1 耐用年数関係総論

【改正】(いずれの「設備の種類」に該当するかの判定)

1−4−2 機械及び装置が一の設備を構成する場合には、当該機械及び装置の全部について一の耐用年数を適用するのであるが、当該設備が別表第二の「設備の種類」に掲げる設備(以下「業用設備」という。)のいずれに該当するかは、原則として、法人の当該設備の使用状況等からいずれの業種用の設備として通常使用しているかにより判定することに留意する。

【解説】

1  平成20年度の税制改正により、耐用年数省令が改正され、資産区分が多い機械及び装置を中心に、使用実態を踏まえた年数を基礎としつつ、資産区分が整理されるとともに、法定耐用年数の見直しが行われた。
 機械及び装置については、日本標準産業分類の中分類を基本とした資産区分の整理が行われ、改正前の390区分から55区分に大括り化された。
 本通達では、機械及び装置の属する設備が、別表第二の「設備の種類」に掲げる設備(以下「業用設備」という。)のいずれに該当するかの判定に当たっての基本的な考え方を明らかにしている。
 改正前と同様に、機械及び装置が一の設備を構成する場合、すなわち個々の機械及び装置が一の工程やラインとなって、一体の設備を構成している場合には、その個々の機械及び装置ごとに耐用年数を適用するわけではなく、その一の工程やラインとしての一の設備を構成する機械及び装置の全部について一の耐用年数を適用することとしている。
 この場合において、その一の設備が別表第二の「設備の種類」に掲げる「1食料品製造業用設備」から「55前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」までの55区分に掲げる業用設備のうちのいずれに該当するかは、原則として、各法人のその設備の使用状況等からいずれの業種用の設備として通常使用しているかによって判定することを基本としている。

2  旧別表第二に掲げる設備は、例えば「1食肉又は食鳥処理加工設備」のように大半が「○○設備」として定められており、具体的な個別の設備が390区分に細分化されて掲げられていたが、改正後は、いずれも「△△業用設備」として55区分に括られて掲げられている。つまり、個別の設備一つ一つについて新たな耐用年数を定めたものではなく、業用設備、すなわち△△業用の設備については一括りで何年といった耐用年数の定め方になっている。
 このような耐用年数の定め方の違いは、次の考え方による。すなわち、改正前は、機械及び装置のような総合減価償却資産については、それぞれの設備ごとにそのモデル・プラント(標準設備)を想定し、それを構成する個々の資産の個別耐用年数を総合した年数により耐用年数が算定されていたが、改正後の資産区分は、日本標準産業分類の中分類に従って業用区分(事業区分)で分けられており、ある区分における一の業用設備についてそこに当てはまる新たなモデル・プラントが設定されているわけではない。一の業用設備の中には、その業種ごとの様々な設備が含まれているということであり、例えば、「1食料品製造業用設備」では、食料品メーカーが製造する食料品の種類は多岐にわたり、それらを製造する設備の種類も多岐にわたるが、そのような食料品製造業を営む事業者がそれぞれ所有し食料品製造業の用に使用している個々の設備がこの中にすべて含まれることになる。改正後の資産区分はこのように業用区分で一括りにしていることから、そこに含まれる個々の設備の中身は異なるものの、別表第二の「設備の種類」の判定区分としては、同じ「1食料品製造業用設備」として判定し、同じ耐用年数を適用することになるのである。要するに、1つの「設備の種類」の区分が改正前のようにモデル・プラントによって細かく分かれてそれぞれの耐用年数が定められているものではなく、業用区分で大括り化されたことにより、その中には同じ業用区分の様々な設備が含まれており、それらの設備の使用実態を踏まえた年数等を基礎として区分ごとに平均的に算定されたものが、改正後の業用設備の耐用年数となっているのである。
 その上で、別表第二の「△△業用設備」の名称も、日本標準産業分類の中分類と同じ名称が付されているものである。

3  ところで、機械及び装置の新たな資産区分の判定に関して、「△△業用設備」という名称からして、法人の業種で判定するのではないか、つまり、例えば食料品製造業を営んでいる事業者であれば、その事業者に属する機械及び装置については、すべて食料品製造業用設備に該当するのではないかという疑問も生ずるところである。この点については、設備の耐用年数はあくまで「モノの年数」が基本であり、「モノの年数」を求めるためにそれぞれの機械及び装置の資産区分の判定を行うものであることから、基本的には法人の業種で判定するのではなく、その設備がいずれの業種用の設備に該当するかということによって判定することになる。本通達では、その点について更に、各法人の設備の使用状況等からいずれの業種用の設備として通常使用しているかにより判定するということを念のため明らかにしている。

