[ 連結納税関連 ]

第1 連結納税基本通達関係

(外国法人税の一部につき控除申告をした場合の取扱い)

19−3−1 連結法人が当該連結事業年度において納付する外国法人税の額(法第81条の15第1項《連結事業年度における外国税額の控除》に規定する個別控除対象外国法人税の額に限る。以下19−3−1において同じ。)の一部につき同条の規定の適用を受ける場合であっても、法第81条の8第1項《連結法人税額から控除する外国税額の損金不算入》の規定により、すべての連結法人が当該連結事業年度において納付する外国法人税の額の全部が損金の額に算入されないことに留意する。

(注) 連結法人が当該連結事業年度において納付する外国法人税の一部につき法第81条の15の規定を適用し、他の外国法人税につき同条の規定を適用しないで損金の額に算入して申告した場合において、その申告をしたことが当該損金の額に算入した外国法人税につき同条第1項に規定する外国法人税に該当するかどうか明らかでなかったことによるものであると認められるときは、同条第17項に規定する「やむを得ない事情」があるものとして取り扱うことができる。

【解説】

 本通達は、連結法人が納付することとなった外国法人税の一部について税額控除を行った場合の取扱いを明らかにしたものである。
 連結法人が各連結事業年度において納付することとなった外国法人税について、外国税額控除の適用を受けるか、あるいはその適用を受けないで損金算入するかは、当該連結法人の属する連結グループの選択に任されている。
 しかし、外国税額控除の適用を選択した場合には、仮にその選択した年度において各連結法人が納付することとなった外国法人税額(その所得に対する負担が高率な部分の金額を除く。以下「個別控除対象外国法人税の額」という。)のうち一部についてのみ税額控除の適用を受けるときであっても、連結グループ内の各連結法人が納付することとなる個別控除対象外国法人税の額の合計額すべてが損金算入されないこととなる(法81の81)。このことから、外国法人税を納付することとなる連結法人を含む連結グループの各連結法人は、各連結事業年度ごとに当該年度において各連結法人が納付することとなった外国法人税の全部について、税額控除の適用を受けるか、損金算入するかを選択することになる。
 したがって、例えば、1連結親法人の当期に納付する外国法人税が二以上ある場合に、その一方について外国税額控除の適用を受け、残りを損金算入した場合や、2連結親法人は外国税額控除の適用を受け、連結子法人は損金算入することとした場合は、当該連結親法人に係る連結グループ法人のすべての個別控除対象外国法人税の額が損金不算入となる(法81の81)。
 この点、所得税額控除の場合には、控除の対象とする所得税額だけが損金不算入となる(法81の71)のに対し、外国税額控除についてはこれとやや異なる制度になっているため、本通達の本文は、このことを明らかにしている。
 次に本通達の(注)においては、連結法人がやむを得ない事情により外国法人税の一部につき外国税額控除の適用を受け、他の外国法人税について損金算入して申告した場合の取扱いが明らかにされている。
 すなわち、当期において連結グループ内の連結法人が納付することとなった外国法人税が二以上ある場合において、その一部を外国税額控除の対象とし、他の外国法人税を損金算入して申告したときの外国税額の控除は、連結確定申告書に記載した金額が限度とされているため(法81の1515後段)、原則的な取扱いとしては、その損金算入した外国法人税に係る個別控除対象外国法人税の額を否認して損金不算入とする(連結所得に加算する)(法81の81)だけで、税額控除の対象とはならないことになる(法81の1515)。ただし、その損金算入した税が税額控除の対象となる外国法人税に該当するかどうか明らかでなかったためにそのような申告をしたと認められるケースについては、法人税法第81条の15第17項《連結法人に係る外国税額の控除のゆうじょ》のゆうじょ規定を適用して、その損金算入した外国法人税に係る個別控除対象外国法人税の額を連結所得に加算すると同時に、税額控除の対象にもすることができる旨を明らかにしている。
 これは、各国の税制は一様でないこともあり、各連結法人が諸外国において納付する各種の租税の中には、外国税額控除の対象となる外国法人税に該当するかどうかの判定が難しいものもあると考えられることから、連結親法人がやむを得ずそのようなものを税額控除の対象から外して損金算入して申告したような場合において、その申告をしたことにやむを得ない事情があると認められるときには、ゆうじょ規定(法81の1517)を適用することで、実態に合った取扱いをすることとしたものである。
 ただし、この取扱いは、あくまでも外国法人税の一部につき税額控除に係る申告の記載をしなかったことについて、やむを得ない事情があるものに限るものであって、税額控除を適用するために必要な証明書類等(規37の6)の添付要件をも無条件に免除するものではないから、この取扱いの適用を受けるためには、その前提として、連結法人が速やかに当該証明書類等を提出することが必要である。

