○ 「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」の一部改正について

措置法第37条の9の5 《平成21年及び平成22年に土地等の先行取得をした場合の譲渡所得の課税の特例》 関係

※ アンダーラインを付した部分が改正関係部分である。

【新設】
(繰延利益金額から控除する譲渡損失の金額)

37の9の5−21 個人事業者が、その年中に事業用土地等以外の2以上の土地等又は建物等について措置法令第25条の7の5第5項に規定する譲渡をした場合において、これにより譲渡損失金額(措置法令第25条の7の5第5項に規定する譲渡損失金額をいう。)が生じるかどうかは、当該土地等又は建物等のそれぞれの譲渡損益を合計したところにより判定することに留意する。

≪説明≫

1 措置法第37条の9の5第1項に規定する事業用土地等の譲渡所得の金額は、当該事業用土地等に係る利益金額から繰延利益金額を控除して計算することとなるが、その年中において事業用土地等の譲渡以外の2以上の土地等又は建物等の譲渡がある場合においてこれにより譲渡損失金額が生じている場合には、当該利益金額の100分の80(又は100分の60)に相当する金額と当該利益金額に相当する金額から当該譲渡損失金額に相当する金額を控除した金額とのいずれか少ない金額(当該金額が対象先行取得土地等の取得価額を超える場合には、当該取得価額に相当する金額)を繰延利益金額とすることとされている。
 これは、他の土地建物等の譲渡につき譲渡損失金額がある場合に、事業用土地等の利益金額から先に当該譲渡損失金額を控除することとすると、結果的に利益金額から控除しきれない譲渡損失金額が残る場合があることから、控除しきれない譲渡損失金額が残ることのないよう、繰延利益金額を調整するために設けられた措置である。

2 この場合において、前者の事業用土地等の「譲渡」とは、措置法第37条の9の5第1項及び措置法令第25条の7の5第5項の規定により、利益金額がある場合における譲渡に限ることとされていることから、その年中において2以上の事業用土地等の譲渡がある場合において、そのうちに利益金額が生じない事業用土地等の譲渡がある場合には、当該譲渡については、ここにいう「譲渡」に該当しないこととなる。
 一方、その年中に事業用土地等の譲渡以外の2以上の土地等又は建物等の譲渡(措置法令第25条の7の5第5項に規定する譲渡をいう。)があり譲渡損失金額が生じている場合には、上記1のとおりの比較計算を行うことにより繰延利益金額を計算することとなるが、この場合の譲渡損失金額が生じているかどうかの判定についても、事業用土地等の「譲渡」の場合と同様の考え方により、譲渡損失金額が生じる譲渡のみを対象とするのか疑問が生じなくもない。
 この点については、

イ その年中において事業用土地等以外の土地等又は建物等の譲渡があり、これにより譲渡損失が生じている場合には、最終的に、事業用土地等の譲渡所得の金額は、措置法第31条又は第32条の規定に基づき当該譲渡損失金額とのいわゆる所得内通算が予定されていること(このことは、「・・・事業用土地等の当該譲渡による譲渡所得の金額として、第31条又は第32条の規定を適用する。」(措法37の9の51)と規定されていることから明らかである。)から、繰延利益金額の算定上は、最終的に所得内通算の対象となる当該譲渡損失金額を、あらかじめ控除しておく必要がある(つまり、このようにしなければ当該譲渡損失金額相当額を二重に控除することとなる。)。

ロ このことから、法令上も、その年中に事業用土地等の譲渡以外の2以上の土地等又は建物等の譲渡(措置法令第25条の7の5第5項に規定する譲渡をいう。)がある場合において、これにより譲渡損失金額が生じるかどうかは、措置法令第25条の7の5第5項において、当該譲渡損失金額は、「当該譲渡(その年中において2以上の譲渡がある場合には、これらの譲渡)による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額」と規定し、その年中に事業用土地等の譲渡以外の2以上の土地等又は建物等の譲渡がある場合には、これらの譲渡損益を通算したところにより判定することが明らかにされている。

 本通達は、以上のことを留意的に明らかにしている。