(注) 改正後の資産区分は55区分となり、表面的には従来のモデル・プラントの考え方はないことになる。ただし、改正後の耐用年数も個々の設備の使用実態等を踏まえたものであることからすると、耐用年数算定のベースとしてモデル・プラントの考え方が全くなくなったものではないと考えられる。例えば、現に耐用年数の短縮が認められる事由の一つとして、旧耐用年数省令を用いて償却限度額を計算することとした場合に、旧耐用年数省令に定める一の耐用年数を用いて償却限度額を計算すべきこととなる減価償却資産の構成が、その耐用年数を用いて償却限度額を計算すべきこととなる同一種類の他の減価償却資産の通常の構成と著しく異なることと定められているところである(法令571六、法規16一)。つまり、耐用年数の短縮申請を行う場面においては、改正前のモデル・プラントに基づく旧耐用年数省令における資産区分(以下「旧資産区分」という。)を見なければ、その設備の構成が通常の構成と同じかどうかということが比較検討できないということになるため、この旧資産区分やその基となるモデル・プラントの考え方を用いることとなる。このような点を考慮し、平成20年度の税制改正により耐用年数省令上は旧別表第二上の390区分はなくなったが、耐用年数通達において旧別表第二を付表10として掲げている。

【新設】(最終製品に基づく判定)

1−4−3 1−4−2の場合において、法人が当該設備をいずれの業種用の設備として通常使用しているかは、当該設備に係る製品(役務の提供を含む。以下「製品」という。)のうち最終的な製品(製品のうち中間の工程において生ずる製品以外のものをいう。以下「最終製品」という。)に基づき判定する。なお、最終製品に係る設備が業用設備のいずれに該当するかの判定は、原則として、日本標準産業分類の分類によることに留意する。

【解説】

1  機械及び装置の属する設備が業用設備のいずれに該当するかの判定については、耐用年数通達1−4−2の基本的な考え方を踏まえて、4つの判定基準を設けている。
 本通達では、その4つの基準のうち最も基本的な第一の基準を定めている。すなわち、当該設備がいずれの業種用の設備として通常使用しているかは、改正前と同様に、その設備によって生産される最終的な製品により、(当該設備によって行われる事業の内容が加工や修理その他の役務の提供である場合には、その設備によって提供される役務の最終的な態様に基づいて、)判定を行うことを基本としている。そして、この場合に、その最終製品に係る設備がいずれの業種用の設備に当たるかという業用区分の具体的な判定は、原則として、日本標準産業分類の分類(中分類)により行うことを明らかしている。

2  改正前は、資産区分が390区分あり、日本標準産業分類による分類の仕方とは必ずしも一致していなかったが、改正後は別表第二の「設備の種類」の名称が日本標準産業分類の中分類に合わせて55区分に定められており、日本標準産業分類の中分類に従って業用区分の判定を行えば、基本的には業用設備の区分の判定もできることとなる。  
 なお、別表第二の「設備の種類」と日本標準産業分類の小分類、そして更にはその分類される事業の具体例を掲げた対比表を付表8として掲げており、これを参考にして、設備の種類ごとに日本標準産業分類の分類を当てはめると、いずれの区分に該当するかが判定できるものと考えられる。

3  法人の有する設備がいずれの業用設備に該当するかは、法人の業種で判定するのではなく(耐通1-4-2)、その設備によって生産等される最終製品に基づき区分判定を行うことなる。つまり、個々の設備から生産等される最終製品が何であるかを踏まえて、いずれの業種用の設備として通常使用しているかを判定することに留意する必要がある。
 したがって、例えば、ビールメーカーのビール製造工場にあるビール製造設備と従業員用の食堂施設のちゅう房設備について、それぞれの設備の最終製品を踏まえた使用状況等から判定すれば、ビールという最終製品を製造するビール製造設備は別表第二の「2飲料、たばこ又は飼料製造業用設備」に該当するのに対し、食事という最終的な役務を提供するちゅう房設備は一般的には同別表の「48飲食店業用設備」に該当するものと考えられる。

