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第6 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係

【新設】(資本的支出)

47の2−16 措置法第47条の2第1項の規定の適用を受けている特定再開発建築物等について資本的支出(増築に該当するものを除く。以下同じ。)がされた場合には、当該特定再開発建築物等について同項の規定の適用がある期間内に限り、当該資本的支出に係る金額についても同項の規定の適用があるものとする。

(注) 措置法令第29条の5第5項に規定する増改築に係る計画に係る特定建築物については、その増改築に係る部分が同条第4項に定める要件を満たす必要があることに留意する。

【解説】

 割増償却制度は一定の供用期間内を含む事業年度にわたって特別償却を認めるというものであることから、適用対象資産の中には、その一定の供用期間内において、修理、改良等のための費用を支出するものもあり得る。そして、この支出した金額は、単なる修繕費として支出時の損金とされるか、資本的支出に該当する金額として適用対象資産の取得価額に加算されることになる(法令55、132)。
 これに関連して、割増償却制度の適用上、適用初年度の割増償却限度額の計算に当たっては、取得時の原始取得価額を基礎としていることから、その後に資本的支出に該当する金額の支出があった場合に、その割増償却限度額をどのように計算することになるのか疑義が生ずる。
 そこで、本通達において、措置法第47条の2《特定再開発建築物等の割増償却》の規定による割増償却の適用を受けている特定再開発建築物等について資本的支出がされた場合には、その特定再開発建築物等について同条の規定の適用がある期間内に限り、その資本的支出に係る金額についても同条の適用があることを明らかにしている。
 ところで、税法上の資本的支出は、専ら修繕費との区分を考えて規定されている概念であること(法令55、132)から、文理的にもともと新たな資産の取得に当たるような量的支出のことは考えていないようである。このため、建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得そのものに当たるものであり、この点は、法人税基本通達7−8−1《資本的支出の例示》の(注)において明らかにしているところである。ただし、会計上の考えや税務上の古い取扱いの中には、増築等は資本的支出の一部として捉えている考えもあることから、本通達のかっこ書において、増築に該当するものを念のため資本的支出から除く旨を明らかにしている。
 なお、平成14年度の税制改正により適用対象に追加された措置法令第29条の5第5項[現行:第7項]に規定する「増改築に係る計画に係る特定建築物[現行:特別特定建築物]」については、その増改築前に取得した建物部分ではなく、その増改築に係る部分が同条第4項[現行:第6項]に定める要件を満たす必要があるとともに、その増改築に係る部分だけが適用対象となる。本通達の(注)において、このことを明らかにしている。

【新設】(共同出展法人の積立限度額の計算)

57の2−1 他の法人と共同して財団法人2005年日本国際博覧会協会(以下「協会」という。)との間に直接又は間接に日本国際博覧会への出展参加契約を締結した法人(以下「共同出展法人」という。)が日本国際博覧会出展準備金を積み立てる場合の措置法令第33条の2第3項に規定する「その出展をする法人に係るもの」は、2005年日本国際博覧会出展参加契約書に添付される計画書に定める「出展に要する費用の分担割合」(集合館出展の場合は「各参加者の占有展示面積割合」。以下「分担割合等」という。)によって計算した金額をいうものとする。

【解説】

 平成14年度の税制改正により日本国際博覧会出展準備金制度が創設され、青色申告法人で日本国際博覧会(開催期間:平成17年3月25日〜平成17年9月25日)を主催する財団法人2005年日本国際博覧会協会等との間で出展参加契約を締結した法人が、平成14年7月1日から平成17年3月24日までの期間内を含む各事業年度において、その出展により生ずる一定の費用又は損失(以下「出展費用等」という。)の支出又は補てんに充てるため、契約敷地面積1平方メートル当たり54万円を限度として日本国際博覧会出展準備金を積み立てたときは、その積立額の損金算入を認めることとされた(措法57の21、措令33の23)。
 この日本国際博覧会出展準備金を積み立てることとなる法人のうち、単独出展法人の場合については、その主催団体である財団法人2005年日本国際博覧会協会(以下「協会」という。)との間で直接出展参加契約を締結することとなるが、共同出展法人の場合には、次のような出展参加契約の締結形態を採ることが予定されている。

イ 個々の出展参加法人と協会との間に公益団体(財団法人、社団法人その他公益を目的とする法人をいい、地方公共団体を含む。)を介在させ、その公益団体が協会との間で共同出展に関する基本的な契約を締結し、個々の出展参加法人はその公益団体との間で出展参加契約を締結する形態

(注) この契約形態は、措置法令第33条の2第1項で協会以外の公益団体に対しても、その間において出展参加契約の締結が認められているものである。

ロ 個々の出展参加法人と協会との間に特定の団体等を介在させ、個々の出展参加法人が、1その特定の団体等を代理人と定め、2協会との間で出展参加契約を締結し又は変更する一切の権限を委任するとともに、3協会との間で出展参加契約に基づく権利を行使し及び義務を履行する一切の権限等を委任するほか、4その特定の団体等との間で個別に出展参加契約を締結する形態

