2 第42条の12《法人税の額から控除される特別控除額の特例》関係

【新設】(控除可能期間の判定)

42の12−1 法人が措置法第42条の12第1項に規定する法人税額超過額を有する場合において、同項各号に定める金額を構成する同条第2項の繰越税額控除に関する規定に規定する繰越税額控除限度超過額の控除可能期間(同項に規定する控除可能期間をいう。)については、当該繰越税額控除限度超過額が生じた事業年度ごとに判定するものとする。

(注) 繰越税額控除限度超過額とは、同条第1項各号に規定する繰越税額控除限度超過額、平成21年度分繰越税額控除限度超過額、平成22年度分繰越税額控除限度超過額、繰越中小企業者等税額控除限度超過額、平成21年度分繰越中小企業者等税額控除限度超過額及び平成22年度分繰越中小企業者等税額控除限度超過額をいう。

【解説】

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(1) 平成21年度の税制改正により、法人が一の事業年度において、措置法における特別税額控除制度のうち複数の規定の適用を受けようとする場合において、その適用を受けようとする規定による税額控除可能額の合計額が当期の法人税額を超える場合には、その超える部分の金額(法人税額超過額)は当期の法人税額から控除せずに、各特別税額控除制度の繰越税額控除限度超過額として翌期以後に繰越控除することとされた(措法42の12)。

(注) 税額控除可能額とは、特別税額控除制度の規定(措置法第42条の12第1項各号に掲げる規定をいう。)の税額控除限度額及び繰越税額控除限度超過額のうちこれらの規定による控除をしてもしきれなかった金額を控除した金額をいう。
 例えば、中小企業投資促進税制(措法42の6)の適用を受ける場合、取得した機械装置が1,000、当期の法人税額が200とすれば、税額控除限度額(税額控除率7%)は70、法人税額を基準とした適用を受けることができる限度額(法人税額の20%相当額)は40となる。このとき、税額控除限度額70のうち、中小企業投資促進税制により繰越税額控除限度超過額として繰越控除の対象となる金額30を除いた40が税額控除可能額となる。

(2) 法人税額超過額は、特別税額控除制度の規定のうち控除可能期間が最も長いものから順次成るものとされている(措法42の121後段)。

 この控除可能期間とは、特別税額控除制度の規定の適用を受けた事業年度終了の日の翌日(つまり翌事業年度首)から、これらの規定による税額控除可能額についてそれぞれの制度の繰越控除に関する規定を適用したならば繰越税額控除が可能な最終の事業年度終了の日までの期間をいう(措法42の122)。言い換えれば、税額控除可能額を個々の特別税額控除制度における税額控除限度超過額と仮定した場合に、その繰り越して税額控除することができる期間ということになる。
 また、特別税額控除制度における繰り越して税額控除ができる期間は、現行の特別税額控除制度においては1年間というものが大半であることから、控除可能期間が同じになる税額控除可能額については、法人が選択した順に控除可能期間が長いものとして適用することとされている(措令27の121)。
 このように、法人税額超過額を構成する金額は、個々の税額控除の規定による税額控除可能額のうち、まず控除可能期間の長いものに配賦し、次に控除可能期間が同じものがあるのであれば、法人の選択により配賦することとなる。
 この場合に、控除可能期間の判定単位は、各条項単位であることから、同一の税額控除制度であっても、当期に取得した設備に係る税額控除と前期から繰り越した繰越税額控除限度超過額に係る税額控除とでは、別々の規定として判定を行うこととなる。

2  ところで、ある事業年度において生じた税額控除限度超過額が複数事業年度にわたり繰越税額控除ができる制度である場合には、繰越税額控除限度超過額の控除可能期間はどのように判定するのかといった疑義が生じる。
 例えば、措置法第42条の10第4項《沖縄の特定中小企業者が経営革新設備等を取得した場合の法人税額の特別控除》には、次のとおり規定されている。
「前項に規定する繰越税額控除限度超過額とは、当該法人の当該事業年度開始の日前4年以内に開始した各事業年度(…)における税額控除限度額(…)のうち、第2項の規定(…)による控除をしてもなお控除しきれない金額(既に前項の規定により当該各事業年度において法人税の額から控除された金額(…)がある場合には、当該控除済金額を控除した残額)の合計額をいう。」
 上記の特別税額控除制度における繰越税額控除限度超過額とは、当期首前4年以内に開始した各事業年度に生じた税額控除限度超過額の繰越金額の合計額概念であることから、繰越税額控除限度超過額が複数の事業年度の繰越金額からなる場合には、当該繰越税額控除限度超過額の控除可能期間は、繰越金額が発生した事業年度ごとに区分して判定するのか、あるいは、繰越金額が発生した最も古い(あるいは新しい)事業年度の翌期首からの期間によるのかといったことが、法令上からは明らかではない。
 この点について、繰越税額控除限度超過額の控除可能期間については、その発生事業年度ごとに別々に判定することを本通達により明らかにしている。

3  連結納税制度においても、同様の通達(連措通68の15の2−1)を定めている。