[ 連結納税関連 ]

第4 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係

【新設】(青色申告書以外の確定申告書等を提出する場合の海外投資等損失準備金の取崩し)

55−18 措置法第55条第6項に規定する「当該事業年度の確定申告書等を青色申告書により提出できる者でないとき」には、当該法人が次に掲げる場合に該当する場合におけるそれぞれ次に掲げる事業年度の確定申告書等を青色申告書により提出できる者でないときがこれに含まれることに留意する。ただし、法人が、それぞれ次に掲げる事業年度((1)の事業年度を除く。)につき、法第122条第2項第4号、第5号、第7号又は第8号に規定する提出期限までに同条第1項の青色申告書の提出の承認申請を行い、当該事業年度につき法第121条に規定する青色申告に係る承認(以下「青色申告の承認」という。)を受けた場合には、措置法第55条第6項の規定の適用はない。

(1) 法第4条の5第1項の規定により法第4条の2の承認を取り消された場合最後の連結事業年度の翌事業年度

(2) 法第4条の5第2項の規定により法第4条の2の承認を取り消された場合最後の連結事業年度の翌事業年度

(3) 法第4条の5第3項の承認を受けた場合最後の連結事業年度の翌事業年度

(4) 連結親法人事業年度の中途において分割型分割を行った場合当該分割の日の前日を含む事業年度

(5) 適格合併に伴い措置法第68条の43第10項の規定により海外投資等損失準備金の金額の引継ぎを受けた連結法人であり、その後、連結親法人事業年度の中途において分割型分割を行った場合当該分割の日の前日を含む事業年度

【解説】

単体規定における海外投資等損失準備金は、措置法に定める他の準備金と同様、青色申告書を提出する法人であることの前提要件を満たす法人に対して準備金の積立てを認めるという仕組みとなっている。
 これに対して、連結事業年度においては、連結納税制度における連結法人のその連結納税の承認が単体納税における青色申告の承認とほぼ同様の要件を満たす場合に行われるもの(法4の32三、123)であることから、連結法人であることをもって適用対象法人としての前提要件を満たすものとされ、すべからく準備金の積立てを認めることとされている。
 このように単体納税制度と連結納税制度では適用対象法人となる前提要件に差異があるため、連結事業年度において連結確定申告書の提出(その法人が連結子法人であるときは、その法人の連結親法人による提出)をしていた法人が単体事業年度の確定申告書を提出しなければならない法人となったときは、その単体事業年度においても準備金の積立ての前提要件である青色申告の承認を得ていることが必要となる。
 ところで、単体規定においては、準備金の積立ての前提要件を満たさない場合として、青色申告の承認の取消処分を受けた場合又は青色申告を取りやめる場合が規定され、それまで積み立ててきた海外投資等損失準備金の金額を所定の方法により益金の額に算入することとされている(措法555)。今般、連結納税制度の創設に伴い、これとは別に、海外投資等損失準備金(連結事業年度において積み立てた海外投資等損失準備金を含む。)を積み立てている法人が、その事業年度(直前の事業年度が連結事業年度であるものに限る。)の確定申告書等を青色申告書により提出できる者でない場合が新たに規定され、該当する事業年度終了の日における海外投資等損失準備金の金額を益金の額に算入することとされた(措法556)。
 具体的な例としては、設立時から連結法人である法人が連結事業年度において積み立てた海外投資等損失準備金を有している場合において、当該法人が自らを分割法人とする分割型分割を行い、その分割の日の前日を含む事業年度(以下「分割前事業年度」という。)につき単体申告をする必要が生じたときが挙げられる。このような場合は、通常、当該法人は青色申告の承認を受けていないため、結果として、その海外投資等損失準備金の金額を益金の額に算入しなければならないこととなる。
 本通達の前段においては、このように益金の額に算入する必要が生ずる「青色申告書以外の確定申告書等を提出する場合」の事業年度を具体的な例示をもって明らかにするとともに、そのようなことの起こらないような回避策を本通達の後段において明らかにしている。
 すなわち、次に掲げる対象事業年度については、青色申告の承認の申請期限がそれぞれ次のとおり措置されており(平成15年度税制改正前の法1222四、五、七、八)、これにより当該対象事業年度について青色申告の承認を受ければ、海外投資等損失準備金の金額を益金の額に算入する必要はないこととなる。

対象事業年度 申請期限
1  法人税法第4条の5第2項各号の規定により連結納税のみなし取消しを受けた場合(2及び3の場合を除く。)の最後の連結事業年度の翌事業年度
その取り消された日以後3月を経過した日と当該翌事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日
2  法人税法第4条の5第2項第2号又は第5号の規定により連結納税のみなし取消しを受けた場合(連結親法人事業年度終了の日の連結子法人の解散に基因する場合を除く。)の最後の連結事業年度の翌事業年度
その取消しの基因となった事実の生じた日以後3月を経過した日と当該翌事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日
3  法人税法第4条の5第2項第4号の規定により連結納税のみなし取消しを受けた場合(連結親法人事業年度開始の日の連結子法人の合併による解散又は連結親法人事業年度終了の日の連結子法人の合併以外の事由による解散に基因する場合を除く。)の最後の連結事業年度の翌事業年度
当該翌事業年度終了の日の翌日から2月を経過する日の前日
4  連結法人が当該連結法人を分割法人とする分割型分割(連結親法人事業年度開始の日に行うものを除く。)を行った場合のその分割前事業年度
当該分割前事業年度終了の日の翌日から2月を経過する日の前日
5  法人税法第4条の5第3項の規定により連結納税の取りやめの承認を受けた場合の最後の連結事業年度の翌事業年度
当該翌事業年度開始の日以後3月を経過した日と当該翌事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日

(注) 平成15年度税制改正により法人税法第122条第2項は改正された。改正後の内容は、末尾の(参考)のとおりである。

  ただし、法人税法第4条の5第1項の規定により連結納税の承認の取消処分を受けた場合には、「その取り消された日以後1年以内に青色申告の承認の申請書を提出したこと」が、青色申告の承認申請の却下事由となっていることから(法123四)、当該事業年度につき青色申告の承認を受けることはできず、当該事業年度終了の日における海外投資等損失準備金の金額を益金の額に算入する必要が生ずる。

(参考)
平成15年度税制改正後の法人税法第122条第2項第4号、第5号、第6号又は第8号に定める申請期限

対象事業年度 申請期限
1  連結法人が当該連結法人を分割法人とする分割型分割(連結親法人事業年度開始の日に行うものを除く。)を行った場合のその分割前事業年度
当該分割前事業年度終了の日の翌日から2月を経過する日の前日
2  法人税法第4条の5第2項第4号又は第5号の規定により連結納税のみなし取消し(連結親法人事業年度開始の日のみなし取消しを除く。)を受けた場合におけるその取り消された日の前日の属する事業年度
当該事業年度終了の日の翌日から2月を経過する日の前日
3  法人税法第4条の5第2項各号の規定により連結納税のみなし取消しを受けた場合のその取り消された日の属する事業年度
その取り消された日以後3月を経過した日と当該事業年度終了の日の翌日から2月を経過する日とのうちいずれか早い日の前日
4  法人税法第4条の5第3項の規定により連結納税の取りやめの承認を受けた場合のその承認を受けた日の属する連結親法人事業年度の翌事業年度
当該翌事業年度開始の日以後3月を経過した日と当該翌事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日

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