[ 連結納税関連 ]

第4 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係

【改正】(5,000万円損金算入の特例と圧縮記帳等の特例との適用関係)

65の2−2 法人が、同一事業年度のうち同一の年に属する期間中に収用換地等により譲渡した資産のうちに、例えば最初に買取り等の申出のあった日から6月を経過した日までに譲渡した資産と同日後に譲渡した資産とがあるなど、5,000万円損金算入の特例の適用が受けられる資産と受けられない資産とがある場合において、その受けられる資産につき5,000万円損金算入の特例の適用を受けたときは、5,000万円損金算入の特例の適用が受けられない資産については、圧縮記帳又は特別勘定経理の特例の適用はないことに留意する。

(注)

1 措置法第65条第1項第4号から第6号までに掲げる場合に該当する資産の譲渡をした場合において、換地処分等により取得したこれらの号に規定する資産については、他の収用換地等された資産についての5,000万円損金算入の特例の適用の有無に関係なく、圧縮記帳の特例だけが適用される。

2 連結親法人及びその連結子法人のうちいずれかの連結法人が分割型分割を行った場合における当該連結法人の分割の日の前日を含む事業年度内において譲渡をした資産については、当該連結法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人が当該譲渡をした日と同一年中の日に他の譲渡をした資産について当該他の資産の譲渡をした日を含む連結事業年度の連結所得の金額の計算において措置法第68条の70から第68条の72までの規定の適用を受けた又は受けるかどうかにかかわらず、圧縮記帳等の特例と5,000万円の損金算入の特例とのいずれかを選択することができる。

【解説】

 収用換地等の場合の所得の特別控除(5,000万円損金算入の特例)は、措置法第64条から第65条までの圧縮記帳等の特例との選択適用となっている。具体的には、法人が譲渡した資産につきこれらの規定による圧縮記帳等の特例の適用を受けた場合には、その資産の譲渡と同一事業年度のうち同一暦年中に譲渡した他の資産について、収用換地等の場合の所得の特別控除の適用を受けることはできない(措法65の21)。
 ところで、連結法人が連結親法人事業年度の中途で分割型分割を行った場合、その連結法人は分割前事業年度につき単体申告を行うこととなるが(法15の21)、連結納税制度においては、連結グループを一の納税単位としているため、他の連結法人が譲渡した資産につき当該分割の日を含む連結事業年度において圧縮記帳等の特例の適用を受ける場合には、当該連結法人の分割前事業年度における譲渡(他の連結法人の譲渡の日と同一暦年中の譲渡に限る。)については収用換地等の場合の所得の特別控除の適用を受けることができないのではないかとの疑義が生ずる。
 しかしながら、単体規定の収用換地等の場合の所得の特別控除(措法65の21)の選択適用は、法人ごとに適用するものであることから、他の連結法人が連結規定上の圧縮記帳等の特例の適用(措法68の70〜68の72)を受けた又は受けるかどうかにかかわらず、当該連結法人のみで選択することとなる。
 このことは、法令上の文言を忠実に読めば明らかではあるが、連結法人の行う単体申告である分割前事業年度については、連結グループを一として適用関係を調整している制度(68の2−1【解説】参照)もあることから、本通達の(注)2において留意的に明らかにしている。
 なお、連結事業年度における収用等の場合の連結所得の特別控除の規定(措法68の731)の適用については、「当該連結親法人又はその連結子法人が当該連結事業年度のうち同一の年に属する期間中に収用換地等により譲渡した資産……のいずれについても第68条の70から前条までの規定の適用を受けないときは、」とされており、各連結法人は、他の連結法人が措置法第68条の70から第68条の72までの規定の適用を受けた又は受けるかどうかにかかわらず、当該連結法人は圧縮記帳等の特例と収用換地等の場合の所得の特別控除を選択することができる。このことは、連措通68の73−2(注)2《5,000万円損金算入の特例と圧縮記帳等の特例との適用関係》において明らかにしている。

【新設】(当該事業年度前の連結事業年度に他の連結法人が5,000万円の損金算入の特例を受けた場合の適用関係)

65の2−3の3 措置法第65条の2第1項に規定する5,000万円の額は、法人ごとの年を通ずる損金算入限度額であるから、仮に、法人の当該事業年度直前の事業年度が連結事業年度に該当し、かつ、当該連結事業年度において当該法人と連結完全支配関係を有する他の連結法人が措置法第68条の73第1項の規定の適用対象となる収用換地等による譲渡を行ったことにより、連結所得の金額の計算上、同項の規定による5,000万円の損金算入の特例の適用を受けている場合であっても、当該連結事業年度後の当該事業年度において、当該法人が当該他の連結法人が行った譲渡等の日と同一年中の日に措置法第65条の2第1項の規定の適用の対象となる収用換地等による譲渡を行ったときには、同項に規定する5,000万円を限度として同項の規定の適用があることに留意する。
 同条第2項又は第7項の5,000万円損金算入の特例についても、同様とする。

(注) 5,000万円損金算入の特例による損金算入限度額の計算上5,000万円から控除することとなる金額は、同一の年に属する期間中の収用換地等につき措置法第65条の6の規定(同法第68条の77の規定を含む。)の適用を受けたかどうかにかかわらず、当該収用換地等につき既に措置法第65条の2の規定(同法第68条の73の規定を含む。)により計算した損金算入額となる。

