2 耐用年数関係各論

【新設】(無人駐車管理装置)

2−7−19 別表第一の「器具及び備品」の「11前掲のもの以外のもの」に掲げる「無人駐車管理装置」には、バイク又は自転車用の駐輪装置は含まれないことに留意する。

(注) バイク又は自転車用の駐輪装置は、「11前掲のもの以外のもの」の「主として金属製のもの」に該当する。

【解説】

1  平成20年度の税制改正により、別表第一の「器具及び備品」の「11前掲のもの以外のもの」のうちに新たに「無人駐車管理装置」が特掲された。本通達では、この「無人駐車管理装置」は自動車用に限るものとし、バイク又は自転車用の駐輪装置はこれには含まれないことを留意的に明らかにしている。

2  「無人駐車管理装置」とは、自動車用の無人駐車管理装置をいい、オートロック式パーキング装置やゲート式パーキング装置がこれに該当することになる。
 このオートロック式パーキング装置とは、駐車時に自動車を所定の位置に止めると車輪が車止めに固定され、また、発車時に自動料金装置に駐車料金を入金すると自動的に車止めが解除される仕組みのもので、大別して、油圧シリンダー機構と料金計算機構から構成されるものをいう。
 また、ゲート式パーキング装置とは、自動車の入出庫時に機械的に遮断できるゲートを備えているもので、駐車券発行機、入口専用ゲート機、料金自動精算機、出口専用ゲート機からなる一体のものをいう。

3  従来から、自動車用の無人駐車管理装置については、排気ガスなどの影響を直接受けやすく、腐食しやすいなどの理由から耐用年数の短縮制度の適用を受ける例が相当多かったものであり、平成20年度の税制改正により、別表第一の「器具及び備品」の「11前掲のもの以外のもの」に新たに特掲資産(耐用年数5年)として追加されたものである。
 バイク又は自転車用の駐輪装置には、通常、このような耐用年数の短縮制度の適用対象となるような事情がないことから、「無人駐車管理装置」には含まれないのである。

【新設】(鉱業用の軌条、まくら木等)

2−8−1 坑内の軌条、まくら木及び坑内動力線で、鉱業の業種用のものとして通常使用しているものは、別表第二の「29鉱業、採石業又は砂利採取業用設備」に含まれるものとする。
 また、建設作業現場の軌条及びまくら木で、総合工事業の業種用のものとして通常使用しているものは、同表の「30総合工事業用設備」に含まれるものとする。

【解説】

1  本通達では、鉱業の業種用のものとして通常使用している坑内の軌条、まくら木及び坑内動力線(以下「軌条等」という。)は、別表第二の「29鉱業、採石業又は砂利採取業用設備」に含まれることを明らかにしている。

2  従来は、鉱業用の軌条等が、鉱業設備のモデル・プラント(標準設備)を構成するものであり、これらを含めてその耐用年数が定められていたことから、旧別表第二の「328金属鉱業設備」から「333その他の非金属工業設備」までの鉱業設備に含まれるものして取り扱ってきたところである(旧耐通2−20−4)。

3  平成20年度の税制改正により、機械及び装置について別表第二の「設備の種類」に係る資産区分の大括り化が行われ、法定耐用年数の見直しが行われた。このため、鉱業用の軌条等について、改正後はどのように取り扱うこととなるか(機械及び装置に含まれるのか)定かでないが、鉱業用の軌条等の性質は従来と変わるものでないことから、この改正後も機械及び装置に含まれるものとして、その取扱いを変更しないことを明らかにしたものである。

4  また、建設工事の用に供する軌条等については、長期間固定的に設置されて使用されるものではなく、作業中のみ設置、使用され作業現場の移動に伴い簡単に移設することができるものであり、その施設、撤去が反復繰り返され構築物にはなじみ難いといったことから、これも従来から機械及び装置に含まれるものとして取り扱ってきたところであり(旧耐通2−20−6)、このような性質は従来と変わることはないため、この改正後も機械及び装置に含まれるものとして、別表第二の「30総合工事業用設備」に含まれることを明らかにしている。