(個別欠損金額を有する連結法人の連結控除限度個別帰属額)

19−3−36 法第81条の15第1項《連結事業年度における外国税額の控除》に規定する「連結控除限度個別帰属額」とは、令第155条の28第1項《連結控除限度額の計算》に規定する連結控除限度額に、同条第3項《連結控除限度額の計算》の連結国外所得金額につき各連結法人に帰せられる金額が零を超えるもの(以下19−3−36において「個別国外所得金額」という。)の合計額のうちに当該各連結法人の個別国外所得金額の占める割合を乗じて計算した金額をいうのであるから、例えば、法第81条の18第1項《連結法人税の個別帰属額の計算》に規定する個別欠損金額を有する連結法人であっても、個別国外所得金額がある場合には、連結控除限度個別帰属額の計算を行うことに留意する。

【解説】

 本通達は、個別欠損金額を有する連結法人であっても、当該法人が個別国外所得金額を有する場合には連結控除限度個別帰属額の計算を行うことになる旨を明らかにしたものである。
 各連結法人の各連結事業年度において法人税額から控除することができる連結控除限度個別帰属額は、法人税法施行令第155条の28第1項《連結控除限度額の計算》に規定する連結控除限度額を有する連結グループに属する連結法人のうち、同条第3項《連結控除限度額の計算》の連結国外所得金額について各連結法人に帰せられる金額が零を超えるもの(以下「個別国外所得金額」という。)を有する連結法人に生ずることとなる。
 すなわち、個別国外所得金額を有する連結法人において個別控除対象外国法人税の限度となる連結控除限度個別帰属額が生ずることとなるのであり、当該連結法人が当該連結事業年度において個別所得金額(個別益金額から個別損金額を控除した金額)又は個別欠損金額(個別損金額から個別益金額を控除した金額)のいずれを有しているかにかかわらない。
 このことは、法令上明らかではあるが、単体申告に係る外国税額控除の制度は、各事業年度のうち内国法人が欠損金額を有する事業年度には控除限度額が生じないこととされており(法69、令142)、この点が連結申告に係る外国税額控除の制度と異なっているため、本通達では、この点について念のため明らかにしている。

(外国子会社の要件のうち「その状態が継続していること」の意義)

19−3−39 令第155条の35第1項《連結法人に係る外国子会社の要件》の配当等の額の支払義務が確定する日以前6月以上継続しているかどうかの判定において、同項第1号の各連結法人が当該配当等の額の支払義務が確定する日以前6月以上の期間(以下19−3−40において「株式保有期間」という。)継続して連結法人であったかどうかは問わないことに留意する。

【解説】

本通達は、間接外国税額控除の対象となる外国子会社に該当するかどうかの要件とされている株式の継続保有においては、その株式を保有する内国法人が保有期間を通じて連結法人であったかどうかは問わないということを明らかにしたものである。
 連結法人に係る外国法人が法人税法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の適用対象となる外国子会社に該当するかどうかの判定においては、連結法人及び当該連結法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人が保有している当該外国法人の株式等(株式又は出資をいう。以下同じ。)を合計した数又は金額のその発行済株式の総数又は出資金額(当該外国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)に占める割合が25%以上であり、かつ、「その状態」が配当等の額(利益の配当又は剰余金の分配の額をいう。以下同じ。)の支払義務が確定する日以前6月以上継続していることが要件とされている(令155の351)。
 これは、連結納税制度が連結グループをあたかも一の法人として課税関係を考えることにかんがみ、当該割合が25%以上であるかについても各連結法人ごとに判定するのではなく、グループ全体で判定することとされたものである。
 この場合において、「その状態」とは、「25%以上の株式等を保有している状態」をいうのであり、「連結法人として25%以上の株式等を保有している状態」をいうのではない。したがって、当該連結法人又は他の連結法人において、配当等の額の支払義務が確定する日以前6月の期間内に連結法人でない期間があったとしても、そのことをもって当該要件を満たさないことにはならない。本通達は、このことを留意的に明らかにしている。
外国子会社の要件のうち「その状態が継続していること」の意義の参考図

(租税条約の適用がある場合の外国子会社の判定)

