2 質疑応答


問4

 指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の施設サービス費の自己負担額として支払った額の2分の1に相当する金額が、医療費控除の対象とされた理由は何か。

(答)

1 指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、要介護者に対し、施設サービス計画に基づき、1入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、2機能訓練、3健康管理及び4療養上の世話を行うことを目的とする施設であって、都道府県知事が指定したものである(介護保険法721)。

2 この指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)での施設サービス費のうち療養上の世話等に相当する部分については、所得税法施行令第207条及び所得税法施行規則第40条の3の規定により医療費控除の対象となる医療費に該当する。

3 医療費控除の対象となる療養上の世話等に相当する部分の額は、本来、入所者ごとに明らかにされることが望ましいが、指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)においては集団的な処遇が行われるため、施設介護サービス費(施設サービス費のうち介護保険の適用部分をいう。以下同じ。)の額及び施設サービス費に係る自己負担額は入所者ごとの施設サービスの額として指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に支払われるものの、その施設介護サービス費の額及び施設サービス費に係る自己負担額が、入所者ごとにどのように使途されたかを厳密に区分して明らかにすることは困難である。

4 このため、厚生省(現厚生労働省)において、指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)における運営の実態等を踏まえ、平均的な療養上の世話等に相当する部分は施設サービス費の2分の1とすることが合理的であるとの判断が示されていることから、指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)における施設サービス費に係る自己負担額として支払った額の2分の1に相当する金額を、医療費控除の対象となる医療費の額とすることが相当であるとしたものである。

(注) 平成12年6月8日付課所4−9「介護保険制度下での指定介護老人福祉施設の施設サービスの対価に係る医療費控除について」(法令解釈通達)参照。

問5

 経過措置による指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)入所者の施設サービス費に係る自己負担額は、なぜ医療費控除の対象とならないのか。

(答)

1 介護保険法の施行日(平成12年4月1日)以後の指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の入所対象者は、要介護度1〜5の要介護認定を受けた者であるが、介護保険法の施行日現在に指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入所している者(以下「旧措置入所者」という。)で、「自立」又は「要支援」の認定を受けた者であっても、介護保険法の施行日以後5年間に限り、その指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入所している間は要介護被保険者とみなされ、介護保険の適用が受けられることとなっている。

2 この5年間の経過措置は、旧措置入所者の利益の保護を図りながら、円滑な介護保険制度の移行を目指すことを目的としたものであり、旧措置入所者の施設サービス費に係る自己負担額は、従来どおり応能負担の考え方に基づき算出されることとなっている。

3 したがって、旧措置入所者の介護保険の適用対象となる施設サービス費に係る自己負担額については、療養上の世話等の提供の状況に応じた対価とはいえず、医療費控除の対象とはならない。

4 なお、指定介護老人福祉施設が旧措置入所者に対して発行する領収証に、医療費控除の対象となる金額が記載されることはない。


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