1 介護保険サービスの対価に係る医療費控除の概要

(2) 居宅サービスの対価に係る医療費控除について
 要介護者及び要支援者(以下(2)において「要介護者等」という。)が居宅において受けられる居宅サービスには、次のものがある。

1 訪問介護【ホームヘルプサービス】

2 訪問入浴介護

3 訪問看護

4 訪問リハビリテーション

5 居宅療養管理指導【医師等による管理・指導】

6 通所介護【デイサービス】

7 通所リハビリテーション【医療機関でのデイケア】

8 短期入所生活介護【ショートステイ】

9 短期入所療養介護【ショートステイ】

10 痴呆対応型共同生活介護【痴呆性老人グループホーム】

11 特定施設入所者生活介護【有料老人ホーム等】

12 福祉用具貸与

上記の居宅サービスのうち、訪問看護(3)、訪問リハビリテーション(4)、居宅療養管理指導(5)、通所リハビリテーション(7)及び短期入所療養介護(9)(以下(2)において「医療系サービス」という。)に係る対価については、これらの居宅サービスが保健婦、看護婦等によって行われる療養上の世話又は理学療法・作業療法等のリハビリテーションであることから、その病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額については、従来から医療費控除の対象となる医療費とされてきたところである(所令207五)。
 一方、訪問介護(1)及び訪問入浴介護(2)に係る対価については、これまで、傷病により寝たきり等の状態にある者が、在宅療養を行うため、医師の継続的な診療を受けており、かつ、一定の在宅介護サービス(訪問介護及び訪問入浴介護)供給主体が、医師との適切な連携をとって在宅介護サービスを提供した場合の、その在宅サービスを受けるための費用については、「療養上の世話を受けるために特に依頼した者による療養上の世話の対価」として医療費控除の対象とされてきたところである(平成2年7月27日付老福第145号「医療費控除の対象となる在宅療養の介護費用の証明について」厚生省通知)。
 平成12年4月1日からの介護保険法の施行により、同法第7条第5項に規定する居宅サービスについては、通常、指定居宅支援事業者が、保健医療サービスとの連携や必要に応じて利用者の主治の医師の意見を踏まえて、利用者ごとに、「居宅サービス計画」(ケアプラン)を作成し、これに基づいて、各種の居宅サービスが提供されるようになった。
 これまでの取扱いと介護保険制度における居宅サービスの提供方法等から、介護保険制度の下で提供される居宅サービスのうち、次に掲げる居宅サービスの対価が医療費控除の対象となる医療費の範囲に含まれることとなった。

 対象者
 「居宅サービス計画」(自己作成のもので市町村への届出が受理されたものを含む。以下同じ。)で、次に掲げる居宅サービスのいずれかが含まれているものに基づいて、居宅サービスを利用する要介護者等

1 訪問看護(老人保健法及び医療保険各法の訪問看護療養費の支給に係る訪問看護を含む。以下(2)において同じ。)

2 訪問リハビリテーション

3 居宅療養管理指導

4 通所リハビリテーション

5 短期入所療養介護

 対象となる居宅サービス
 イの1から5に掲げる居宅サービスと併せて利用する次に掲げる居宅サービス

1 訪問介護(家事援助(調理、洗濯、掃除等の家事の援助)中心型を除く。)

2 訪問入浴介護

3 通所介護

4 短期入所生活介護

(注)

1 イの1から5に掲げる居宅サービスに係る費用については、イの対象者の要件を満たすか否かに関係なく、利用者の自己負担額全額が医療費控除の対象となる。

2 家事援助中心型の訪問介護とは、単身の世帯に属する利用者又は家族若しくは親族(以下「家族等」という。)と同居している利用者であって、当該家族等の障害、疾病等の理由により、当該利用者又は当該家族等が家事を行うことが困難であるものに対して家事援助(調理、洗濯、掃除等の家事の援助であって、これを受けなければ日常生活を営むのに支障が生ずる介護保険法第7条第6項に規定する居宅要介護者等に対して行われるものをいう。)が中心である指定訪問介護をいう(平成12.2.10付厚生省告示第19号「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」)。

 対象費用の額
 居宅サービス費に係る自己負担額(介護保険給付の対象となるものに係る自己負担額に限る。)

 領収証
 指定居宅サービス事業者(居宅サービスを提供する事業者で都道府県知事が指定したものをいう。)が利用者に対して発行する領収証に、医療費控除の対象となる金額がを記載される。

(注) 平成12年6月8日付課所4−11「介護保険制度下での居宅サービスの対価に係る医療費控除について」(法令解釈通達)参照。

(参考)
指定居宅サービス費

指定居宅サービス費の図

(注) 日常生活費とは、次の居宅サービスの種類の区分に応じ、それぞれ次に掲げる費用である(介護保険法施行規則61)。

(1) 通所介護及び通所リハビリテーション

イ 食材料費

ロ おむつ代

ハ その他通所介護及び通所リハビリテーションにおいて提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものの費用で、その利用者に負担させることが適当と認められるもの

(2) 短期入所生活介護及び短期入所療養介護

イ 食材料費

ロ 理美容代

ハ その他短期入所生活介護及び短期入所療養介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものの費用で、その利用者に負担させることが適当と認められるもの
 なお、おむつ代は居宅サービス費等の中に含まれ、介護保険給付の対象となる。


介護保険サービスの対価に係る医療費控除に関する研修資料についての目次