19−3−40 連結法人に係る法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》に規定する外国子会社の判定において、その判定の対象となる外国法人が租税条約によりその外国法人の同項に規定する発行済株式の総数又は出資金額(その有する自己の株式又は出資を除く。)に係る保有割合が軽減されている相手国の外国法人である場合には、各連結法人が保有している当該外国法人の発行済株式又は出資の金額を合計した数又は金額の保有割合が25%未満であっても、当該連結法人が当該租税条約に定める保有割合以上の株式又は出資を株式保有期間を通じて有するときは、当該連結法人については同項の規定の適用があることに留意する。

【解説】

 本通達は、租税条約の適用がある連結法人の外国税額控除におけるその外国子会社の判定は、各連結法人ごとの保有割合で行うことを明らかにしたものである。
 連結法人に係る外国法人が間接外国税額控除の適用対象となる外国子会社に該当するかどうかの判定において、その要件の一つである株式等(株式又は出資をいう。以下同じ。)の保有割合は、各連結法人が保有する株式等の合計額を基礎として、すなわち連結グループ全体で算定することとされている(法81の158)。
 しかし、当該保有割合(25%以上)が租税条約により軽減されている場合の当該保有割合の算定については、各連結法人ごとに行うのか、それとも連結グループで行うのかという問題がある。
 この点については、例えば、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約(昭和47年6月23日付条約第6号)第5条(1)(b)では「合衆国の法人の議決権のある株式の少なくとも10パーセントを所有する日本国の法人で……」と規定されていることからすれば、あくまで一の内国法人が10%以上の株式を保有している場合に適用があると解するのが相当である。したがって、連結事業年度における間接外国税額控除の規定(法81の158)上、連結グループで当該保有割合を算定する旨が定められているものの、当該規定の適用は、同条約の適用対象となる連結法人が存在しない場合における保有割合(25%以上)の算定の場合についてのみ適用があると解するのが適当であり、租税条約により軽減される場合の保有割合の算定は各連結法人ごとに行うこととなる。
 すなわち、連結グループで外国法人の株式等の25%以上を保有していない場合であってもその連結グループに属する連結法人のうち、当該連結法人のみで租税条約による軽減後の割合以上の外国法人の株式等を保有している場合の当該連結法人については、他の要件を満たす限り、間接外国税額控除の規定の適用があることになる。
 本通達は、このことを留意的に明らかにしている。

(間接控除における外国孫会社の判定)

19−3−48 連結法人が法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の規定を適用する場合において、当該連結法人に係る外国法人が外国子会社に該当するかどうかの株式保有割合の判定は、各連結法人が保有する当該外国法人の株式又は出資を合計した数又は金額(以下19−3−48において「株式等の合計数」という。)が、当該外国法人の発行済株式の総数又は出資金額(その有する自己の株式又は出資を除く。以下19−3−48において「発行済株式等」という。)の25%以上であるかどうかにより行うのであるが、外国法人が同条第11項《連結法人の外国孫会社に係る外国税額の間接控除》に規定する外国孫会社に該当するかどうかの判定は、各連結法人が一の外国子会社を通じて間接に保有する当該外国法人の株式等の合計数が、当該外国法人の発行済株式等の25%以上であるかどうかにより行うのであるから留意する。

【解説】

 本通達は、外国税額控除の適用対象となる連結法人の外国孫会社の判定について明らかにしたものである。
 連結法人の各連結事業年度における間接外国税額控除(法81の158)の適用において、その適用対象となる外国子会社は、外国法人の発行済株式又は出資(以下「発行済株式等」という。) の総数又は金額(その有する自己の株式又は出資を除く。)のうちに、連結グループ内の各連結法人が保有している外国法人の発行済株式等の数又は金額を合計した数又は金額の占める割合が25%以上であり、かつ、その状態が当該連結法人が当該外国法人から受ける配当等の額の支払義務が確定する日以前6月以上継続していることが必要とされている(令155の351)。
 これは、連結納税制度が連結グループをあたかも一の法人として課税関係を律することとしていることにかんがみ、外国子会社の判定についても、その要件である外国法人の発行済株式等の保有割合の判定を連結グループで行うこととしているものである。
 ところで、各連結事業年度における連結法人の間接外国税額控除の適用対象となる外国孫会社については、連結グループ内の各連結法人が保有している外国子会社の発行済株式等の数又は金額を合計した数又は金額が当該外国子会社の発行済株式等の総数又は金額のうちに占める割合に、当該外国子会社が保有している外国法人の発行済株式等の数又は金額が当該外国法人の発行済株式等の総数又は金額のうちに占める割合を乗じて計算した割合が25%以上であり、かつ、その状態が当該外国子会社が当該外国法人から受ける配当等の額の支払義務が確定する日以前6月以上継続していることとされており(令155の411)、外国子会社の判定の場合と同様に連結グループで外国法人の発行済株式等の保有割合を計算することとされている。
 ただし、外国子会社の判定のように、単に連結グループ内の各連結法人が保有している発行済株式等の数又は金額を合計して保有割合を計算するのではなく、当該各連結法人が一の外国子会社を通じて間接に保有する外国法人の発行済株式等の数又は金額のみを合計して保有割合を計算することとされていることに注意する必要がある。
間接控除における外国孫会社の判定の図

