12の3−3−1 令第14条の8第2号イ《時価評価資産等の範囲》の譲渡損益調整額が1,000万円に満たないかどうかは、その譲渡損益調整額の対象となる譲渡した資産のそれぞれの譲渡損益調整額ごとに判定することに留意する。
1 内国法人が設立事業年度又はその翌事業年度を最初の連結事業年度としようとする期間(以下「連結申請特例年度」という。)とする承認申請(法4の3)をして連結納税の承認を受ける場合に、当該内国法人との間に当該内国法人による完全支配関係がある他の内国法人が当該連結申請特例年度開始の日の前日の属する事業年度終了の時に時価評価資産等を有するときは、当該他の内国法人に係る連結納税の承認は、当該連結申請特例年度終了の日の翌日以後の期間についてその効力を生ずることとされている(法4の3
一)。
この場合の「時価評価資産等」とは、法人税法第61条の11第1項に規定する時価評価資産、
法人税法第61条の13第4項に規定する譲渡損益調整額のうち一定のもの、
長期割賦販売等に該当する資産の販売等に係る契約のうち一定のもの又は
租税特別措置法に規定する圧縮特別勘定の金額のうち一定のものとされ(法令14の8)、このうち
については、譲渡損益調整額が1,000万円未満のものは時価評価資産等に含まれないこととされている(同条二イ)。
(注) 「譲渡損益調整額」とは、上記の他の内国法人が連結納税の適用を開始する直前の事業年度以前の各事業年度において、法人税法第61条の13第1項に規定する譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額につき同項による課税繰延制度の適用を受けた場合における、その譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額(その連結納税の適用を開始する直前の事業年度前の各事業年度の所得の金額又は各連結事業年度の連結所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額の算入された金額を除く。)をいう。
2 ところで、この譲渡損益調整額が1,000万円未満であるかどうかの判定は、当該他の内国法人が有する譲渡損益調整額の合計額により行うのか、それとも、その譲渡損益調整額の基となったそれぞれの譲渡損益調整資産に対応する譲渡損益調整額ごとに行うのかといった疑義が生じる。
この点については、法人税法第61条の13第1項の規定による課税繰延制度は、そもそも個々の譲渡損益調整資産の譲渡損益額を繰り延べるものであることから、譲渡損益調整額が1,000万円未満であるかどうかという時価評価資産に該当するかどうかの判定に当たっても、個々の譲渡損益調整資産に対応するそれぞれの譲渡損益調整額ごとに判定することになるのである。本通達では、このことを留意的に明らかにしている。