8 経過的取扱い

【新設】(経過的取扱い(2)・・・特例民法法人が一般社団法人等に移行した場合における非営利型法人の要件判定)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第40条第1項《社団法人及び財団法人の存続》の規定により一般社団法人又は一般財団法人として存続するもののうち、同法第121条第1項《認定に関する規定の準用》により読み替えて準用する同法第106条第1項《移行の登記》の登記をしていないもの(所得税法等の一部を改正する法律(平成20年法律第23号)附則第10条第1項《公益法人等の範囲に関する経過措置》に規定する認可取消社団法人及び認可取消財団法人を除く。)が、行政庁の認可を受けて一般社団法人又は一般財団法人(以下経過的取扱い(2)において「一般社団法人等」という。)への移行をした場合において、当該一般社団法人等がその移行の日を含む期間について15−1−28の取扱いによる実費弁償の確認を受けたことにより収益事業としないものとされた業務があるときには、当該業務は当該一般社団法人等の収益事業に該当しないものとして令第3条第2項第3号《非営利型法人の範囲》の要件に該当するかどうかの判定を行うこととする。

【解説】

1  公益法人制度改革に伴い、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という。)第38条の規定による改正前の民法(以下「旧民法」という。)第34条の規定により設立された社団法人又は財団法人(以下「旧民法第34条法人」という。)で、新たな法人制度の施行日(平成20年12月1日)に現に存するものは、一般社団法人又は一般財団法人として存続するものとされている(整備法401)。
 旧民法第34条法人であって新たな法人制度への移行の登記をしていない法人(以下「特例民法法人」という。)は、施行日から起算して5年を経過する日までの期間(以下「移行期間」という。)内に、行政庁の認定を受けて公益社団法人・公益財団法人となるか、行政庁の認可を受けて通常の一般社団法人・一般財団法人となることができる(整備法44、45)。そして、移行期間内に行政庁の認定又は認可を受けなかった特例民法法人は、移行期間の満了の日に解散したものとみなされることとされている(整備法46)。

2  特例民法法人である間は、名称、定款等も変更の必要がなく、主務官庁による監督も継続することから、課税関係についても、平成20年度の税制改正前の制度が維持されることとされている(平成20年改正法附則1013)。したがって、特例民法法人については、収益事業を行う場合に限り、その収益事業から生じた所得に対して22%(年800万円以下の金額は18%)の税率により計算した法人税が課されることになる。
 その後、特例民法法人が行政庁の認可を受けて通常の一般社団法人・一般財団法人へ移行した場合には、それが非営利型法人に該当するときには収益事業から生じた所得に対して、普通法人に該当するときにはすべての所得に対して、30%(年800万円以下の金額は18%)の税率により計算した法人税が課されることになる。
 そして、特例民法法人が通常の一般社団法人・一般財団法人へ移行した場合において、それが非営利型法人に該当するのか、それとも普通法人に該当するのかは、法人税法施行令第3条に掲げる非営利型法人の要件を満たすかどうかにより、その移行後に判定することになる。

3  非営利型法人のうち、いわゆる共益的活動を目的とする法人(法2九の二ロ)の要件の一つとして、「その主たる事業として収益事業を行っていないこと」(法令32三)と規定されている。
 ところで、法人税基本通達15−1−28《実費弁償による事務処理の受託等》では、公益法人等が事務処理の受託の性質を有する業務を行う場合において、その業務が実費弁償により行われるものであり、かつ、そのことにつきあらかじめ一定の期間を限って所轄税務署長又は国税局長の確認を受けたときは、その確認を受けた期間については、当該業務は、その委託者の計算に係るものとして当該公益法人等の収益事業としないものとして取り扱うこととしている。
 そこで、特例民法法人が、法人税基本通達15−1−28の実費弁償の確認を受けている期間中に一般社団法人・一般財団法人へ移行した場合に、その確認を受けた業務は非営利型法人の要件判定に当たってどのように取り扱われるのかという疑問が生ずる。

4  この点、法人税基本通達1−1−11では、非営利型法人に該当するかどうかの要件判定に当たっても、実費弁償方式により行われている業務は収益事業に該当しないとして取り扱うこととしているところである。したがって、特例民法法人が一般社団法人・一般財団法人に移行する場合において、その移行前に既に法人税基本通達15−1−28の確認を受けた期間があるときには、その期間中、確認を受けた業務は非営利型法人の判定上も収益事業に該当しないものと取り扱うことが相当であると考えられる。
 これらのことから、特例民法法人が一般社団法人・一般財団法人に移行した場合において、移行の日を含む期間について既に法人税基本通達15−1−28の確認を受けているときには、移行に際して改めて法人税基本通達1−1−11の確認を要することはなく、その確認を受けた業務は一般社団法人・一般財団法人の収益事業に該当しないものとして、法人税法施行令第3条第2項第3号の要件に該当するかどうかの判定を行うことを本通達で明らかにしている。

5  なお、特例民法法人が一般社団法人・一般財団法人に移行した後、実費弁償の確認を受けた期間が満了する場合において、その法人が非営利型法人に該当するかどうかの判定に当たって再度実費弁償の確認を受けるときには、その確認手続は法人税基本通達1−1−11によることになる。