(注1) 連結法人A及びBが外国法人X(外国子会社に該当)を通じて間接に保有する割合
 (50%+50%)× 20% = 20%(<25%)

※ 外国法人Xに係る外国法人Zは連結法人A及びBの外国孫会社には該当せず、外国法人Zが納付する外国法人税の額は、外国法人Xが納付する外国法人税の額とはみなされない。

(注2) 連結法人Bが外国法人Y(外国子会社に該当)を通じて間接に保有する割合
 100% × 80% = 80%(≧25%)

※ 外国法人Yに係る外国法人Zは連結法人Bの外国孫会社に該当し、外国法人Zが納付する外国法人税の額のうち外国法人Zの外国法人Yに対する配当等の額に対応する部分の金額は、外国法人Yが納付する外国法人税の額とみなされる。

(外国法人税を課されたことを証する書類及びその提出先)

19−3−60 規則第37条の6第8号及び第10号《外国税額控除を受けるための書類》の「税を課されたことを証する……その納付を証する書類」には、申告書の写し又は現地の税務官署が発行する納税証明書等のほか、更正若しくは決定に係る通知書、賦課決定通知書、納税告知書、源泉徴収の外国法人税に係る源泉徴収票その他これらに準ずる書類又はこれらの書類の写しが含まれる。
 なお、これらの書類、これらの書類の写し及び同条第9号に規定する貸借対照表、損益計算書及び利益処分に関する計算書のうち、各連結子法人に係るものを、それぞれの連結子法人の本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に対して提出する法第81条の25第1項《連結子法人の個別帰属額等の届出》に規定する個別帰属額等を記載した書類に添付した場合には、連結確定申告書に添付したものとして取り扱う。

(注) 外国法人税を課されたことを証する書類を個別帰属額等を記載した書類に添付して提出する場合には、当該連結確定申告書にその旨を記載した書類を添付するものとする。

【解説】

 本通達は、外国税額控除の適用を受けるために必要となる書類の範囲及びその提出先について明らかにしたものである。
 連結事業年度における外国税額控除の適用上、個別控除対象外国法人税の額を課されたことを証する書類等は連結確定申告書に添付することとされている(法81の1515)。したがって、例えば、連結子法人が広範囲に多数存するような場合であっても、各連結子法人はそれぞれ当該書類等のすべてを連結親法人に送付した上、申告することとなる。
 しかしながら、実務上は、外国法人税の納付は各連結法人がそれぞれ行ない、その外国法人税が課されたことを証する書類についても当該各連結法人において保存しているのが一般的であるので、連結確定申告書への添付のためだけに、当該書類等を連結親法人に送付した上、申告することとした場合には、申告の事務に係る過度の負担を強いることとなり、実態にそぐわないものと考えられる。
 一方、連結子法人が当該書類等を自己の個別帰属額等を記載した書類に添付し、当該連結子法人の本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出した場合に、これを連結確定申告書に添付されたものとして取り扱ったとしても、国税当局においてその書類の提出の有無が確認できることが担保できるのであれば課税上の弊害は生じないとも考えられる。
 そこで本通達の後段では、連結子法人に係る当該書類等の提出については、実務上の便宜に資するために単体申告の場合と同様に、各連結子法人の本店所在地等の所轄税務署長へ提出する途を開いている。
 なお、この場合の提出先は、本通達の後段の取扱いを適用する連結子法人の本店所在地等の所轄税務署長に限られるのであって、他の連結子法人の本店所在地等の所轄税務署長に対して提出することまで認められるものではない。
 また、連結確定申告書に係る当該書類等の提出先について本通達の後段の取扱いによるときは、各連結子法人に係る当該書類等が連結確定申告書に添付されず、連結確定申告書の提出時において連結親法人の納税地の所轄税務署長は当該書類の提出の有無が確認できないこととなる。
 このため、当該書類等の提出については、本通達の後段の取扱いによっている旨を記載した書類を連結確定申告書に添付することとしており、本通達の(注)はこのことを定めている。
 なお、連結法人に係る当該書類等の範囲については、単体法人の場合と同様である。

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