4  法人の有する設備がいずれの業用設備に該当するかは、一の設備ごとに、それぞれの設備をいずれの業種用の設備として通常使用しているかということによって判定することとしているのであるから(耐通1-4-2)、例えば総合家電メーカーのように、1つの企業の中でも、複数種類の設備を所有し、それぞれ異なる製品(最終製品)を生産等している場合には、最終製品が異なるそれぞれの設備ごとに資産区分を判定し、その区分が異なるときにはそれぞれの業用設備に応じた耐用年数を適用することに留意する必要がある。

(注) 改正に伴う資産区分の大括り化によって、同様の機械及び装置については同一区分の業用設備として判定されることが大半であると考えられる。その一方で、法人が有する設備がいずれの業用設備に該当するかは、原則として、法人の当該設備の使用状況等からいずれの業種用の設備として通常使用されているかによって判定することとしている(耐通1-4-2)ことから、同様の機械及び装置であっても、機械及び装置の使用状況等によっては必ずしも同一区分の業用設備として判定されることにはならない場合があり、ひいては耐用年数が異なることがあることに留意する必要がある(旧資産区分では同一のものが、新たな資産区分では複数に分かれるものがある。)。
 例えば、ブルドーザー、パワーショベル等は、改正前は旧別表第二の「334ブルドーザー、パワーショベルその他の自走式作業用機械設備」として特掲されており、どのような使用状況等にあるものであってもこれに該当することとしていたが(旧耐通2-5-5)、改正後は別表第二に個別の設備として特掲されているものではなく、これらの耐用年数の判定は、耐用年数通達1-4-2によることになる(耐通2-5-5)。
 したがって、ブルドーザー、パワーショベル等であっても、その使用状況等により、林業用であれば別表第二の「26林業用設備」に、採石業用であれば同別表の「29鉱業、採石業又は砂利採取業用設備」に、総合工事業用であれば同別表の「30総合工事業用設備」に、港湾運送業用であれば同別表の「41運輸に附帯するサービス業用設備」に、廃棄物処理業用であれば同別表の「55前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」に、あるいはこれら以外の業用設備としてそれぞれの区分に判定することとなる。

【改正】(中間製品に係る設備に適用する耐用年数)

1−4−4 1−4−3の場合において、最終製品に係る一連の設備を構成する中間製品(最終製品以外の製品をいう。以下同じ。)に係る設備の規模が当該一連の設備の規模に占める割合が相当程度であるときは、当該中間製品に係る設備については、最終製品に係る業用設備の耐用年数を適用せず、当該中間製品に係る業用設備の耐用年数を適用する。
 この場合において、次のいずれかに該当すると認められるときは、当該割合が相当程度であると判定して差し支えない。

  • (1) 法人が中間製品を他に販売するとともに、自己の最終製品の材料、部品等として使用している場合において、他に販売している数量等の当該中間製品の総生産量等に占める割合がおおむね50%を超えるとき
  • (2) 法人が工程の一部をもって、他から役務の提供を請け負う場合において、当該工程における稼動状況に照らし、その請負に係る役務の提供の当該工程に占める割合がおおむね50%を超えるとき

【解説】

1  機械及び装置の属する設備が業用設備のいずれに該当するかの判定については、耐用年数通達1-4-2の基本的な考え方を踏まえて、4つの判定基準を設けており、本通達では、その4つの基準のうちの第二の基準を定めている。すなわち、耐用年数通達1-4-3により最終製品に基づき判定することが第一の基準であるが、本通達では、中間製品に係る一定の設備については、当該中間製品に基づき判定することを明らかにしている。
 一般的にメーカーなどの工場においては、一の製造工程、製造ラインから最終製品が製造されるが、その最終製品に係る一連の設備を構成する設備の中に、中間製品を製造する設備があり、その設備の規模が一連の設備の規模に占める割合が相当程度であるという場合がある。その場合には、その中間製品に係る設備については、最終製品に係る設備の種類の耐用年数を適用するのではなく、これとは別に、中間製品に係る設備の種類の耐用年数を適用することとしている。

2  例えば、液晶テレビを製造している工場の場合、そこで生産される最終製品は液晶テレビであることから、その製造設備は、日本標準産業分類の分類で業用区分を判定し、別表第二に当てはめれば、「22情報通信機械器具製造業用設備」に該当することになると考えられる。ただし、その中間の製造工程において、フラットパネルディスプレイなどが中間製品として製造され、それを自社で製造している液晶テレビに組み込む以外に、一つの製品として他に販売しているというようなケースも考えられる。その場合に、その中間製品であるフラットパネルディスプレイを製造する設備の規模が液晶テレビを製造する一連の設備の規模に占める割合が相当程度であるときには、その設備は液晶テレビの製造設備とは別に、フラットパネルディスプレイの製造設備、すなわち、別表第二の「20電子部品、デバイス又は電子回路製造業用設備」の「フラットパネルディスプレイ製造設備」に該当し、その耐用年数を適用することになる。

