(問58)

連結法人が貸倒引当金の繰入限度額を計算する場合において、その連結法人が連結グループ内の他の連結法人に対して有する金銭債権は、その計算の基礎となる金銭債権に含めて差し支えないですか。

【回答】

連結法人が連結グループ内の他の連結法人に対して有する金銭債権は、貸倒引当金の繰入限度額の計算の基礎となる金銭債権には含まれません。

【解説】

連結法人が各連結事業年度において、その連結法人が有する個別評価金銭債権(注1)又は一括評価金銭債権(注2)の貸倒れ等による損失の見込額として損金経理により貸倒引当金勘定に繰り入れた金額のうち、個別貸倒引当金繰入限度額又は一括貸倒引当金繰入限度額に達するまでの金額は、その連結法人のその連結事業年度の連結所得の金額の計算において損金の額に算入されます(法81の31、5212)。
 ただし、この規定を適用できるのは、次の場合に限ります。

  1. 1 その連結事業年度終了の時にその連結法人(その連結法人が連結子法人である場合には、その連結法人及び連結親法人)が普通法人で、資本金の額が1億円以下(資本金の額が5億円以上である法人による完全支配関係があるものなどを除きます。)又は資本を有しないものなど一定の法人に該当する場合(法521一)
  2. 2 その連結法人が銀行法に規定する銀行や保険業法に規定する保険会社などに該当する場合(法521二)
  3. 3 その連結法人が売買とされる一定のリース取引に係る金銭債権を有する法人など一定の法人に該当する場合(法521三)

この場合の個別貸倒引当金繰入限度額とは、その連結法人がその連結事業年度終了の時に有する個別評価金銭債権の額のうち更生計画認可の決定があったことによりその決定の日の属する連結事業年度終了の日の翌日から5年を経過する日までに弁済されることとなっている金額以外の金額(担保権の実行により取立てが見込まれる金額などを除きます。)など一定の金額をいい(令961)、一括貸倒引当金繰入限度額とは、その連結法人がその連結事業年度終了の時に有する一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額に貸倒実績率(注3)を乗じて計算した金額をいいます(令966)。
 これらの貸倒引当金繰入限度額を計算する場合には、連結法人が連結グループ内の他の連結法人に対して有する金銭債権は、これらの個別評価金銭債権及び一括評価金銭債権には含まれないこととされています(法529二)。

(注1) 個別評価金銭債権とは、金銭債権のうち、更生計画認可の決定に基づいて弁済を猶予されたことなどの一定の事実により貸倒れ等の事由による損失が見込まれるものをいいます(法521)。

(注2) 一括評価金銭債権とは、売掛金や貸付金などの金銭債権で、個別評価金銭債権以外のものをいいます(法522)。

(注3) 連結法人が一括貸倒引当金繰入限度額を計算する場合の貸倒実績率とは、次の1の金額のうちに、2の金額の占める割合(小数点以下4位未満の端数があるときは、これを切り上げます。)をいいます(令966)。

  1. 1 その連結法人のその連結事業年度開始の日前3年以内に開始した一定の連結事業年度(以下「前3年内連結事業年度」といいます。)終了の時における一括評価金銭債権(その連結法人が連結完全支配関係を有する他の連結法人に対して有するものなどを除きます。)の帳簿価額の合計額を前3年内連結事業年度の数で除して計算した金額
  2. 2 その連結法人の前3年内連結事業年度における売掛金等(その連結法人が連結完全支配関係を有する他の連結法人に対して有するものなどを除きます。)の貸倒れによる損失の額や前3年内連結事業年度に含まれる各連結事業年度において損金の額に算入された個別評価金銭債権(その連結法人が連結完全支配関係を有する他の連結法人に対して有するものなどを除きます。以下同じです。)に係る貸倒引当金の額など一定の金額の合計額から前3年内連結事業年度に含まれる各連結事業年度の前連結事業年度において損金の額に算入された個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の額で前3年内連結事業年度に含まれる各連結事業年度において益金の額に算入された額など一定の金額の合計額を控除した残額に12を乗じてこれを前3年内連結事業年度の月数の合計数で除して計算した金額