(問44)

 連結法人S1社が、連結グループ内の他の連結法人S2社にS2社の株式(自己の株式)を譲渡した場合、その株式の譲渡損益は繰り延べられることとなりますか。

【回答】

 発行法人にその株式(自己の株式)を譲渡した場合には、その株式の譲渡損益は計上されないこととなるため、繰り延べられることとはなりません。

【解説】

 内国法人が、その内国法人が有していた株式(以下「所有株式」といいます。)を発行した他の内国法人(その内国法人との間に完全支配関係があるものに限ります。)の自己の株式の取得など法人税法第24条第1項各号に掲げる事由のうち一定のものにより金銭その他の資産の交付を受けた場合(当該他の内国法人の同条第1項第3号に規定する資本の払戻しなどに係るものである場合にあっては、その交付を受けた時においてその所有株式を有する場合に限ります。)又はその事由により当該他の内国法人の株式を有しないこととなった場合には、その株式の譲渡利益額又は譲渡損失額の計算上、その譲渡対価となる金額は、その譲渡原価に相当する金額とされる(法61の216)ことから、株式の譲渡損益は計上されないこととなります。
 本件のように内国法人が連結法人である場合も同様であり、連結法人が連結グループ内の他の連結法人に当該他の連結法人の株式(自己の株式)を譲渡したときには、その株式の譲渡損益は計上されないこととなります(法81の31、61の216)。
 したがって、S1社がS2社にS2社の株式(自己の株式)を譲渡しても、譲渡損益は繰り延べられることとはなりません。
 なお、この場合にS1社は、S1社の連結個別資本金等の額に譲渡損益相当額を加算又は減算することとされています(令8の2、81二十)。

解読図