【新設】(総合工事業以外の工事業用設備

2−8−2 機械及び装置で、職別工事業又は設備工事業の業種用の設備として通常使用しているものは、別表第二の「30総合工事業用設備」に含まれるものとする。

【解説】

1  機械及び装置の属する設備が業用設備のいずれに該当するかは、原則として、法人の当該設備の使用状況等からいずれの業種用の設備として通常使用しているかにより判定することとし(耐通1-4-2)、この場合に、最終製品に係る設備が業用設備のいずれに該当するかの判定は、原則として、日本標準産業分類の分類によることとしている(耐通1-4-3)。なお、業用設備の名称は、日本標準産業分類の中分類と同じ名称が付されているところである。

2  このため、一義的には別表第二の「30総合工事業用設備」に含まれる設備とは、日本標準産業分類の中分類「06総合工事業」の業種用の設備のみがこれに該当することとなり、その他の工事業の業種用の設備はこれに当たらないのではないかとの疑義が生じる。

3  ところで、日本標準産業分類では、中分類「06総合工事業」のみならず、中分類「07職別工事業(設備工事業を除く)」及び中分類「08設備工事業」も大分類「D建設業」に属するものとして分類されている。
 なお、中分類「06総合工事業」には、主として建築物等を完成することを発注者に対し直接請負う事業が分類され、小分類「061一般土木建築工事業」、「063舗装工事業」、「066建築リフォーム工事業」等がこれに含まれる。中分類「07職別工事業(設備工事業を除く)」には、主として下請として建設工事を行う事業が分類され、小分類「071大工工事業」、「073鉄骨・鉄筋工事業」、「077塗装工事業」等がこれに含まれる。また、中分類「08設備工事業」には、主として直接請負又は下請として設備工事を行う事業が分類され、小分類「081電気工事業」、「083管工事業」、「084機械器具設置工事業」等がこれに含まれる。

4  これらの工事業を営むいわゆる工事業者は、工事等に際して様々な工事用の機械及び装置を使用するが、これは日本標準産業分類における中分類「06総合工事業」の事業を行う事業者に限られたものでなく、中分類「07職別工事業(設備工事業を除く)」及び中分類「08設備工事業」の事業を行う事業者においても同様の実態にあり、その使用状況等も特段異なるものではないと考えられる。したがって、業用設備の区分の考え方からしても、これらをあえて区分することは適当でないと考えられる。
 そこで、本通達では、日本標準産業分類の中分類「07職別工事業(設備工事業を除く)」又は中分類「08設備工事業」の業種用の設備も別表第二の「30総合工事業用設備」に含まれるものとし、このことを明らかにしている。

【新設】(鉄道業以外の自動改札装置)

2−8−3 自動改札装置で、鉄道業以外の業種用の設備として通常使用しているものについても、別表第二の「38鉄道業用設備」の「自動改札装置」の耐用年数を適用して差し支えないものとする。

【解説】

1  平成20年度の税制改正により、別表第二に「38鉄道業用設備」の「自動改札装置」が新たに特掲された。

2  いわゆる自動改札装置については、主に鉄道業用として使用されることが一般的であるが、この他にも遊園地、水族館あるいは博物館などの施設における入退場ゲートシステムなどにも使用されており、その使用状況等(構造、機能あるいは用途等の実態)も鉄道業用の自動改札装置とほぼ同様のものとなっているものである。したがって、このような自動改札装置については、鉄道業用のものとあえて区分してその他の業種用のものとする必要もなく、またこの「自動改札装置」を鉄道業用のものに限定することも適当ではないと考えられる。
 このため、本通達において、いわゆる自動改札装置については、鉄道業用以外に通常使用しているものであっても別表第二の「38鉄道業用設備」の「自動改札装置」の耐用年数(5年)を適用して差し支えないものとし、このことを明らかにしている。

