Q A社(資本金8千万円・2月決算)は、平成19年3月1日に同社を被合併法人とする適格合併をB社(資本金3億円・2月決算)との間で行いました。

A社は次のとおりいわゆる無税退職給与引当金勘定の金額を有していますが、同社の平成19年2月期(最後事業年度)において取り崩すべき退職給与引当金勘定の金額はいくらになりますか。

〔前提となる事実関係〕

(1) A社の改正事業年度(※1)終了の時の資本の金額 8千万円

(2) A社の改正事業年度開始の時に有する退職給与引当金勘定の金額 1億円

(3) A社の平成19年2月期の期首現在の退職給与引当金勘定の金額 7千万円
(※2)

(4) A社の平成19年2月28日(合併の日の前日)現在の在職使用人の 自己都合による退職給与の要支給額の合計額 5億円

(5) B社の改正事業年度終了の時の資本の金額 3億円

※1 平成15年3月31日以後最初に終了する事業年度又は連結事業年度をいいます。
※2 7千万円=1億円−1千万円(16/2取崩し)−1千万円(17/2取崩し)−1千万円(18/2取崩し)

A 平成14年7月の法人税法の改正により退職給与引当金制度が廃止され、改正事業年度開始の時において退職給与引当金勘定を有する法人はその取崩しを段階的に行っているところです。

ま た、当該法人が改正事業年度以後の各事業年度又は各連結事業年度において合併、分割、現物出資又は事後設立(以下「組織再編成」といいます。)を行ったこ とに伴い被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人(以下「被合併法人等」といいます。)の使用人が合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又 は被事後設立法人(以下「合併法人等」といいます。)の業務に従事することとなった場合には、その使用人の全部又は一部に退職給与を支給していないこと等 の要件を満たすときには、被合併法人等がその組織再編成の直前に有する退職給与引当金勘定の金額のうち一定の金額を合併法人等に引き継ぐこととされていま す(平成14年改正法附則85、平成14年改正法令附則5)。

ただし、平成18年度の税制改正により、平成18年4月1日以後に組織再編成に係る合併法人等が改正事業年度終了の時における資本の金額が1億円超の法人又 は相互会社等に該当する場合には、被合併法人等が有する退職給与引当金勘定の金額を合併法人等に引き継げないこととされました(平成18年改正法令附則 37による改正後の平成14年改正法令附則511)。

本事例は、資本の金額が1億円を超える法人との間で合併が行われたものであり、合併法人に退職給与引当金勘定の金額を引き継ぐことはできないことから、被合併法人においてその金額を取り崩すこととなります。

したがって、被合併法人A社の平成19年2月期(最後事業年度)において退職給与引当金勘定の金額の残額7千万円を取り崩して、益金の額に算入します。