(問77)

連結納税制度の適用を受けている連結親法人P社(3月決算)、連結子法人S1社及びS2社(いずれも普通法人に該当します。)は、通算制度の施行日である令和4年4月1日以後に開始する事業年度から通算制度へ移行することとなりました。
  連結納税制度下において、P社は中小法人等に該当していたため、P社の各連結事業年度開始の日前10年以内に開始した連結事業年度において生じた連結欠損金額について、その各連結事業年度の連結所得の金額を限度として損金の額に算入していました(以下、連結納税制度下におけるこの特例と通算制度下におけるこれと同様の特例を総称して「中小法人等の欠損金額の特例」といいます。)。
  P社の連結グループが通算制度へ移行した最初の事業年度(自令和4年4月1日至令和5年3月31日事業年度)終了の時における各通算法人の資本金の額がそれぞれ次のとおりである場合、P社、S1社及びS2社はそれぞれ中小法人等の欠損金額の特例を引き続き適用することはできますか。

P社 S1社 S2社
令和5年3月 31日
における資本金の額
8,000万円 2億円 5,000万円

【回答】

自令和4年4月1日至令和5年3月31日事業年度において、P社、S1社及びS2社いずれの法人についても中小法人等に該当しないため、連結納税制度下において適用していた中小法人等の欠損金額の特例の適用を受けることはできません。

【解説】

1 欠損金額に相当する金額の損金算入について

 内国法人の各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額がある場合には、その欠損金額に相当する金額は、各事業年度の所得の金額の50%に相当する金額を限度として(注)損金の額に算入することとなります(法571)。
(注) 中小法人等は、各事業年度の所得の金額が限度となります(法5711)。

2 中小法人等に該当する法人について
  中小法人等とは、各事業年度終了の時において次に掲げる法人に該当する内国法人をいいます(法5711一)。
  (1)普通法人(投資法人、特定目的会社及び法人税法第4条の3に規定する受託法人を除きます。)のうち、資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの(次に掲げる法人及び大通算法人(注)を除きます。)又は資本若しくは出資を有しないもの(保険業法に規定する相互会社及び大通算法人(注)を除きます。)

イ 大法人(次に掲げる法人をいいます。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人

  1. (イ) 資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人
  2. (ロ) 保険業法に規定する相互会社及び外国相互会社
  3. (ハ) 法人税法第4条の3に規定する受託法人

ロ 普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式及び出資の全部をその全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合において、そのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記イに掲げる法人を除きます。)

(注) 大通算法人とは、通算法人である普通法人又はその普通法人の各事業年度終了の日においてその普通法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうち、いずれかの法人がその各事業年度終了の時における資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人など一定の法人に該当する場合におけるその普通法人をいいます(法666括弧書)。

  1. (2) 公益法人等又は協同組合等
  2. (3) 人格のない社団等
 すなわち、通算グループ内の法人がいずれも普通法人に該当し、かつ、その通算グループ内のいずれかの法人の資本金の額又は出資金の額が1億円を超える場合、その 通算グループ内の各通算法人はいずれも中小法人等には該当しないこととなります。

3 中小法人等の欠損金額の特例の適用可否
 本件において、P社の通算グループの各通算法人の欠損金額の特例の適用可否は以下のとおりとなります。

(1) P社及びS2社
  P社及びS2社は、自らは資本金の額が1億円以下であるものの、自らの事業年度終了の日において通算完全支配関係がある他の通算法人であるS1社が資本金の額が1億円を超える法人に該当し(資本金の額:2億円)、大通算法人に該当して中小法人等には該当しないことから、その特例の適用はありません。

(2) S1社
  自らが資本金の額が1億円以下の法人に該当せず、中小法人等には該当しないことから、その特例の適用はありません。
  このように、連結納税制度下においてP社の連結グループは中小法人等の欠損金額の特例の適用を受けることができましたが、P社の通算グループの最初の事業年度である自令和4年4月1日至令和5年3月31日事業年度においては、P社、S1社及びS2社いずれもその特例の適用は受けられないこととなります。

(参考)
 完全支配関係及び通算完全支配関係については、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問3 完全支配関係と通算完全支配関係の意義