う。
対象者
利用者が痴呆であることなどにより、同居している家族等の介護が困難な場合や、
同居している家族等が高齢、疾病であること等を理由として十分な介護ができない場合
など、短期入所サービスを利用限度日数を拡大して受けなければ在宅介護の継続が困難であると市町村が認める者
・ 短期入所の限度額の振り替え
上記の要件に該当する者については、短期入所サービスの利用限度日数を超過した月以降の各月において、当該各月の訪問通所サービス区分に係る区分支給限度基準額の「使い残し分」の範囲内で、利用限度日数を超えて短期入所サービスを「振り替え利用」できるものとする。
ただし、この「振り替え利用」を行った月については、本来の利用限度日数の利用も含めて、1か月当たり14日間を限度として利用限度日数に加える。
・ 費用の支払方法
「振り替え利用」については、償還払いによる取扱いとする(現物給付化できない。)。
(2) 種類支給限度基準額について
種類支給限度基準額を設定できるサービスは、区分支給限度基準額での訪問通所サービス区分(訪問介護、
訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所介護、通所リハビリテーション及び福祉用具貸与)のそれぞれである。
区分支給限度額の管理期間も同様に1か月(暦月単位)となっている(介護保険法施行規則69)。
(参考)
○ 区分支給限度基準額と種類支給限度額の関係
例えば、要介護4の利用者について、訪問通所サービス区分に係る区分支給限度基準額が30万円、市町村の訪問介護に係る種類支給限度基準額が15万円であった場合において、当該利用者が訪問介護に係る種類支給限度基準額いっぱい利用したときは、訪問通所サービス区分に係る支給限度基準額の残り15万円で他の訪問通所サービスを受けることができる。