(問)

 総価契約単価合意方式は、工事請負契約における受発注者間の双務性の向上の観点から、請負代金額の変更があった場合の金額の算定や部分払代金額の算定を行うための単価等を前もって協議し、合意しておくことにより、設計変更や部分払に伴う協議の円滑化を図ることを目的として実施しています。
 また、その実施方式としては、単価等を個別に合意する方式(以下「単価個別合意方式」といいます。)を基本としておりますが、分任支出負担行為担当官が発注する契約工事においては、受注者の希望により、単価を包括的に合意する方式(以下「単価包括合意方式」といいます。)も可能なものとなっています。
 なお、いずれの場合であっても、発注者と受注者との間では、「工事請負契約書」文例1(PDFファイル/106KB)と「単価合意書」(単価個別合意方式用)文例2(PDFファイル/81KB)又は「単価合意書」(単価包括合意方式用)文例4(PDFファイル/94KB)が締結されることになります。
 このうち、「工事請負契約書」は、印紙税法上、請負に関する契約書(第2号文書)に該当することから、請負金額に応じて収入印紙を貼付していますが、契約当事者間で作成されるもう一方の「単価合意書」の印紙税の取扱いを教えてください。
(注) 文例2(PDFファイル/81KB)の単価合意書には「単価表」文例3(PDFファイル/98KB)が、文例4(PDFファイル/94KB)の単価合意書には「工事数量総括表」文例5(PDFファイル/74KB)を添付します。

(答)

 単価個別合意方式に係る単価合意書は、印紙税法上、記載金額のない請負に関する契約書(第2号文書)に該当しますので、200円の収入印紙の貼付が必要となります。
 また、単価包括合意方式に係る単価合意書は、記載される合意内容により、記載金額のない請負に関する契約書(税額200円)に該当します。

(解説)

1. 単価個別合意方式に係る単価合意書について

 当該単価合意書は、工事における契約の変更に用いる単価又は金額を定めるために、原契約書(工事請負契約書)で定められた契約金額(請負金額の総額)に係る工事種別ごとの単価又は金額(内訳金額)を記載して契約当事者間で合意した契約書であり、原契約書で定められていない契約内容(請負の内容、単価、取扱数量及び契約金額に密接に関連する事項(内訳金額))を補充するものと認められますから、印紙税法上、請負に関する契約書(第2号文書)に該当します。
 また、当該単価合意書には、契約の変更に用いる単価又は金額(内訳金額)のほかに当該内訳金額の合計金額(請負金額の総額)も記載されていますが、当該合計金額は、原契約である工事請負契約書の内容から判断してこの文書(単価合意書)によって新たに契約金額を取り決めたものではなく、既に締結されている工事請負契約書の契約金額の内訳である単価又は金額の合計額を示しているに過ぎませんから記載金額には該当しません。
 したがって、当該単価合意書は、印紙税法上、記載金額のない請負に関する契約書(第2号文書)に該当し、200円の収入印紙の貼付が必要となります。

2. 単価包括合意方式に係る単価合意書について

 当該単価合意書は、契約の変更に用いる単価等の考え方について合意したものであり、具体的な単価(数値として具体性を有するもの)を合意したものではありませんので、印紙税法上の請負に関する契約書に係る「単価」を定めたものとは認められません。
 しかし、当該単価合意書には、工事数量総括表を別紙として添付することとされており、当該工事数量総括表に記載される内容は、原契約書で定められていない契約内容(請負の内容及び取扱数量)を補充するものと認められますから、当該単価合意書は、記載金額のない請負に関する契約書(税額200円)に該当します。
 また、追加工事等により、原契約書の変更契約の締結に伴い、改めて単価合意書を作成する場合には、工事数量総括表の内容(請負内容又は取扱数量)が変更されますので、記載金額のない請負に関する契約書(税額200円)に該当します。
※ 賃金又は物価変動に基づく請負代金額の変更(労務単価など単価のみの変更)に伴い、改めて単価合意書を作成する場合には、工事数量総括表の内容に変更はありませんので、課税文書に該当しません(不課税文書)。