【新設】(リース取引に係る売掛債権等)

11-2-19の2 法第64条の2第1項《リース取引に係る所得の金額の計算》により売買があったものとされたリース取引に係るリース料のうち、当該事業年度終了の時において支払期日の到来していないリース料の額の合計額は売掛債権等に該当するものとする。

【解説】

1  平成19年度の税制改正により、リース取引については、リース資産の賃貸人から賃借人への引渡しの時にそのリース資産の売買があったものとして所得金額の計算をすることとされている(法64の21)。この場合、賃貸人は税務上売買とされるリース取引に係る未経過リース料について、貸倒引当金の繰入限度額の計算上売掛債権等に該当するものとして計算ができるのかという疑問が生じる。
 そこで、本通達において、税務上、売買とされるリース取引に係るリース料の額のうち支払期日の到来していないリース料の額の合計額は、貸倒引当金の繰入限度額の計算上、売掛債権等に該当するということを明らかにしている。

2  リース会計基準においては、ファイナンス・リース取引に係る賃貸人はリース取引開始時に、通常の売買取引に準じた会計処理により、所有権移転ファイナンス・リース取引で生じる資産はリース債権に計上し、所有権移転外ファイナンス・リース取引で生じる資産はリース投資資産として計上することとされている(リース会計基準13・40)。したがって、支払期日の到来していないリース料の額の合計額について、決算書上においてリース債権又はリース投資資産として計上されることとなる。
 ただし、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース投資資産には、リース料の額だけでなく見積残存価額も含まれる。この見積残存価額とは、リース資産のリース期間終了の時における処分可能価額を見積った金額であり、貸倒引当金の対象となる売掛債権等には該当しないこととなるため、決算書の注記で見積残存価額相当額を明示するなど、貸倒引当金の対象となる未経過リース料の金額を明らかにする必要がある。

3  連結納税制度においても、同様の通達(連基通10-2-21の2)を定めている。

(参考)

リース会計基準(抄)
 ファイナンス・リース取引の注記
 (貸手側)

20.リース投資資産について、将来のリース料を収受する権利(以下「リース料債権」という。)部分及び見積残存価額(リース期間終了時に見積られる残存価額で借手による保証のない額)部分の金額(各々、利息相当額控除前)並びに受取利息相当額を注記する。ただし、重要性が乏しい場合には、当該注記を要しない。

所有権移転外ファイナンス・リース取引の注記例(リース会計適用指針「設例1」5参照)

《貸手の注記―リース投資資産の内訳(X2年3月31日)(リース会計基準第20項)》

未経過リース料の金額の図