3  このように、あくまでも基本は一の設備における最終製品に基づき判定することとなるが、中間製品を製造するための設備の規模が一連の設備の規模に占める割合が相当程度である場合には、中間製品に係る設備の耐用年数を適用することになる。この考え方は、改正前における中間製品による設備の判定の考え方を踏襲しつつ、平成20年度の税制改正の趣旨も踏まえ、その判定基準を簡素・合理化したものである。
 なお、別表第二の資産区分が55区分に大括り化されたことにより、上記のフラットパネルディスプレイのような例は別にして、一連の設備を最終製品で判定しても、中間製品で判定しても、その区分(業用設備の区分)は異ならないケースが多くなるものと考えられる。

4  ところで、本通達では、「中間製品に係る設備の規模が一連の設備に占める割合が相当程度」としているが、その規模については、大きさや金額など様々な判断基準があり、特にこの基準でなければ認められないという限定的なものではなく、あくまでも実態に即した合理的な基準により判断することになる。
 例えば、製品を製造するための設備の大きさを基準として設備の規模を判断することが適当な設備にあっては、ライン全体に占める中間製品を製造するための作業工程等の長さの割合が相当程度である場合には、中間製品に係る設備の耐用年数を適用することになる。他方、作業工程等の長さはそれ程ではないとしても、中間製品を製造するための設備が最新技術の組み込まれた高額な設備であるような場合には、設備の取得価額を基準として設備の規模を判断することとして差し支えない。
 また、本通達においては、例えば、中間製品の総生産量の50%を超えて他に販売しているような場合や、他から受注を受けて加工するその請負量が総作業量の50%を超えているような場合にも、相当程度であると取り扱って差し支えないこととしている。ただし、これらはあくまでも例示であり、これらに限るということではない。
 なお、このおおむね50%を超えるかどうかは、およその見当で50%を超えるかどうかを判定すればよく、詳細な計算を行う趣旨ではないことに留意する必要がある。

【新設】(自家用設備に適用する耐用年数)

1−4−5 次に掲げる設備のように、その設備から生ずる最終製品を専ら用いて他の最終製品が生産等される場合の当該設備については、当該最終製品に係る設備ではなく、当該他の最終製品に係る設備として、その使用状況等から1−4−2の判定を行うものとする。

  • (1) 製造業を営むために有する発電設備及び送電設備
  • (2) 製造業を営むために有する金型製造設備
  • (3) 製造業を営むために有するエレベーター、スタッカー等の倉庫用設備
  • (4) 道路旅客運送業を営むために有する修理工場設備、洗車設備及び給油設備

【解説】

1  機械及び装置の属する設備が業用設備のいずれに該当するかの判定については、耐用年数通達1-4-2の基本的な考え方を踏まえて、4つの判定基準を設けており、本通達では、その4つの基準のうちの第三の基準を定めている。すなわち、当該設備から生産等された最終製品を専ら自家用として主たる他の最終製品を生産等するために使用する場合の当該設備(以下「自家用設備」という。)については、当該最終製品に係る設備ではなく、その主たる他の最終製品に係る設備として、その使用状況等から業用設備のいずれに該当するかの判定を行うことを明らかにしている。この基準は、平成20年度の税制改正に伴う機械及び装置の資産区分の大括り化を踏まえて新設したものである。

2  平成20年度の税制改正後の別表第二の「設備の種類」では、その資産区分についてそれぞれ「△△業用設備」として掲げられており、ある設備が業用設備のいずれに該当するかは、原則として、各法人のその設備の使用状況等からいずれの業種用の設備として通常使用しているかにより判定することを基本としている(耐通1-4-2)。そして、この場合に、ある設備がいずれの業用設備に該当するかは、それぞれ一の設備から生産等される最終製品により判定することとし、最終製品に係る設備がいずれの業種用の設備に当たるかという業用区分の具体的な判定は、原則として、日本標準産業分類の分類(中分類)により行うことを明らかしている(耐通1-4-3、付表8)。

