『「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」等の一部改正について(法令解釈通達)』の趣旨説明(情報)

措置法第41条の5《居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除》関係

※ アンダーラインを付した部分が改正関係部分である。

41の5−1 総合短期譲渡所得(譲渡所得のうち所得税法第33条第3項第1号に掲げる所得で、措置法第32条第1項の規定の適用がない所得をいう。以下この項において同じ。)の金額又は総合長期譲渡所得(譲渡所得のうち所得税法第33条第3項第2号に掲げる所得で、措置法第31条第1項及び措置法第32条第1項の規定の適用がない所得をいう。以下この項において同じ。)の金額を計算する場合において、これらの所得の基因となった資産のうちに譲渡損失の生じた資産があるときは、その年中に譲渡した資産を総合短期譲渡所得の基因となる資産及び総合長期譲渡所得の基因となる資産に区分して、これらの資産の区分ごとにそれぞれの総収入金額から当該資産の取得費及び譲渡費用の合計額を控除して譲渡損益を計算する。この場合において、その区分ごとに計算した金額の一方に損失の金額が生じた場合又は居住用財産の譲渡損失の金額(措置法第41条の5第1項に規定する居住用財産の譲渡損失の金額をいう。以下41の5−11までにおいて同じ。)がある場合のその損失の金額の譲渡益からの控除は次による。

(1) 総合長期譲渡所得の損失の金額は、総合短期譲渡所得の譲渡益から控除する。

(2) 総合短期譲渡所得の損失の金額は、総合長期譲渡所得の譲渡益から控除する。

(3) 居住用財産の譲渡損失の金額は、(1)又は(2)による控除後の譲渡益について、総合短期譲渡所得の譲渡益、総合長期譲渡所得の譲渡益の順に控除する。ただし、納税者がこの取扱いと異なる順序で控除して申告したときはその計算を認める。

《説明》

1 平成16年度税制改正により、土地建物等の譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額については、原則として、土地建物等の譲渡所得以外の所得との損益通算及び翌年以後3年間の純損失の繰越控除を認めないこととされ(措法31,32)、例外として、居住用財産の譲渡損失の金額及び特定居住用財産の譲渡損失の金額のみを損益通算及び繰越控除が可能な譲渡損失とすることとされた。
 また、総合譲渡所得など土地建物等の譲渡所得以外の所得の金額の計算上生じた損失の金額についても、土地建物等の譲渡所得の金額との損益通算を認めないこととされた。

2 これを受けて、「特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除」(旧措法41の5)の内容が次のとおり改正され、特例の名称を「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」(措法41の5)とすることとされた。

1 損益通算の特例を第1項に規定し、繰越控除の特例を第4項として規定するとともに、損益通算の対象となる損失を「居住用財産の譲渡損失の金額」と定義し、繰越控除の対象となる損失を「通算後譲渡損失の金額」と定義した。

2 住宅借入金等を早期に返済した者の住替えも支援するため、譲渡資産に係る住宅借入金等の残高要件を廃止した。

3 このため、今回の通達改正により、措通31・32共−2(譲渡所得の金額の計算)の取扱いを、分離譲渡所得内における通算に限定した取扱いに改めることとし、従来の総合譲渡所得の間との通算の順序の取扱いは、損益通算の特例である居住用財産の譲渡損失の金額又は特定居住用財産の譲渡損失の金額の取扱いにおいて定めることと整理したところである(詳細は、措通31・32共−2の説明を参照)。

4 本項は、この整理を受け、居住用財産の譲渡損失の金額を総合譲渡所得の金額から控除するにあたり、総合譲渡所得間の通算を行った後の残額について、原則として、総合短期譲渡所得、総合長期譲渡所得の順に控除することを明らかにしたものである。
 なお、例えば、総合短期譲渡所得の譲渡益が収用等の場合の5,000万円控除(措法33の4)の対象である場合のように、総合長期譲渡所得から先に控除する方が有利となる場合があることに留意する必要がある。


『「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」等の一部改正について(法令解釈通達)』の趣旨説明(情報)