「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について(法令解釈通達)」の趣旨説明(情報)

○ 「所得税基本通達の制定について」の一部改正について

所得税法第59条《贈与等の場合の譲渡所得等の特例》関係

※ アンダーラインを付した部分が改正関係部分である。

59−6 法第59条第1項の規定の適用に当たって、譲渡所得の基因となる資産が株式(株主又は投資主となる権利、株式の割当てを受ける権利、新株予約権及び新株予約権の割当てを受ける権利を含む。以下この項において同じ。)である場合の同項に規定する「その時における価額」とは、23〜35共−9に準じて算定した価額による。この場合、23〜35共−9の(4)ニ に定める「1株又は1口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」とは、原則として、次によることを条件に、昭和39年4月25日 付直資56・直審(資)17「財産評価基本通達」(法令解釈通達)の178から189−7まで((取引相場のない株式の評価))の例により算定した価額と する。

(1) 財産評価基本通達188の(1)に定める「同族株主」に該当するかどうかは、株式を譲渡又は贈与した個人の当該譲渡又は贈与直前の議決権の数により判定すること。

(2) 当該株式の価額につき財産評価基本通達179の例により算定する場合(同通達189−3の(1)において同通達179に準じて算定する場合を含む。)において、株式を譲渡又は贈与した個人が当該株式の発行会社にとって同通達188の(2)に定める「中心的な同族株主」に該当するときは、当該発行会社は常に同通達178に定める「小会社」に該当するものとしてその例によること。

(3)  当該株式の発行会社が土地(土地の上に存する権利を含む。)又は証券取引所に上場されている有価証券を有しているときは、財産評価基本通達185の本文 に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり、これらの資産については、当該譲渡又は贈与の時における価額に よること。

(4)  財産評価基本通達185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり、同通達186−2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しないこと。

≪説明≫

 改正前の本項は、個人から法人に対して株式等を低額譲渡(その株式等の時価の2分の1未満の対価による譲渡)又は贈与した場合における所得税法第59条 第1項の「その時における価額」は所得税基本通達23〜35共−9に準じて算定するとともに、所得税基本通達23〜35共−9の(4)のニに定める「1株 又は1口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」は、一定の条件の下に、財産評価基本通達に準じて算定することを明らかにしてい る。
 平成18年度税制改正等に伴い、本項において以下の改正を行ったものである。

(1) 会社法の創設により、措置法第37条の10において「株式の引受けによる権利」が「株主とな る権利」に、「新株の引受権」が「株式の割当てを受ける権利」に改められるとともに、「新株予 約権の割当てを受ける権利」が株式に含まれることとされたことによる文言の整理を行った。

(2) 会社法において議決権制限株式を発行済株式の2分の1までとする制限が公開会社(注)以外 の会社について廃止され、多様な種類の株式の発行が可能となったことを踏まえ、本項(1)におい て、財産評価基本通達188の(1)に定める「同族株主」に該当するかどうかは、株式を譲渡又は贈 与した個人の当該譲渡又は贈与直前の議決権の数により判定することとした。

(注) 公開会社とは、その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社 の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう(会社法2五)。