(注) この契約形態は、形式上、協会との間でその特定の団体等が契約対象者となっているが、通常は、その特定の団体等は出展参加法人の出展参加契約のとりまとめを行っているにすぎない場合に当たる。このようなことから、その特定の団体等が自ら出展しない場合も当然あり得る。

 このように、この準備金の積立てをすることができるのは、協会との間で直接又は間接に出展参加契約を締結した法人に限られるのであるが、共同出展をする法人における準備金の積立限度額の計算に当たって、その計算の基礎となる措置法令第33条の2第3項に規定する「その出展をする法人に係るもの」とは何をいうのかということに疑義が生ずる。
 この点、本準備金は出展費用等の支出又は補てんに充てるために積立てをすることを認めるものであることから、この場合の「その出展をする法人に係るもの」とは、全体の準備金の積立限度額のうち当該共同出展をする法人の出展費用等に対応するものと解することが合理的である。
 そこで、本通達において「その出展をする法人に係るもの」とは、契約の締結に当たって協会との間で取り交わす出展参加契約書の添付書類である計画書に、その記載事項として明記されることになっている「出展に要する費用の分担割合」によって計算した金額をいう旨を明らかにしている。
 ところで、集合館出展(比較的小規模な出展を希望する企業又は企業グループが集合してパビリオンを建設し運営するもの)にあっては、各参加者の集合館占有展示面積に応じて、最終的な費用配分額が決定することが予定されており、添付書類である計画書に明記されることになっている「各参加者の占有展示面積割合」によって計算した金額をいう旨を併せて明らかにしている。

(注) パビリオンの出展形態は、単独館(企業若しくは企業グループ又は同一業界等で独立したパビリオンを建設し運営するもの)、共同館(特定のテーマのもと、企業又は企業グループ等が共同でパビリオンを建設し運営するもの)及び集合館によるものがあるが、集合館出展は、現在のところ予定されていない。
 したがって、共同出展法人の積立限度額は、次の算式により計算した金額となる。
(算式)
 契約敷地面積 × 54万円/m2 × 分担割合等 × 当期の月数/33

 なお、この準備金の積立てをすることができる法人は、あくまでも協会との間で直接又は間接に出展参加契約を締結している法人に限られる。このため、仮に、協会との間で単独出展契約を締結している法人がその出展費用等の一部を事実上関係会社等に負担させることとしている場合には、その単独出展契約を締結している法人だけが準備金の積立てを行うことができるのであり、その関係会社等においては、負担部分に対する準備金の積立てを行うことはできないことに留意する必要がある。

【新設】(実質的に同一であると認められる者の意義)

 59−1 措置法規則第21条の17の2第1項第2号に規定する「内国法人と実質的に同一であると認められる者」とは、例えば、支店形態で営業開始の後に別法人を設立した場合の当該支店や個人事業者がいわゆる法人成りをした場合の当該個人事業者をいう。

【解説】

 この制度は、対象地区内において対象事業を営む一定の要件を満たす法人について、原則として、その法人の「設立の日から同日以後10年を経過する日までの期間」内に終了する各事業年度(注)において、所定の金額を所得金額から控除するというものである(措法591[現行:措法601])。

(注) 沖縄の特定地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の9)又は特定地域における工業用機械等の特別償却(措法45)(準備金方式によるもの(措法52の3111)を含む。)の適用を受ける事業年度を除く(措法591[現行:措法601])。

 この「設立の日から同日以後10年を経過する日までの期間」は、次に掲げる場合に該当する場合には、それぞれ次に定める期間とされる(措令353[現行:措令363])。

イ 適用対象法人が合併により設立された法人であり、かつ、その合併に係る各被合併法人のうちいずれかの法人が対象地区内において対象事業を営んでいた場合
 その適用対象法人の設立の日から次の算式により計算した適用月数を経過する日までの期間(措規21の17の21一)

適用月数=120月−その被合併法人のうち対象地区内において対象事業を開始した日が最も早い法人がその対象事業を営んでいた期間の月数

ロ 適用対象法人と実質的に同一であると認められる者がその適用対象法人の設立前に対象地区内において対象事業を営んでいた場合(上記イに掲げる場合を除く。)
 その適用対象法人の設立の日から次の算式により計算した適用月数を経過する日までの期間(措規21の17の21二)

