「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について(法令解釈通達)」の趣旨説明(情報)

○ 「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」の一部改正について

措置法第31条 《長期譲渡所得の課税の特例》・第32条《短期譲渡所得の課税の特例》 共通関係

※ アンダーラインを付した部分が改正関係部分である。

【新設】
(受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡等)

31・32 共−1の3 受益者等課税信託(所得税法第13条第1項《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下「受益者等」という。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。以下同じ。)の信託財産に属する資産が31・32 共−1に掲げる分離課税とされる譲渡所得の基因となる資産である場合における当該資産の譲渡又は受益者等課税信託の受益者等としての権利の目的となっている信託財産に属する資産が31・32 共−1に掲げる分離課税とされる譲渡所得の基因となる資産である場合における当該権利の譲渡による所得は、原則として分離課税とされる譲渡所得となり、措置法第31条又は第32条の規定その他の所得税に関する法令の規定を適用することとなる。なお、この場合においては次の点に留意する。

(1) 受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡があった場合において、当該資産の譲渡に係る信託報酬として当該受益者等課税信託の受益者等が当該受益者等課税信託の受託者に支払った金額については、所得税法第33条第3項《譲渡所得》に規定する「資産の譲渡に要した費用」に含まれる。

(2) 委託者と受益者等がそれぞれ一であり、かつ、同一の者である場合の受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡があった場合又は当該受益者等課税信託の受益者等としての権利の譲渡があった場合における当該資産又は当該権利に係る資産の措置法第31条第2項に規定する「その取得をした日」は、当該委託者が当該資産の取得をした日となる。

(注) 当該受益者等課税信託の信託財産に属する資産が信託期間中に信託財産に属することとなったものである場合には、当該資産が信託財産に属することとなった日となる。

(3) 受益者等課税信託の受益者等としての権利の譲渡があった場合において、当該受益者等としての権利の目的となっている信託財産に属する債務があるため、当該譲渡の対価の額が当該債務の額を控除した残額をもって支払われているときは、当該譲渡による収入すべき金額は、所得税法第36条第1項《収入金額》の規定により、その支払を受けた対価の額に当該控除された債務の額に相当する金額を加算した金額となる。

(注) 譲渡された受益者等としての権利の目的となっている資産(金銭及び金銭債権を除く。)の譲渡収入金額は、当該受益者等としての権利の譲渡により収入すべき金額からその信託財産に属する金銭及び金銭債権の額を控除した残額を基礎として、当該受益者等としての権利の譲渡の時における当該受益者等としての権利の目的となっている各資産(金銭及び金銭債権を除く。)の価額の比によりあん分して算定するものとする。

(4) 委託者が受益者等課税信託の受益者等となる信託の設定により信託財産に属することとなった資産の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、当該委託者が当該資産を引き続き有しているものとして、所得税法第38条《譲渡所得の金額の計算上控除する取得費》の規定を適用して計算した金額となる。

(注) 当該受益者等課税信託の信託期間中に、当該受益者等課税信託に係る信託財産に属することとなった資産の取得費は、受益者等が、当該資産を当該受益者等課税信託の受託者がその取得のために要した金額をもって取得し、引き続き有しているものとして、所得税法第38条の規定を適用して計算する。この場合において、当該資産の取得に係る信託報酬として当該受益者等課税信託の受益者等が当該受益者等課税信託の受託者に支払った金額については、同条第1項に規定する「資産の取得に要した金額」に含まれる。

(5) 分離課税とされる譲渡所得に関する課税の特例等の規定の適用を受けようとする受益者等が確定申告書に添付すべき書類については、昭和55年12月26日付直所3−20ほか1課共同「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」(法令解釈通達)の28の4−53《信託の受益者における書類の添付》に準ずる。

≪説明≫

 本項は、受益者等課税信託の信託財産に属する資産が31・32共−1に掲げる分離課税とされる譲渡所得の基因となる資産である場合における当該資産の譲渡又は受益者等課税信託の受益者等としての権利(いわゆる信託受益権)の目的となっている資産が31・32共−1に掲げる分離課税とされる譲渡所得の基因となる資産である場合における当該権利の譲渡による所得は、原則として当該受益者等課税信託の受益者等の分離課税の譲渡所得となること、並びに分離課税の譲渡所得の金額の計算に当たって留意すべき事項を示したものである。
(注) 留意すべき事項の説明については、所得税基本通達33−1の7の説明参照。