商品先物取引において現物の受渡しを行った場合、消費税の課税標準及び課税仕入れの額は、どのように計算するのでしょうか。
商品先物取引とは、将来の一定期日に一定の商品を売る又は買うことを約束して、その対価をその約定の時点(売り注文又は買い注文の成約時点)で決める取引で、現実に商品の受渡し(現引き、現渡し)ができますが、納会日までに当初の約定と反対の約定(売り約定の場合は買い約定、買い約定の場合は売り約定)を行うことで、売買差額の授受による決済(差金決済)により、取引を終了することもできるものです。
商品先物取引における消費税の課税関係については、消費税法基本通達9−1−24において、差金決済により取引を終了(現物の受渡しを行わない)した場合は、「資産の引渡しを伴わない取引であるから資産の譲渡等には該当しない」が、「現物の引渡しを行う場合には、当該引渡しを行う日に資産の譲渡等が行われたことになる」とされています。
照会のように、商品先物取引において現物の受渡しを行った場合には、売手(現渡しを行う者)の売約定に係る約定代金(約定値段(単価)に数量を乗じて算出した金額)及び買手(現引きをする者)の買約定に係る約定代金は、消費税抜きの金額とされていることから、売手が収受すべき金額又は買手が支払うべき金額は、約定代金のほかに、受渡代金(納会日の最終帳入値段(単価)を受渡値段(単価)として、これに数量を乗じて算出した金額)に消費税率を乗じて算出される金額が消費税相当額として、取引所を介して授受されています。
したがって、売手の消費税の課税標準は、次のとおりとなります。
○ 消費税の課税標準=(約定代金(税抜)+受渡代金を課税標準として算出される消費税相当額)×100/110※
※ 軽減税率の適用対象となる取引については100/108
また、買手の課税仕入れに係る支払対価の額は、次のとおりとなります。
○ 支払対価の額=約定代金(税抜)+受渡代金を課税標準として算出される消費税相当額
なお、商品先物取引の特殊性に鑑み、継続して「約定代金」に代えて「受渡代金」に基づき、消費税の課税標準又は支払対価の額の計算を行う場合(上記の算式において、「約定代金」を「受渡代金」とする場合)には、これによって差し支えありません。
(注)商品先物取引においては、差金授受による決済があるため、受渡しにあたり売手の「約定代金」と買手の「約定代金」は一致しない場合があります。
消費税法第28条第1項、第30条第1項
消費税法基本通達9−1−24