5 第65条の5の2《特定の長期所有土地等の所得の特別控除》関係

 平成21年度の税制改正により、法人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間内に取得をした国内にある土地等で、その所有期間が5年超であるもの(特定の長期所有土地等)の譲渡をした場合には、その譲渡利益金額のうち年1,000万円までの金額を損金の額に算入することができる制度(1,000万円特別控除制度)が創設された(措法65の5の2)。

【新設】(先行取得土地等に係る届出書を提出した土地等を譲渡した場合の1,000万円の損金算入の特例の適用)

65の5の2(1)−7 法人が、措置法第66条の2第1項の規定の適用を受けようとする旨を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出した同項に規定する先行取得土地等(以下「先行取得土地等」という。)を譲渡した場合において、その譲渡が措置法第65条の5の2第1項に規定する要件を満たすときは、当該先行取得土地等につき同項の規定の適用を受けることができることに留意する。

【解説】

1  措置法第65条の5の2の特定の長期所有土地等の1,000万円特別控除制度(以下「1,000万円特別控除制度」という。)及び同法第66条の2の先行取得土地等の圧縮記帳制度(以下「先行取得土地圧縮記帳制度」という。)は、いずれも平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間(以下「指定期間」という。)内に、国内にある土地等を取得することが、制度の適用の前提とされている。
 そして、先行取得土地圧縮記帳制度の適用を受けようとする場合には、指定期間内に取得をした国内にある土地等(先行取得土地等)につき、所定の届出書をその土地等の取得の日を含む事業年度の確定申告書の提出期限までに所轄税務署長に提出する必要がある。

2  ところで、先行取得土地圧縮記帳制度の適用を受けることを予定して、先行取得土地等について圧縮記帳の適用を受けようとする旨の届出書を所轄税務署長に提出した後、圧縮記帳の適用を受けることなく、その先行取得土地等を譲渡した場合に、その譲渡利益金額について1,000万円特別控除制度の適用を受けることができるのかといった疑問が生じる。
 この点、1,000万円特別控除制度と先行取得土地圧縮記帳制度は、それぞれ独立した別個の制度であり、その先行取得土地等の譲渡が措置法第65条の5の2第1項に規定する要件を満たす場合には、たとえ上記の届出書を提出したときであっても同項の規定の適用があり、1,000万円特別控除制度の適用を受けることができる。本通達ではこのことを留意的に明らかにしている。

3  連結納税制度においても、同様の通達(連措通68の76の2(1)−7)を定めている。

【新設】(同一の年に属する期間中に2以上の土地等を譲渡した場合の適用)

65の5の2(2)−2 法人が、一の土地等を譲渡し、当該一の土地等に係る措置法第66条の2第14項第3号に規定する譲渡利益金額を基礎として先行取得土地等につき同項の規定の適用を受けた場合であっても、その譲渡をした日の属する事業年度のうち同一の年に属する期間(以下「同一期間」という。)中に譲渡をした他の先行取得土地等(その取得の日から引き続き所有し、かつ、措置法第65条の5の2第1項に規定する所有期間が5年を超えるものに限る。)があるときには、当該他の先行取得土地等について同項の規定の適用があることに留意する。

(注) 措置法第66条の2第1項の規定の適用を受けた先行取得土地等を同一期間中に譲渡した場合には、当該先行取得土地等について措置法第65条の5の2第1項の規定の適用があることに留意する。

【解説】

1  平成21年度の税制改正により、法人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間(以下「指定期間」という。)内に取得をした国内にある土地等で、その所有期間が5年超であるもの(特定の長期所有土地等)の譲渡をした場合には、その譲渡利益金額のうち年1,000万円までの金額を損金の額に算入することができる制度(以下「1,000万円特別控除制度」という。)が創設された(措法65の5の2)。
 また、措置法第65条の5の2の創設と合わせて、指定期間内に取得をした国内にある土地等(先行取得土地等)につき、所定の届出書をその土地等の取得の日を含む事業年度の確定申告書の提出期限までに所轄税務署長に提出した場合において、その取得の日を含む事業年度終了の日後10 年以内に他の土地等の譲渡をしたときは、当該他の土地等の譲渡利益金額の80%(その譲渡の日を含む事業年度において、この圧縮記帳の適用を受ける先行取得土地等が平成22年中に取得をされたもののみである場合には、60%)相当額の範囲内で、その先行取得土地等について圧縮記帳することができる制度(以下「先行取得土地圧縮記帳制度」という。)が創設された(措法66の2)。

2  ところで、法人が、一の事業年度のうち同一の年に属する期間(以下「同一期間」という。)中に2以上の土地等を譲渡した場合に、そのいずれかの土地等の譲渡利益金額を基礎として先行取得土地圧縮記帳制度の適用を受けた場合には、他の土地等について1,000万円特別控除制度の適用を受けることができるのかといった疑問が生ずる。
 この点、1,000万円特別控除制度は、「当該法人が当該事業年度のうち同一の年に属する期間中にその譲渡をした土地等のいずれについても第65条の7から第65条の9まで又は第65条の11から第66条までの規定の適用を受けないとき」(措法65の5の21)に適用ができることとされている。
 このように、同一期間中に2以上の土地等を譲渡した場合において、一の土地等について1,000万円特別控除制度の適用を受けるためには、他の土地等について一定の制度の適用を受けていないという制限が設けられているが、その制限は先行取得土地圧縮記帳制度の規定である措置法第66条の2には及ばないこととされていることから、いずれかの土地等の譲渡利益金額を基礎として先行取得土地圧縮記帳制度の適用を受けた場合であっても、他の土地等の譲渡が同法第65条の5の2第1項に規定する要件を満たすときは、当該他の土地等について1,000万円特別控除制度の適用を受けることができるのである。本通達では、このことを留意的に明らかにしている。

3  また、本通達の注書では、他の土地等の譲渡利益金額を基礎として先行取得土地圧縮記帳制度の適用を受けた場合において、その後同一期間中にこの圧縮記帳の適用を受けた土地等を譲渡したときには、この土地等について1,000万円特別控除制度が適用できることを留意的に明らかにしている。

4  連結納税制度においても、同様の通達(連措通68の76の2(2)−2)を定めている。