[ 連結納税関連 ]

第2 法人税基本通達関係

【改正】(上場有価証券等以外の有価証券に係る著しい価額の低下の判定)

9−1−11 9−1−7《上場有価証券等の著しい価額の低下の判定》は、令第68条第2号ロ《上場有価証券等以外の有価証券の評価損の計上ができる場合》に掲げる有価証券の価額が著しく低下したことの判定について準用する。

(注) 法人の有する有価証券が当該法人との間に連結完全支配関係がある連結法人の株式(出資を含む。) である場合には、令第9条の2第1項第2号《連結子法人株式の帳簿価額の修正事由》に掲げる事由が生じたものとして同条第2項の規定により当該有価証券の帳簿価額の修正額の計算を行ったものとしたときに算出される金額をもって9−1−7に定める「その時の帳簿価額」とする。

【解説】

 法人税法施行令第68条第2号ロ《上場有価証券等以外の有価証券の評価損が計上できる場合》に規定する有価証券の価額が著しく低下したかどうかの判定については、従来から、法人税基本通達9−1−7《上場有価証券等の著しい価額の低下の判定》の取扱いを準用して、事業年度終了の時における時価がその時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回り、かつ、近い将来その時価の回復が見込まれないかどうかによることとしてきたところである。
 このことは、法人が自己と連結完全支配関係がある連結子法人の株式(出資を含む。以下同じ。)につきその判定を行う場合であっても同様であるが、一方で、連結子法人の株式の評価換えがいわゆる投資価額修正を行うべき事由とされているため(法2十八ヘ、令9の21二)、その事業年度終了の時の当該株式の時価と比較すべきその時の帳簿価額とは、当該修正を行う前の帳簿価額なのか、あるいは修正を行ったものと仮定した場合の修正後の帳簿価額をいうのか問題となる。
 この点については、連結子法人株式の帳簿価額修正(いわゆる投資価額修正)は、連結子法人の所得に対して課税を行い、更に、その連結子法人の株式の評価益等に対しても課税を行うこととすると、連結子法人が稼得した利益に対して二重に課税することとなり、また、連結子法人の欠損を損金としながら、更に、その連結子法人の株式の評価損等についても損金の額に算入することとすると、連結子法人に生じた損失について二重に控除することとなることに対処すべく設けられたものである。これを連結子法人株式の評価損の計上の場面で考えれば、「その時の帳簿価額」を投資価額修正後の帳簿価額とすることにより、評価損に係る二重控除排除の趣旨にかなった処理を行うことができる。したがって、連結子法人株式についての「著しい価額の低下」があったかどうかを判定する場合の「その時の帳簿価額」についても投資価額修正を行ったものとしたときのその修正後の帳簿価額とすることが適当である。
 本通達の(注)では、このことを明らかにしている。
 なお、これを具体例で示せば、修正前の帳簿価額100、時価40の連結子法人株式で、帳簿価額を修正すべき金額がマイナス30だとすると、修正後の帳簿価額は「100+(−30)=70」となり、時価(40)が修正後の帳簿価額の50%相当額である「70×50%=35」を下回っていないので、評価損を計上すべき事由に該当しないこととなる。
 なお、この場合には、連結子法人株式に係る評価損は計上されないので、法人税法施行令第9条の2第1項第2号《利益積立金額の増加・減少が生ずる理由》の事由が生じたこととはならず、連結子法人株式の帳簿価額の修正も行わないこととなる。

上場有価証券等以外の有価証券に係る著しい価額の低下の判定の設例1図

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