[ 連結納税関連 ]

第1 連結納税基本通達関係

(他の連結法人に係る社債発行差金の計算)

3−2−12 連結法人の当該連結事業年度において支払う負債の利子が令第21条第1項《負債利子に準ずるもの》に規定する社債発行差金である場合で、当該社債発行差金に係る社債の一部を法第81条の4第3項《負債の利子の控除》に規定する他の連結法人が有しているときの同項の規定により負債の利子から除かれる社債発行差金の額は、当該連結事業年度の損金の額に算入される社債発行差金の償却費のうち当該他の連結法人が当該連結事業年度の期間内において有していた社債の額及びその有していた期間に対応する額として計算した金額によるものとする。

【解説】

 本通達は、連結法人が、社債発行差金の償却費を損金の額に算入した場合において、受取配当等の益金不算入額の計算上、配当等の額から控除する負債の利子の額の計算について明らかにしたものである。
連結法人株式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式等に係る配当等の額及び関係法人株式等に係る配当等の額については、その株式等に係る負債の利子の額を当該配当等の額から控除することとされているが、その負債の利子の額には、連結法人が当該連結法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人に支払う負債の利子は含まれないこととされている(法81の43)。
 ところで、連結法人が発行した社債に係る社債発行差金は、その償却費の額を当該負債の利子の額に含めるものとされており(令211、連基通3−2−6(注))、当該社債発行差金の償却費のうち他の連結法人が保有する社債に係る部分の金額については、当該配当等の額から控除する負債の利子の額には含まれないこととなるが、具体的にその負債の利子の額に含まれないこととなる金額をどのように計算するのかという疑問が生じ得る。
この点については、そもそも社債発行差金が社債の発行から償還までの期間に係る金利調整金としての性格を有するものであることから、当該他の連結法人が当該連結事業年度の期間において有していた社債の額及びその有していた期間に対応する額を基礎としてその計算を行うこととしたものである。
 これを、具体的な計算式で表すと次のとおりとなる。
(算式)

他の連結法人に係る社債発行差金の算式

 したがって、連結事業年度の中途において他の連結法人が保有する社債の額に異動が生じた場合には、異動前の期間と異動後の期間に区分して負債の利子に含まれないこととなる社債発行差金の償却費の額の計算を行うこととなる。

社債発行差金の償却費の額の計算方法例の図

(連結法人間の負債利子の元本たる負債の額)

3−2−13 令第155条の8第1項第1号ホ《総資産の帳簿価額》に規定する「負債の利子の元本である負債の額」には、当該連結事業年度において利払期が到来しない等のため利子の支払がない負債であっても、その利子が連結法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人に支払う負債の利子に該当するときは、その負債の額が含まれることに留意する。

【解説】

 受取配当等の額から控除する負債の利子の額を計算する場合において、連結法人が同一連結グループ内の他の連結法人に支払う負債の利子の元本である負債の額に相当する金額は、総資産の帳簿価額から減算することとされている(令155の81一ホ)。
 本通達は、その連結事業年度においては支払期限が到来しない等の理由により他の連結法人に対して実際に負債の利子が支払われていない場合であっても、その負債の利子が連結法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人に支払われるものであるときには、その負債の利子の元本たる負債の額は総資産の帳簿価額から減算することを明らかにしたものである。
 なお、本通達は改正前の法人税基本通達3−2−15《特定利子の元本たる負債》と同様の趣旨により定めたものである。

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