第1 法人税基本通達関係

11 中小企業者等の軽減税率

【新設】(大法人による完全支配関係)

16−5−1 法第66条第6項第2号イ《中小企業者等に対する軽減税率の不適用》に規定する「資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人」(以下16−5−1において「大法人」という。)による完全支配関係とは、大法人が普通法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係をいうのであるから、例えば、普通法人の発行済株式等の全部を直接に保有する法人(以下16−5−1において「親法人」という。)が大法人以外の法人であり、かつ、当該普通法人の発行済株式等の全部を当該親法人を通じて間接に保有する法人が大法人である場合のように、当該普通法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する者のいずれかに大法人が含まれている場合には、当該普通法人と当該大法人との間に大法人による完全支配関係があることに留意する。

【解説】

1  資本金の額又は出資金の額が1億円以下の普通法人であっても、資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人(以下「大法人」という。)との間に大法人による完全支配関係がある場合には、中小企業者等の軽減税率の適用がないこととされているが(法666二イ)、この場合の「大法人による完全支配関係」とは、大法人によって発行済株式等の全部を直接に保有される関係のみをいうのか、それとも大法人によって発行済株式等の全部を間接に保有される関係も含むのかという疑義が生じる。

2  この点について、「完全支配関係」とは、一の者が法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する一定の関係をいうことから(法2十二の七の六)、「大法人による完全支配関係」とは、大法人が普通法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係をいい、普通法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する者のいずれかが大法人である場合には、その普通法人は大法人による完全支配関係があることとなる。

3  したがって、例えば、普通法人(孫法人)の発行済株式等の全部を直接に保有する法人(子法人)が大法人でなかったとしても、その孫法人の発行済株式等の全部をその子法人を通じて間接に保有する法人(親法人)が大法人である場合には、その孫法人は大法人による完全支配関係があることになる。本通達では、このことを留意的に明らかにしている。

4  連結納税制度においても、同様の通達(連基通19−5−1)を定めている。

(参考)
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【新設】(資本金等の額の円換算)

16−5−2 普通法人が法第66条第6項第2号《中小企業者等に対する軽減税率の不適用》に掲げる普通法人に該当するかどうかを判定する場合において、当該普通法人との間に完全支配関係がある法人が外国法人であるときは、当該外国法人が同号イに規定する「資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人」に該当するかどうかは、当該普通法人の当該事業年度終了の時における当該外国法人の資本金の額又は出資金の額について、当該事業年度終了の日の電信売買相場の仲値により換算した円換算額により判定する。

【解説】

1  内国法人である普通法人のうち、各事業年度終了の時において、資本金の額又は出資金の額(以下「資本金の額等」という。)が5億円以上である法人(以下「大法人」という。)との間に大法人による完全支配関係がある普通法人については、中小企業者等の軽減税率の適用がないこととされている(法666二イ)。
 当該内国法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する法人が外国法人である場合において、その外国法人が「資本金の額等が5億円以上である法人」に該当するかどうかを判定するに当たり、その外国法人の資本金の額等はいつの時点のいかなる為替相場により円換算をした金額によるのかという疑義が生じる。

2  この点、中小企業者等の軽減税率は、内国法人がその事業年度終了の時において大法人による完全支配関係がある場合には適用されないこととされている。また、外国法人の資本金の額等の円換算に用いる為替相場は、外国法人の国内源泉所得に係る所得の金額又は法人税額の計算に関して設けられている法人税基本通達20−3−14《資本金の額等の円換算》と同様に、手数料を加味しないところの相場によることが合理的であると考えられる。
 したがって、この場合の外国法人の資本金の額等の円換算は、当該内国法人の事業年度終了の時における当該外国法人の資本金の額等について、当該事業年度終了の日の電信売買相場の仲値(T.T.M.)によることになる。本通達では、このことを明らかにしている。

3  連結納税制度においても、同様の通達(連基通19−5−2)を定めている。