(問39)

 連結納税の開始又は加入に当たっては、連結子法人となる法人の有する時価評価資産である減価償却資産について評価益又は評価損を計上する場合、その評価益又は評価損を計上した事業年度後の各連結事業年度における減価償却に係る計算方法はどのようになりますか。

【回答】

 連結納税の開始又は加入に伴い時価評価資産である減価償却資産について評価益又は評価損を計上した場合には、その評価益又は評価損を計上した事業年度後の各連結事業年度における減価償却の計算に係る取得価額や損金経理額などについて、必要な調整を行うこととなります。

【解説】

 時価評価資産に係る評価益又は評価損を計上した事業年度(以下「時価評価年度」といいます。)後の各連結事業年度における減価償却に係る計算については、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次のとおりとなります。

  1. 1 評価益を計上した場合
    1. (1) 取得価額
       時価評価年度後の各連結事業年度においては、税務上、時価評価の直前の取得価額にその評価益の金額を加算した金額に相当する金額をもってその減価償却資産の取得価額とみなされるため、その加算後の取得価額を基礎として償却可能限度額及び償却限度額の計算を行うこととなります(令546)。
    2. (2) 損金経理額
       時価評価年度後の各連結事業年度の減価償却に係る計算において、次の金額は、時価評価年度以前の各事業年度の損金経理額とみなされることとされています(法81の31、315、令61の4四)。

損金経理額とみなされる金額の図

(注) 時価評価年度以前の各事業年度の損金経理額のうち損金の額に算入されなかった金額がある場合には、その金額を加算します。

したがって、時価評価年度後の各連結事業年度において損金経理により計上した償却費の額がその連結事業年度の償却限度額を下回る場合には、その下回る金額は、上記の損金経理額とみなされた金額及び過年度からの償却超過額との合計額の範囲内で損金の額に算入されることになります。

  1. 2 評価損を計上した場合
    1. (1) 償却可能限度額
       時価評価年度後の各連結事業年度において、その評価損を計上した減価償却資産の償却可能限度額を計算する場合における前事業年度又は前連結事業年度までに損金の額に算入された償却額の累積額には、その評価損の金額が含まれることになります(令611)。
    2. (2) 償却限度額の計算(旧定率法、定率法)
       減価償却資産の償却の方法として旧定率法又は定率法を適用している場合には、その評価損の金額を既にした償却の額で損金の額に算入された金額に含めて償却限度額の基礎となる金額の計算を行うことになります(令482、48の22)。したがって、税務上、評価損を計上した減価償却資産について、会計上はその評価損を計上していないため償却費を計上することが可能な場合であっても、その償却費の計上額が、税務上の償却限度額を超えるときは、その超える部分の金額は損金の額に算入されないこととなります。