適用月数=120月-その実質的に同一であると認められる者が対象地区内においてその対象事業を営んでいた期間の月数

適用月数のイメージ図

 ところで、上記ロの適用対象法人と「実質的に同一であると認められる者」とは、どのような者をいうのか疑義が生ずるところである。
 この点については、本特例制度は、対象地区内における新規事業の育成や企業誘致の観点から、対象地区内において対象事業を営み始めて10年以内の者に対して税制上の恩典を与えるものであり、そのことを実質的に担保するため、上記イの合併法人に対する被合併法人との関係以外にも「実質的に同一であると認められる者」を規定に掲げ、その者に係る除斥すべき期間を定めたものである。
 この立法の趣旨にかんがみれば、例えば、支店形態で営業開始の後に別法人を設立した場合の当該支店や個人事業者がいわゆる法人成りをした場合の当該個人事業者などがこれに該当するものであり、その者が対象地区内において対象事業を営んでいた期間の月数を適用期間から除斥することになる。本通達において、このことを明らかにしている。

【新設】(特定外国子会社等から中間配当の額を受けた場合の取扱い)

66の6−25 内国法人が、当該事業年度において特定外国子会社等から商法第293条ノ5第1項に規定する金銭の分配に類するもの(以下66の6−25において「中間配当」という。) を受けた場合には、当該中間配当に係る事業年度の利益の配当又は剰余金の分配(以下66の6−25において「確定配当」という。) を受けることとなる当該内国法人の事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)において、当該中間配当の額と当該確定配当の額との合計額に基づき措置法第66条の6第1項及び第66条の8第1項の規定(同法第68条の90第1項及び第68条の92第1項の規定を含む。)を適用する。

【解説】

 措置法第66条の6第1項に規定する適用対象留保金額の計算においては、特定外国子会社等の各事業年度の未処分所得の金額から「納付法人所得税の額」及び「当該各事業年度に係る利益の配当又は剰余金の分配の額」を控除することとされている(措令39の161)。
 一方、課税済留保金額を有する内国法人が、当該課税済留保金額に係る特定外国子会社等から利益の配当又は剰余金の分配の額の支払を受けることとなった場合には、その受けることとなった日の属する事業年度において、当該利益の配当等の額のうち当該課税済留保金額から充てられた部分の金額については、所得の金額の計算上、損金の額に算入することとされている(措法66の81)。
 また、この場合の損金算入額は、利益の配当又は剰余金の分配の計算の基礎となった事業年度終了の時における特定外国子会社等の株式の持株割合を基礎として計算することとされている(措令39の192一)。
 ところで、内国法人が特定外国子会社等から商法第293条ノ5第1項《中間配当》に規定する金銭の分配に類するもの(以下「中間配当」という。)の額の支払を受ける場合があるが、措置法第66条の8第1項第1号においては「利益の配当又は剰余金の分配の額の支払」とだけ規定されており、中間配当に関して直接規定されていないことから、当該内国法人がこの中間配当の額の支払を受けたときに同項の規定の適用があるかどうか疑問が生じ得る。
 この点、

1 タックス・ヘイブン対策税制は、制度上、特定外国子会社等の各事業年度に係る留保利益を基礎として適用されるものであること(措法66の81一、措令39の161二)

2 措置法第66条の8第1項第1号の規定上、「利益の配当又は剰余金の分配」とされており、中間配当を予定したものとはなっていないこと

から、当該内国法人が当該中間配当の額の支払を受けたことに基づき同項の規定を適用することは相当ではない。
 次に、当該中間配当の額については、上記12から同号の「利益の配当又は剰余金の分配」に該当せず、同項の規定の適用がないのではないかとの問題が生じるが、

1 当該中間配当の額は、当該事業年度の利益の配当等の額の前払であるとも考えられること

2 特定外国子会社等が中間配当の額を支払うことにより、当該特定外国子会社等の当該事業年度終了時における留保利益額が減少すること

から、当該中間配当の額は、当該中間配当の額が確定した日の属する当該特定外国子会社等の事業年度の確定決算に係る配当等(以下「確定配当」という。)の額を当該内国法人が受けることとなった日において当該事業年度(当該確定決算)に係る利益の配当又は剰余金の分配の額に該当するものとして取り扱うのが相当であり、当該確定配当の額と併せて同項の規定を適用するのが適当である。本通達は、このことを明らかにしている。

(注) 措置法第66条の6第1項の未処分所得の金額を計算する場合(措令39の161)における当該中間配当の額についても、同様の理由から確定配当に含めて計算するのが適当である。

 そして、仮に、当該特定外国子会社等の当該中間配当の額が確定した日を含む事業年度につき確定配当をしない旨の決議があった場合には、その決議があった日を当該利益の配当等の額を受けることとなった日とし、当該中間配当の額を利益の配当等の額として取り扱うのが適当である。
 なお、本通達の取扱いがある場合であっても、当該中間配当の額の収益計上は、その支払を受けることとなった日(基本通達2−1−27及び2−1−28に定められているところにより配当等を収益に計上することとなる日)の属する事業年度において行うことになる。
 措置法第68条の90及び第68条の92に係る取扱いとして新たに定めた連措通68の90−25《特定外国子会社等から中間配当の額を受けた場合の取扱い》は、連結法人が連結確定申告を行う場合の取扱いとして本通達を置き換えたものであり、その趣旨に変わりはない。

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