「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について(法令解釈通達)」の趣旨説明(情報)

○ 「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」の一部改正について

措置法第33条の4 《収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除》 関係

※ アンダーラインを付した部分が改正関係部分である。

【新設】
(受益者等課税信託の信託財産に属する資産について収用交換等があった場合の「買取り等の申出 のあった日」等)

33の4−1の2 受益者等課税信託の信託財産に属する資産について収用交換等があった場合における措置法第33条の4の規定の適用に関しては次の点に留意する。

(1) 同条第3項第1号に規定する「最初に当該申出のあった日」とは、受益者等課税信託の受託者が、同号に規定する公共事業施行者から当該受益者等課税信託の信託財産に属する資産につき、最初に買取り等の申出を受けた日をいう。

(2) 同項第2号に規定する「一の収用交換等に係る事業につき第1項に規定する資産の収用交換等による譲渡が二以上あった場合」に該当するかどうかは、受益者等が有する受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡とそれ以外の資産の譲渡とを通じて判定する。

(3) 収用交換等による譲渡の時における受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡をした受益者等が、当該受益者等課税信託の信託財産に属する資産につき最初に買取り等の申出を受けた時における当該受益者等課税信託の受益者等以外の者(当該申出を受けた時における受益者等の死亡によりその者から当該受益者等課税信託の受益者等としての権利を取得した者を除く。)である場合には、同項第3号の規定に該当することとなる。

≪説明≫

1 措置法第33条の4の規定の適用に当たっては、原則として、その資産の譲渡が、公共事業施行者から最初の買取り等の申出のあった日から6か月を経過した日までに行われることがその要件の1つとされている(措法33の43一)。
 ところで、受益者等課税信託の信託財産に属する資産について収用交換等があった場合において、税法上は当該資産の所有者を当該受益者等課税信託の受益者等とみなすものの、私法上の所有者は当該受益者等課税信託の受託者となることから、公共事業施行者は当該受託者に対して当該資産の買取り等の申出をすることとなる。
 このような場合においては、当該受託者が当該公共事業施行者から当該資産について最初に買取り等の申出を受けた日をもって6か月の期間計算の起算日とすることを明らかにしている。

2 収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除の特例は、一の収用交換等の事業について2年以上にわたって資産を譲渡した場合には、最初の年に譲渡した資産に限り当該特例の適用があることとされている(措法33の43二)。
 ところで、受益者等課税信託の受益者等が一の収用交換等の事業のために、例えば、最初の年は当該受益者等課税信託の信託財産に属する資産を譲渡し、2年目は当該受益者等課税信託の信託財産に属さない資産(当該受益者等の固有の資産)を譲渡した場合、2年目の譲渡について当該特例の適用を受けられるかどうかが問題となる。
 この点について、「一の収用交換等に係る事業につき第1項に規定する資産の収用交換等による譲渡が二以上あった場合」に該当するかどうかは、受益者等課税信託の信託財産に属する資産は受益者等が有するものとみなされることから、当該受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡とそれ以外の資産の譲渡とを通じて判定することを明らかにしている。

3 収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除の特例は、収用交換等による資産の譲渡をした者が当該資産について最初に買取り等の申出を受けた者以外の者(最初に買取り等の申出を受けた者から、当該申出後に当該資産の全部又は一部の贈与を受けた者など)である場合には、当該資産の譲渡について当該特例の適用は認められないこととされている(措法33の43三)。
 したがって、受益者等課税信託の信託財産に属する資産の収用交換等による譲渡に係る買取り等の申出があった場合についても、当該資産の私法上の所有者である当該受益者等課税信託の受託者が最初に当該資産の買取り等の申出を受けた時の当該受益者等課税信託の受益者等が、当該買取り等の申出の後に変動している場合には、その変動が当該申出を受けた時の受益者等の死亡によるものである場合を除き、新たに当該受益者等課税信託の受益者等となった者については、当該特例の適用はないことを明らかにしている。