○ 「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」の一部改正について

措置法第36条の2《特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例》関係

※ アンダーラインを付した部分が改正関係部分である。

【新設】
(居住用財産の一部を贈与している場合)

36の2−6の4 措置法令第24条の2第9項に規定する「贈与の時における価額」とは、その贈与の時における通常の取引価額をいうのであるから留意する。

≪説明≫

 「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」については、措置法第36条の2第1項において「譲渡資産の譲渡に係る対価の額が2億円を超えるものを除く。」という譲渡価額要件が付され、第3項は「第1項(前項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定は、譲渡資産の譲渡をした個人が、当該譲渡をした日の属する年又はその年の前年若しくは前々年に、当該譲渡資産と一体として当該個人の居住の用に供されていた家屋又は土地若しくは土地の上に存する権利の譲渡(第33条の4第1項に規定する収用交換等による譲渡その他の政令で定める譲渡(次項において「収用交換等による譲渡」という。)を除く。以下この項及び次項において「前3年以内の譲渡」という。)をしている場合において、当該前3年以内の譲渡に係る対価の額と当該譲渡資産の譲渡に係る対価の額との合計額が2億円を超えることとなるときは、適用しない。」と、第8項は「譲渡資産・・・の範囲その他第1項、第3項及び第4項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。」と、また、措置法令第24条の2第9項は「法第36条の2第1項に規定する譲渡資産の譲渡をした個人が、当該譲渡をした日の属する年、その年の前年若しくは前々年又はその年の翌年若しくは翌々年に当該譲渡資産と一体として当該個人の居住の用に供されていた家屋又は土地若しくは土地の上に存する権利の譲渡をした場合において、当該譲渡が贈与(著しく低い価額の対価による譲渡として財務省令で定めるものを含む。以下この項において同じ。)によるものである場合における同条第3項及び第4項の規定の適用については、当該贈与の時における価額に相当する金額をもつてこれらの規定に規定する譲渡に係る対価の額とする。」と規定されていることから、2億円の譲渡価額要件は、譲渡資産と一体として当該個人の居住の用に供されていた家屋又は土地等の一部の贈与が、譲渡資産を譲渡した年及びその年の前後2年内にある場合には、当該個人の一体資産の譲渡の対価の額の合計額に当該贈与の時の価額を含めて判定することとされている。
 この趣旨は、譲渡価額要件である2億円を超える高額な居住用財産の所有者が譲渡資産の一部を贈与することにより、2億円の譲渡価額要件をクリアすることを防止するためのものと説明されている。
 ところで、措置法令第24条の2第9項に規定されている「当該贈与の時における価額」とは、贈与税の課税価格の計算の基礎となる財産評価基本通達の定めにより評価した価額なのか通常の売買取引価額をいうのかという問題が生ずる。
 本通達は、「当該贈与の時における価額」とは、所得税法第59条第1項《贈与等の場合の譲渡所得の課税の特例》に規定されている「その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があったものとみなす。」と同様に通常の売買取引価額をいうことを留意的に明らかにしている。