「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について(法令解釈通達)」の趣旨説明(情報)

○ 「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」の一部改正について

措置法第37条の10 《株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》 関係

※ アンダーラインを付した部分が改正関係部分である。

【新 設】
(法人の自己の株式等の取得から除かれる措置法令第25条の8第8項第3号の「購入」)

37の10−27の2 措置法第37条の10第3項第4号に規定する「法人の自己の株式又は出資の取得」から除かれることとされている措置法令第25条の8第8項第3号に規定する「購入」とは、金融商品取引法第30条《認可》の規定により金融商品取引業者が内閣総理大臣の認可を受けた私設取引システムにおける有価証券の売買の媒介、取次ぎ又は代理をする場合におけるその売買(同法第2条第8項第10号ニに掲げる方法により売買価格が決定されるものを除く。)による購入であることに留意する。

≪説明≫

1 居住者等である法人の株主等が、その法人の自己の株式又は出資の取得により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額(所得税法第25条第1項の規定に該当する部分の金額(みなし配当額)を除く。)は、株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされることとされている(措法37の103四)が、以下に掲げる取得は、株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされる事由となる「その法人の自己の株式又は出資の取得」から除くこととされている(措法37の103四、旧措令25の86一〜四)。

1 証券取引所(注1)の開設する市場(外国有価証券市場(注2)を含む。)における購入による取得

(注1) 証券取引法等の一部を改正する法律(平成18年法律第65号)の施行後においては、金融商品取引所である。

(注2) 同法の施行後においては、外国金融商品市場である。

2 店頭売買登録銘柄として登録された株式のその店頭売買による購入

3 事業の全部の譲受け

4 会社法第192条第1項の規定による請求に係る同項の単元未満株式の買取り

5 取得請求権付株式に係る請求権の行使によりその取得の対価としてその取得をする法人の株式のみが交付される場合の当該取得請求権付株式の取得

6 取得条項付株式に係る取得事由の発生によりその取得の対価としてその取得をされる株主等にその取得をする法人の株式のみが交付される場合(注)の当該取得条項付株式の取得

(注) その取得の対象となった種類の株式のすべてが取得をされる場合には、その取得の対価としてその取得をされる株主等にその取得をする法人の株式及び新株予約権のみが交付される場合を含む。

7 全部取得条項付種類株式に係る取得決議によりその取得の対価としてその取得をされる株主等にその取得をする法人の株式のみが交付される場合又はその取得をする法人の株式又は新株予約権のみが交付される場合の当該全部取得条項付種類株式の取得

(参考)会社法(抜粋)

(単元未満株式の買取りの請求)

第192条 単元未満株主は、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる。

2〜3 省略

2 平成19年度税制改正において、交付を受けた金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされる「その法人の自己の株式又は出資の取得」から除くこととされる事由に、「金融商品取引法第2条第8項に規定する金融商品取引業のうち同項第10号に掲げる行為を行う者が同号の有価証券の売買の媒介、取次ぎ又は代理をする場合におけるその売買(同号ニに掲げる方法により売買価格が決定されるものを除く。)による購入」が追加された(措令25の88三)。
 そこで、本項において、当該売買による購入は、私設取引システム(PTS)を利用した取引(金融商品取引法第2条第8項第10号ニに掲げる「顧客の間の交渉に基づく価格を用いる方法」により売買価格が決定される取引を除く。)であることを留意的に明らかにしたものである。

(参考1)金融商品取引法(抜粋)

(定義)

第2条 省略

2〜7 省略

8 この法律において「金融商品取引業」とは、次に掲げる行為(その内容等を勘案し、投資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定めるもの及び銀行、優先出資法第2条第1項に規定する協同組織金融機関(以下「協同組織金融機関」という。)その他政令で定める金融機関が行う第12号、第14号、第15号又は第28条第8項各号に掲げるものを除く。)のいずれかを業として行うことをいう。

一〜九 省略

十 有価証券の売買又はその媒介、取次ぎ若しくは代理であって、電子情報処理組織を使用して、同時に多数の者を一方の当事者又は各当事者として次に掲げる売買価格の決定方法又はこれに類似する方法により行うもの

イ 競売買の方法(有価証券の売買高が政令で定める基準を超えない場合に限る。)

ロ 金融商品取引所に上場されている有価証券について、当該金融商品取引所が開設する取引所金融商品市場における当該有価証券の売買価格を用いる方法

ハ  第67条の11 第1項の規定により登録を受けた有価証券(以下「店頭有価証券」という。)について、当該登録を行う認可金融商品取引業協会が公表する当該有価証券の売買価格を用いる方法

ニ 顧客の間の交渉に基づく価格を用いる方法

ホ イからニまでに掲げるもののほか、内閣府令で定める方法

十一〜十八 省略

2〜31 省略

(認可)

第30条 金融商品取引業者は、第2条第8項第10号に掲げる行為を業として行おうとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。

2 省略

(認可の申請)

第30条の3 第30条第1項の認可を受けようとする金融商品取引業者は、次に掲げる事項を記載した認可申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。

一 商号

二 登録年月日及び登録番号

2 前項の認可申請書には、損失の危険の管理方法、業務分掌の方法その他の業務の内容及び方法として内閣府令で定めるものを記載した書類その他内閣府令で定める書類を添付しなければならない。

(参考2)金融商品取引業等に関する内閣府令(抜粋)

(認可に係る業務の内容及び方法)

第18条 法第30条の3第2項に規定する内閣府令で定めるものは、次に掲げるものとする。

一 私設取引システム運営業務において行う取引の種類

二 私設取引システム運営業務を管理する責任者の氏名及び役職名

三 私設取引システム運営業務を行う部署(私設取引システム運営業務の一部を他の者に委託する場合にあっては、その者を含む。)の名称及び組織の体制

四 私設取引システム運営業務において取り扱う有価証券の種類、銘柄及び取引の最低単位

五 私設取引システム運営業務に係る顧客との取引開始基準及び顧客の管理方法

六 売買価格の決定方法

七 気配、売買価格その他の価格情報の公表方法

八 私設取引システム運営業務において使用する電子情報処理組織の概要、設置場所、容量及び保守の方法並びに当該電子情報処理組織に異常が発生した場合の対処方法

九 私設取引システム運営業務に係る有価証券の受渡しその他の決済の方法及び顧客の契約不履行が生じた場合の対処方法

十 私設取引システム運営業務に係る取引記録の作成及び保存の方法

十一 私設取引システム運営業務の執行状況について、検査を行う頻度、部署の名称及び体制

十二 その他私設取引システム運営業務に係る損失の危険の管理又は取引の公正の確保に関する重要な事項