(問16)

連結子法人S社(3月決算)は、X2年1月17日に解散(合併又は破産手続開始の決定による解散ではありません。)し、X2年10月15日に残余財産が確定しました。
 この場合、(1)S社の解散に係る申告及び(2)S社の残余財産の確定に係る申告はどのように行うこととなりますか。また、(3)S社において、残余財産の確定の日の属する事業年度で生じた欠損金額は、連結親法人P社(3月決算)でどのように取り扱われますか。
 なお、P社はS社の発行済株式の全てを直接保有しています。

解読図

【回答】

  1. 1 X2年1月17日にS社の解散があった場合でも、それによって連結納税の承認は取り消されることなく、また、みなし事業年度が生じないことから、X1年4月1日からX2年3月31日までの連結事業年度については、P社がS社の個別益金額又は個別損金額などを含めて連結確定申告を行うこととなります。
  2. 2 X2年10月15日にS社の残余財産の確定があった場合には、その残余財産の確定の日の翌日に連結納税の承認は取り消されたものとみなされ、また、X2年4月1日からX2年10月15日までの期間について、みなし事業年度が生ずることから、その事業年度は、S社が連結法人として単体申告を行うこととなります。
  3. 3 S社において、X2年10月15日の残余財産の確定の日の属する事業年度で生じた欠損金額に相当する金額は、その残余財産の確定の日の翌日の属するP社の連結事業年度において、連結所得の金額の計算上、損金の額に算入することとなります。

【解説】

  1. 1 連結子法人の解散(合併又は破産手続開始の決定による解散に限ります。)があった場合には、その解散の日の翌日(合併による解散の場合には、その合併の日)において、その連結子法人の連結納税の承認が取り消されたものとみなされます(法4の52四)。また、連結子法人が連結事業年度の中途において合併により解散した場合や破産手続開始の決定を受けた場合には、みなし事業年度が生ずることとなります(法141九、十)。
     しかしながら、その解散が本件のように合併又は破産手続開始の決定による解散ではない場合には、S社の連結納税の承認が取り消されることはなく、また、みなし事業年度が生じないことから、P社は、X1年4月1日からX2年3月31日までの連結事業年度において、S社の個別益金額又は個別損金額などを含めて連結確定申告を行うこととなります。
  2. 2 連結子法人の残余財産の確定があった場合には、その残余財産の確定の日の翌日において、連結子法人の連結納税の承認が取り消されたものとみなされます(法4の52四)。また、連結子法人の連結事業年度の中途において残余財産が確定した場合には、その連結事業年度開始の日から残余財産の確定の日までの期間について、みなし事業年度が生ずることとなり(法141十)、この期間は、連結事業年度に含まれないこととされています(法15の21二)。
     したがって、S社は、連結親法人事業年度開始の日であるX2年4月1日から残余財産の確定の日であるX2年10月15日までの期間のみなし事業年度について、連結法人として単体申告を行うこととなります。
  3. 3 連結法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人でその連結法人が発行済株式又は出資の全部又は一部を有するものの残余財産が確定した場合(その残余財産の確定の日が連結親法人事業年度終了の日である場合を除きます。)において、その残余財産の確定の日の属する事業年度で生じた欠損金額があるときは、その欠損金額に相当する金額(注)は、その連結法人のその残余財産の確定の日の翌日の属する連結事業年度の連結所得の金額の計算上、損金の額に算入することとされています(法81の94)。
     したがって、S社の残余財産の確定の日(X2年10月15日)の属する事業年度に生じた欠損金額に相当する金額は、その翌日(X2年10月16日)の属するP社の連結事業年度(X2年4月1日からX3年3月31日までの期間)の連結所得の金額の計算上、損金の額に算入することとなります。

(注) その残余財産が確定した他の連結法人に株主等が2以上ある場合には、その欠損金額に相当する金額を当該他の連結法人の発行済株式又は出資(当該他の連結法人が有する自己の株式又は出資を除きます。)の総数又は総額で除し、これにその連結法人の有する当該他の連結法人の株式又は出資の数又は金額を乗じて計算した金額をいいます。