(問55)

連結子法人S社(3月決算)は、連結親法人P社(3月決算)が×1年12月1日にS社株式をP社の連結グループ外の第三者に売却したことにより、連結グループから離脱することとなりました。この場合のS社のこれまでの連結事業年度に生じた連結欠損金個別帰属額は、どのように取り扱うことになるのでしょうか。

【回答】

S社の×1年4月1日前9年(注1)以内に開始した各連結事業年度に生じた連結欠損金個別帰属額は、S社の×1年4月1日に開始する事業年度以後の各事業年度において青色欠損金額とみなされ、また、P社の連結グループの連結欠損金額から除かれることとなります。

【解説】

連結親法人が連結子法人の株式を連結グループ外の第三者に売却したことにより、その連結子法人がその連結親法人による連結完全支配関係を有しなくなった場合には、その連結子法人はその有しなくなった日に連結納税の承認が取り消されたものとみなされます(法4の52五)。そして、その連結事業年度開始の日からその有しなくなった日の前日までの期間、その有しなくなった日からその連結事業年度終了の日までの期間及びその終了の日の翌日からその翌日の属する事業年度終了の日までの期間がその連結子法人の事業年度とみなされるとともに(法141八)、その連結事業年度開始の日からその有しなくなった日の前日までの期間は連結事業年度に含まれない事業年度とされます(法15の21三)。したがって、その連結子法人はその事業年度について連結法人として単体申告を行うこととなります。
 また、その連結子法人の最終の連結事業年度終了の日の翌日の属する事業年度開始の日前9年(注2)以内に開始した各連結事業年度において生じたその連結子法人の連結欠損金個別帰属額は、これが生じた連結事業年度開始の日の属するその連結子法人の事業年度において生じた青色欠損金額とみなされます(法576)。
 この場合に、その連結子法人がその連結親法人による連結完全支配関係を有しなくなった日の属する連結事業年度以後の各連結事業年度においては、その有しなくなった日の属する連結親法人事業年度開始の日前9年(注1)以内に開始した各連結事業年度において生じたその連結子法人の連結欠損金個別帰属額に相当する連結欠損金額はないものとされます(法81の95六)。
 本件は、S社がP社による連結完全支配関係を有しなくなった日(×1年12月1日)の属する連結事業年度開始の日(×1年4月1日)からその有しなくなった日の前日(×1年11月30日)までの期間及びその有しなくなった日(×1年12月1日)からその連結事業年度終了の日(×2年3月31日)までの期間がS社の事業年度とみなされるとともに、S社はその連結事業年度開始の日からその有しなくなった日の前日までの事業年度について連結法人として単体申告を行うこととなります。
 また、S社の最終の連結事業年度終了の日(×1年3月31日)の翌日の属する事業年度開始の日(×1年4月1日)前9年(注2)以内に開始した各連結事業年度において生じたS社の連結欠損金個別帰属額は、その各連結事業年度開始の日の属するS社の事業年度において生じた青色欠損金額とみなされます。
 次に、P社の連結グループについては、S社がP社による連結完全支配関係を有しなくなった日(×1年12月1日)の属する連結事業年度以後の連結事業年度において、その連結事業年度開始の日(×1年4月1日)前9年(注1)以内に開始した各連結事業年度に生じたS社の連結欠損金個別帰属額に相当する連結欠損金額はないものとされます。

判定チャート

(注1) 平成30年4月1日以後に開始する連結事業年度において生ずる連結欠損金額については10年となります(平27年改正法附則301)。

(注2) 平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額については10年となります(平27年改正法附則271)。