【新設】(その他の小売業用設備)

2−8−4 別表第二の「45その他の小売業用設備」には、機械及び装置で、日本標準産業分類の中分類「60その他の小売業」の業種用の設備として通常使用しているものが該当することに留意する。

【解説】

1  業用設備の区分は、基本的に、日本標準産業分類の中分類の区分に基づいて定められているところであり、別表第二の「45その他の小売業用設備」に含まれる機械及び装置についても、日本標準産業分類の中分類「60その他の小売業」の業種用の設備として通常使用しているもののみがこれに該当することになる。

2  したがって、業用設備のうち、小売業用として特掲されている別表第二の「44飲食料品小売業用設備」以外の小売業(中分類「56各種商品小売業」、「57織物・衣服・身の回り品小売業」、「59機械器具小売業」及び「61無店舗小売業」)の業種用の設備のすべてが、同別表の「45その他の小売業用設備」に該当するものではないことに留意する必要があり、本通達において念のためこのことを明らかにしている。

【新設】(ホテル内のレストラン等のちゅう房設備)

2−8−5 ホテル内にある宿泊客以外も利用可能なレストラン等のちゅう房用の機械及び装置は、別表第二の「48飲食店業用設備」に含まれることに留意する。

【解説】

1  ホテル内にあるレストラン等のうち宿泊者のみが利用可能なもののちゅう房設備については、その使用状況等が宿泊業用の設備として通常使用されているものであることから、別表第二の「47宿泊業用設備」に含まれることになる。しかしながら、ホテル内にあるレストラン等であっても宿泊客以外の者も利用可能なもののちゅう房設備については、宿泊業用として使用するばかりでなく、飲食店業用としても使用する実態にあることから、宿泊業用設備又は飲食店業用設備のいずれの業用設備に含まれるのかといった疑問が生ずる。

2  この点、2以上の用途に共用されている資産の耐用年数は、耐用年数通達1-1-1により、その使用目的や使用状況等より勘案して合理的に判定することとされているのであるが、ホテル内にあるレストラン等のうち、その利用者が宿泊客に限定されていないような一般の外来客も利用可能なものについては、その施設(店舗)について飲食店営業の営業許可を受ける実態にあることや、一般にそのような設備の使用状況等は飲食店業用のものと同様であると考えられることなどから、本通達において、そのちゅう房用の機械及び装置については、別表第二の「48飲食店業用設備」に含まれることを留意的に明らかにしている。

【新設】(持ち帰り・配達飲食サービス業用のちゅう房設備)

2−8−6 ちゅう房用の機械及び装置で、持ち帰り・配達飲食サービス業の業種用の設備として通常使用しているものは、別表第二の「48飲食店業用設備」に含まれるものとする。

【解説】

1  機械及び装置の属する設備が業用設備のいずれに該当するかは、原則として、法人の当該設備の使用状況等からいずれの業種用の設備として通常使用しているかにより判定することとし(耐通1-4-2)、この場合に、最終製品に係る設備が業用設備のいずれに該当するかの判定は、原則として、日本標準産業分類の分類によることとしている(耐通1-4-3)。なお、業用設備の名称は、日本標準産業分類の中分類と同じ名称が付されているところである。

2  このため、一義的には別表第二の「48飲食店業用設備」に含まれる設備とは、日本標準産業分類の中分類「76飲食店業」の業種用の設備がこれに該当することとなる。

3  ところで、日本標準産業分類では、中分類「77持ち帰り・配達飲食サービス業」について、客の注文に応じその場所で調理した飲食料品を提供する事業所のうち、その場所で飲食することを主たる目的とした設備を有さない事業所をいうとされている。具体的には、付表8のとおり、持ち帰りすし店、持ち帰り弁当屋、宅配ピザ屋、仕出し料理・弁当屋及び給食センターなどがこれに該当するが、これらの持ち帰り・配達飲食サービス業と中分類「76飲食店業」とは、調理した場所において飲食料品を飲食させる事業であるか否かということにより区分されているに過ぎないものである。

