「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について(法令解釈通達)」の趣旨説明(情報)

○ 「所得税基本通達の制定について」の一部改正について

所得税法第67条の3 《信託に係る所得の金額の計算》 関係

※ アンダーラインを付した部分が改正関係部分である。

【新設】
(受益者等課税信託の委託者がその有する資産を信託した場合の譲渡所得の収入金額等)

67の3−1 受益者等課税信託(法第13条第1項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下この項において「受益者等」という。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。以下この項において同じ。)の委託者(居住者に限る。以下この項において同じ。)がその有する譲渡所得の基因となる資産を信託し、当該受益者等課税信託の受益者等となる者が法人である場合における法第67条の3第3項の規定の適用に関しては、次の点に留意する。

(1) 当該法人が対価を負担せずに受益者等課税信託の受益者等となる者であるときは、法第59条第1項の規定により、当該資産を信託した時における価額に相当する金額を収入金額として当該委託者の譲渡所得の金額を計算する。

(2) 当該法人が対価を負担して受益者等課税信託の受益者等となる者であるときは、当該対価の額を収入金額として当該委託者の譲渡所得の金額を計算する。
 なお、この場合において、当該対価の額が法第59条第1項第2号に規定する額であるときは、同項の規定が適用される。

(注) 法第67条の3第4項から第6項までの規定の適用に関しても同様となる。

≪説明≫

1 受益者等課税信託の受益者等は、当該受益者等課税信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなして、所得税法の規定を適用することとされており(所法131)、本項は、この受益者等課税信託の委託者である居住者がその有する譲渡所得の基因となる資産を信託し、当該受益者等課税信託の受益者等となる者が法人である場合における当該居住者の譲渡所得に係る収入金額等について留意的に示したものである。

2 受益者等課税信託の委託者(居住者に限る。以下この項の説明において同じ。)がその有する資産を信託した場合において、当該受益者等課税信託の受益者等となる者(法人に限る。以下この項の説明において同じ。)が適正な対価を負担せずに受益者等となる者であるときは、当該資産を信託した時において、当該受益者等課税信託の委託者から当該受益者等課税信託の受益者等となる者に対して贈与(当該受益者等となる者が対価を負担している場合には、当該対価の額による譲渡)により当該受益者等課税信託に関する権利に係る資産の移転が行われたものとして、当該受益者等課税信託の委託者の各年分の各種所得の金額を計算することとされており(所法67の33)、具体的には次のとおりとなる。

1 当該法人が対価を負担せずに受益者等課税信託の受益者等となる場合は、当該居住者から当該法人に対する当該受益者等課税信託の信託財産に属する資産の贈与となることから、所得税法第59条第1項の規定により、当該資産を信託した時における価額に相当する金額を収入金額として当該委託者である居住者の譲渡所得の金額を計算することとなる。

2 当該法人が対価を負担して受益者等課税信託の受益者等となる場合は、当該居住者から当該法人に対して、当該対価の額により当該受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡があったこととなることから、当該対価の額を収入金額として当該委託者である居住者の譲渡所得の金額を計算することとなる。
 ただし、この場合において、当該対価の額が所得税法第59条第1項第2号に規定する著しく低い価額の対価として所得税法令第169条に定める額(譲渡資産の譲渡の時における価額の2分の1に満たない金額)であるときには、所得税法第59条第1項の規定が適用され、当該譲渡の時における価額に相当する金額により、当該受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡があったものとみなされることとなる。

3 なお、信託に新たな受益者等が存するに至った場合において、当該信託の新たな受益者等となる者が法人であり、かつ、当該信託の受益者等であった者が居住者である場合(所法67の34)、信託の一部の受益者等が存しなくなった場合において、既に当該信託の受益者等である者が法人であり、かつ、当該信託の一部の受益者等であった者が居住者である場合(所法67の35)、及び信託が終了した場合において、当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者が法人であり、かつ、当該信託の終了の直前において受益者等であった者が居住者である場合(所法67の36)においても同様となる。