[ 連結納税関連 ]

第1 連結納税基本通達関係

(複数の連結法人が同一債務者に対する金銭債権を有する場合の個別評価金銭債権の判定)

10−2−3 法第52条《貸倒引当金》の規定の適用に当たって、連結法人及び他の連結法人が同一の債務者に対して金銭債権を有しているときには、各連結法人ごとにその有する金銭債権が同条第1項《個別評価金銭債権》に規定する個別評価金銭債権に該当するかどうかを判定することに留意する。

【解説】

 本通達は、連結グループ内の複数の連結法人が同一の債務者に対して金銭債権を有している場合において、その債務者に対する金銭債権が個別評価金銭債権に該当するかどうかは、各連結法人ごとに判定することを明らかにしたものである。
 連結納税における貸倒引当金は、各連結法人がそれぞれ損金経理により貸倒引当金勘定に繰り入れた金額のうち、各連結法人の連結事業年度を単体事業年度とした場合に損金の額に算入されることとなる金額を連結所得の金額の計算上、損金の額に算入することとされている(法52、81の31)。例えば、連結グループ内の複数の連結法人が同一の債務者に対して金銭債権を有している場合において、当該債務者について法人税法施行令第96条第1項各号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に掲げる事由が生じることもあるが、この場合、その債務者に対して金銭債権を有するすべての連結法人が法人税法第52条第1項《個別評価金銭債権》の規定により貸倒引当金を計上する必要があるのではないかとの考えも生じ得る。
 金銭債権の評価は一般的に、債権者と債務者との関係が担保権の設定の程度や保証人の有無等によって各法人ごとに異なることから、一の連結法人にとっては、債権回収が危ぶまれる金銭債権であっても、他の連結法人にとっては、担保権の実行により債権が回収可能なものであることもあろう。連結納税制度がグループ法人をあたかも一の法人であるかのごとく課税関係をとらえるものであるとしても、法人税法第52条第1項の「個別評価金銭債権」に該当するかどうかは各連結法人ごとに判定し、貸倒引当金の繰入れを行うことになる。

戻る