4  このため、これらのちゅう房用の機械及び装置についてはその使用状況等に特段違いがあるものではなく、いずれも飲食料品の提供を行うために使用されているものである。したがって、これらに適用する耐用年数についても、飲食料品の提供場所の違いによって、これを異にする必要はなく、同じ業用設備として取り扱うことが適当であると考えられることから、日本標準産業分類の中分類「77持ち帰り・配達飲食サービス業」の業種用の設備として通常使用しているものについても、別表第二の「48飲食店業用設備に含まれるものとし、本通達でこのことを明らかにしている。

【新設】(その他のサービス業用設備)

2−8−7 別表第二の「54その他のサービス業用設備」には、機械及び装置で、日本標準産業分類の中分類「95その他のサービス業」の業種用の設備として通常使用しているものが該当することに留意する。

【解説】

1  業用設備の区分は、基本的に、日本標準産業分類の中分類の区分に基づいて定められているところであり、別表第二の「54その他のサービス業用設備」に含まれる機械及び装置についても、日本標準産業分類の中分類「95その他のサービス業」の業種用の設備として通常使用しているもののみがこれに該当することになる。

2  したがって、業用設備のうち、別表第二の「46技術サービス業用設備(他の号に掲げるものを除く。)」から「53自動車整備業用設備」までのサービス業用として特掲されているもの以外のサービス業の業種用の設備のすべてが、同別表の「54その他のサービス業用設備」に該当するものではないことに留意する必要があり、本通達において念のためこのことを明らかにしている。

【新設】(道路旅客運送業用設備)

2−8−8 機械及び装置で、道路旅客運送業の業種用の設備として通常使用しているものは、別表第二の「55前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」に含まれることに留意する。

【解説】

  業用設備の区分は、基本的に、日本標準産業分類の中分類の区分に基づいて定められているところであり、別表第二に特掲されていない日本標準産業分類の中分類「43道路旅客運送業」の業種用の設備として通常使用しているものは、別表第二の「55前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」に含まれることを本通達において念のため明らかにしている。

(注) 別表第二の「39道路貨物運送業用設備」に含まれるのは中分類「44道路貨物運送業」の業種用の設備に限られるから、道路旅客運送業の業種用の設備はこれに含まれないことに留意する必要がある。

【新設】(電光文字設備等)

2−8−9 電光文字設備は、例えば、総合工事業の業種用の設備として通常使用しているものであっても、別表第二の「55前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」に含まれるものとする。
 蓄電池電源設備及びフライアッシュ採取設備についても同様とする。

【解説】

1  機械及び装置の属する設備が業用設備のいずれに該当するか、すなわち別表第二の「設備の種類」のいずれの区分に分類されるかは、その設備の使用状況等からいずれの業種用の設備として通常使用されているかにより判定することを基本としている(耐通1-4-2)。そして、その設備が様々な業種用の設備として使用されており、その設備を主として通常使用している業種が特にないものについては、これを特定の業用設備として判定することは困難であることから、基本的には別表第二の「55前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」に分類されることになる。

2  旧別表第二に掲げられていた設備のうち、「362電光文字設備」、「352蓄電池電源設備」及び「353フライアッシュ採取設備」は幅広く様々な業種用に使われており、いずれの業種用に通常使用されているかが特定困難なものであることから、基本的には別表第二の「55前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」に分類されることが想定されている(付表9)。
 したがって、本通達では、これらの設備については、個々の使用状況いかんにかかわらず、同別表の「55前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」に含まれるものとして、そのことを念のため明らかにしている。

(注) 「フライアッシュ採取設備」とは、ボイラや焼却炉などの燃焼ガス中に浮遊する微小粒子状の飛灰(フライアッシュ)を採取・捕集する集じん器の機械及び装置をいう。