【解説】

1 措置法第65条の2第1項の規定により損金算入額を計算する場合において、損金算入限度額となる5,000万円の金額は、適用を受けようとする資産の譲渡と同一の年における他の資産の譲渡につき、同項、第2項又は第7項の規定により既に損金の額に算入した(又はする)金額がある場合には、5,000万円からその金額を控除した金額となる(措法65の21)。

2 ところで、連結法人が連結親法人事業年度の中途で分割型分割を行った場合には、その連結法人は分割前事業年度につき単体申告を行うこととなるが(法15の21)、連結納税制度においては、連結グループを一の納税単位としているため、同一暦年中に、他の連結法人が譲渡した資産につき措置法第68条の73第1項《収用換地等の場合の連結所得の特別控除》の規定の適用を受けている場合には、当該連結法人は措置法第65条の2第1項の規定による損金算入限度額の計算上、当該他の連結法人が措置法第68条の73第1項の規定の適用を受けた金額を5,000万円から控除することとなるのではないかとの疑問が生じ得る。
 しかしながら、措置法第65条の2第1項の5,000万円の金額は、法人ごとに設けられた損金算入限度額であることから、他の連結法人が措置法第68条の73第1項の適用を受けているかどうかにかかわらず、当該連結法人は5,000万円を限度として措置法第65条の2第1項の損金算入限度額を計算することができる。
 本通達の本文は、このことを留意的に明らかにしている。
 なお、連結事業年度における収用換地等の場合の連結所得の特別控除の規定における5,000万円の金額も各連結法人ごとに設けられた損金算入限度額であるから、他の連結法人がその規定の適用を受けていても、当該連結法人は、5,000万円を限度として損金算入額を計算することができる。このことは、連措通68の73−5の本文《他の連結法人が5,000万円損金算入の特例を受けた場合の適用関係》において明らかにしている。

3 また、同一暦年中の収用換地等の場合の所得の特別控除の規定の損金算入限度額(措法65の2127)と措置法第65条の3から第65条の5までの規定によるそれぞれの損金算入限度額とを合計した結果、その合計額が5,000万円を超える場合には、この超える部分の金額は、所得の金額の計算上、損金の額に算入されないこととされている(措法65の6)。したがって、収用換地等の場合の所得の特別控除の規定により計算される損金算入限度額は、必ずしもその全額が所得の金額の計算上、損金の額に算入されるわけではない。このことは、連結事業年度における収用換地等の場合の連結所得の特別控除の規定における損金算入限度額(措法68の73127)についても同様のことがいえる(措法68の77)。
 このように収用換地等の場合の所得(又は連結所得)の特別控除の規定により計算される損金算入限度額のうち損金の額に算入されなかった金額がある場合において、その後同一の暦年中に行った資産の譲渡につき収用換地等の場合の所得の特別控除の損金算入限度額を計算しようとするときに5,000万円から控除することとなる金額は、収用換地等の場合の所得(又は連結所得)の特別控除の規定により計算された損金算入額となるのか、それとも措置法第65条の6(又は第68条の77)の規定の適用を受けた後の実際に損金の額に算入された金額となるのかという疑問が生ずる。
 この点、法令上は「損金の額に算入した、又は損金の額に算入する金額」を5,000万円から控除することと規定されており(措法65の21)、措置法第65条の6(又は第68条の77)では「損金の額に算入した、又は損金の額に算入する金額」の合計額が5,000万円を超える場合にその超える部分の金額を損金の額に算入しないこととしていることからも明らかなとおり、これらの規定を適用する前の収用換地等の場合の所得(又は連結所得)の特別控除の規定により計算された損金算入額が5,000万円から控除する金額となることとなる。
 本通達の(注)では、このことを明らかにしている。
 なお、連結事業年度における収用換地等の場合の連結所得の特別控除の規定における損金算入限度額である5,000万円から控除することとなる金額も措置法第68条の77(又は第65条の6)の規定を適用する前の収用換地等の場合の連結所得(又は所得)の特別控除の規定により計算された損金算入額である。このことは、連措通68の73−5(注)2により明らかにしている。

(参考)

(1) 所得の特別控除に係る次に掲げる通達も、本通達と同様の趣旨により定めたものである。

  •  措通65の3−3の2《当該事業年度前の連結事業年度に他の連結法人が2,000万円の損金算入の特例を受けた場合の適用関係》
  •  措通65の4−11の2《当該事業年度前の連結事業年度に他の連結法人が1,500万円の損金算入の特例を受けた場合の適用関係》
  •  措通65の5−1《当該事業年度前の連結事業年度に他の連結法人が800万円の損金算入の特例を受けた場合の適用関係》

(2) 連結所得の特別控除に係る次に掲げる通達も、連措通68の73−5と同様の趣旨により定めたものである。

  •  連措通68の74−5《他の連結法人が2,000万円損金算入の特例を受けた場合の適用関係》
  •  連措通68の75−13《他の連結法人が1,500万円損金算入の特例を受けた場合の適用関係》
  •  連措通68の76−1《他の連結法人が800万円損金算入の特例を受けた場合の適用関係》

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