[ 連結納税関連 ]

第3 租税特別措置法関係通達(連結納税編)関係

(分割型分割が行われた場合の比較試験研究費の額)

68の9−8 連結法人が連結親法人事業年度(法第15条の2第1項に規定する連結親法人事業年度をいう。以下同じ。)の中途で当該連結法人を分割法人とする分割型分割を行った場合には、当該分割の日の前日を含む事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額は、当該分割の日を含む連結事業年度における措置法第68条の9第3項第2号に規定する比較試験研究費の額の計算の基礎となることに留意する。
 連結法人が連結親法人事業年度の中途で連結親法人との間に連結完全支配関係を有することとなった連結子法人である場合において、当該連結子法人のその有することとなった日の前日を含む事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額についても、同様とする。

【解説】

  試験研究費の額が増加した場合の法人税額の特別控除の適用に当たっては、適用年度の試験研究費の額の合計額が比較試験研究費の合計額を超えていることが要件の一つとなっている(措法68の91)。
 この比較試験研究費の額は、各連結法人ごとに、「当該適用年度の連結親法人事業年度開始の日の5年前の日から連結親法人又はその連結子法人の適用年度開始の日の前日までの期間内」に開始した各連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額(措法68の93二[現行:68の912二])を基礎として計算することとなる。
 また、この計算に当たって、当該期間内に開始した事業年度に連結事業年度に該当しない事業年度(すなわち単体申告の事業年度)がある場合には、当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額を基礎として計算することとなる(措法68の93二かっこ書[現行:68の912二かっこ書])。
 ところで、適用年度に係る連結親法人事業年度の中途において連結法人が分割型分割を行った場合には、当該分割の日を含む連結事業年度が当該連結法人の適用年度となるとともに、当該連結法人の「適用年度開始の日の前日」は当該分割型分割に係る分割の日の前日となる。
 したがって、当該連結法人の比較試験研究費の額の計算に当たっては、当該期間内に開始したこととなる分割の日の前日を含む事業年度(以下「分割前事業年度」という。)も対象とされ、その分割前事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額を基礎として当該連結法人の比較試験研究費の額を計算することとなる。
 このような連結親法人事業年度と分割前事業年度とに重複する期間がある場合には、比較試験研究費の額の計算上留意すべき事項であることから、本通達の前段において明らかにしている。

分割型分割が行われた場合の比較試験研究費の額の図



 また、同様に、連結親法人事業年度の中途において加入した連結子法人の加入の日の前日を含む事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費についても、加入の日を含む連結事業年度(すなわち適用年度)における比較試験研究費の額の計算に当たっては、その基礎となる試験研究費の額に含まれることとなるため、このことを本通達の後段において明らかにしている。
 なお、本通達は比較試験研究費の計算の基礎となる試験研究費の額を明らかにしたものであり、分割前事業年度又は加入の日の前日を含む事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額は、当然のことながらそれらの単体申告の事業年度における法人税額の特別控除の計算対象となる(措法42の41)。

(加入法人・離脱法人が存在する場合の基準試験研究費の額)

68の9−9 措置法第68条の9第3項第3号の基準試験研究費の額の計算の基礎となる同号に規定する「その連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額を合計した金額」には、適用年度に係る連結親法人事業年度において連結親法人との間に連結完全支配関係を有しなくなった法人に係る試験研究費の額は含まれるが、当該連結親法人事業年度において連結親法人との間に連結完全支配関係を有することとなった連結子法人に係る試験研究費の額は含まないことに留意する。

【解説】

 試験研究費の額が増加した場合の法人税額の特別控除の適用に当たっては、適用年度の試験研究費の額の合計額が基準試験研究費の額を超えていることが要件の一つとなっている(措法68の91)。
 ところで、基準試験研究費の額の計算の基礎となる試験研究費の額は、適用年度の連結親法人事業年度開始の日前2年以内に開始した各連結親法人事業年度(以下「前2年以内連結事業年度」という。)がある場合には、前2年以内連結事業年度ごとに「当該連結親法人及び当該各連結親法人事業年度終了の時において当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人」のその連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額とされている(措法68の93三[現行:68の912三])。
 したがって、仮に、適用年度において連結グループから離脱した法人であっても、前2年以内連結事業年度終了の時において当該連結親法人との間に連結完全支配関係を有していたのであれば、離脱した法人の離脱前の連結事業年度で損金の額に算入された試験研究費の額は、基準試験研究費の額の計算の基礎に含まれることとなる。逆に、適用年度において連結グループに加入した連結子法人は、前2年以内連結事業年度終了の時において当該連結親法人と連結完全支配関係を有していないので、当該連結子法人の加入前の事業年度で損金の額に算入された試験研究費の額は、基準試験研究費の額の計算の基礎とはならない。本通達は、このことを留意的に明らかにしている。

加入法人・離脱法人が存在する場合の基準試験研究費の額の図

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