3  ところで、この最終製品に基づく判定に関し、ある設備から生ずる最終製品Aがそのまま製品として他に販売等されることがほとんどなく、専ら自家用として直接的に製品の一部を構成するものではないものの他の最終製品Bを生産等するために使用されるような場合に、当該最終製品Aを生産等する当該自家用設備をいずれの業種用の設備として使用していると判断すべきか、すなわち最終製品Aのみに基づいて判定するのか、それとも最終製品Aを使用して生産等される他の最終製品Bに基づいて判定するのかが問題となる。
 例えば、自動車メーカーが自動車製造業を営むために自家用発電設備(内燃力又はガスタービン発電設備)を所有する場合の当該発電設備のように、その発電設備から生ずる最終製品(電気)を専ら使用して他の最終製品(自動車・同附属品)が生産等される場合の当該自家用発電設備について、これをいずれの業種用の設備として判定することが適当かという問題である。

4  上記2の基本的な取扱いにより、いずれの設備も最終製品に基づいて判定するということになれば、自家用発電設備から生産される最終製品は電気であり、一の設備としてその業用区分を日本標準産業分類の小分類(「331電気業」)により判定すると、別表第二では、「31電気業用設備」の「内燃力又はガスタービン発電設備」に当たり、耐用年数は15年を適用することになるとも考えられる。
 この点、旧別表第二では、「349内燃力又はガスタービン発電設備」が特掲されており、各製造設備のモデル・プラントには一般的に自家用発電設備が含まれていなかったことから、自家用発電設備については製造設備とは区分して「349内燃力又はガスタービン発電設備」の耐用年数を適用することとされていた(旧耐通1-4-6)。他方、改正後の別表第二では、それぞれが「△△業用設備」として掲げられており、この大括り化後の資産区分でいわゆる発電設備が該当するものとして、「31電気業用設備」の「内燃力又はガスタービン発電設備」が掲げられているが、あくまでもこれに該当するのは、電気業用の設備である。すなわち、基本的な考え方(耐通1-4-2)に従い、いわゆる発電設備を電気業の業種用の設備として通常使用しているかどうかということが問題になるが、電力会社の場合であれば、電気を生産して他に販売・供給していることから、まさに電気業用の設備として通常使用していることに疑いの余地はない。しかしながら、いわゆる一般のメーカーが発電設備を所有している場合には、その設備が相当の規模を有し、電気を専ら自社使用するだけではなく他に販売・供給しているようなケースは別にして、自家用として使用しているときには、これを直ちに電気業用の設備として判定することは適当でないと考えられる。そこで、このような専ら他の主たる製品を生産するために使用する電気を生産する自家用発電設備をいずれの業種用の設備として判定することが適当かといえば、それは、広い意味で主たる製品(上記の例では自動車・同附属品)を製造するための業用設備と考えるのが実態に合っており、また、それが改正に伴う大括り化された業用設備としての資産区分の考え方にも合致するものと考えられる。
 このような考え方に基づき、自家用設備は他の主たる最終製品を製造するための業用設備であるとして、資産区分(業用区分)の判定を行うこととしたものである。
 そうすると、上記の例であれば、発電設備だけを取り出して、別表第二の「31電気業用設備」の「内燃力又はガスタービン発電設備」に当たると判定して、耐用年数15年を適用するのではなく、あくまでも自動車・同附属品製造設備としてその業用区分を日本標準産業分類の小分類(「311自動車・同附属品製造業」)により判定し、発電設備についても別表第二の「23輸送用機械器具製造業用設備」に適用される9年の耐用年数を適用することになるのである。

5  また、本通達では、「設備から生ずる最終製品を専ら用いて」としており、この点について特に数値基準を設けているわけではないが、必ずしも「全て」という意味の100%までを要求しているものではないという趣旨である。よって設備から生ずる最終製品がどの程度自家用として使用されているかという実態を踏まえて、自家用設備かどうかの判定を行うこととなる。

6  ところで、このような自家用設備は、自家用発電設備に限られるものではなく、本通達では(1)に掲げる自家用発電設備の他に次の3つの例を挙げている。
 (2)は、製造業を営むために有する金型製造設備である。これは例えば、玩具やカメラレンズ、光学機器等を製造するメーカーにおいて、自社製品用の金型を製造するための設備を所有している場合がある。カメラレンズ製造業の場合であれば、最終的に製造する製品はカメラレンズであるが、カメラレンズを製造するための金型そのものを製造する設備を自社で所有しているという場合である。金型製造設備の最終製品は金型そのものであり、それを製造する設備は一の業用設備として判定することになるとも考えられる。しかしながら、金型を他へ販売している場合であれば、これをいわゆる金型の製造業用設備として見ることもできるが、そうではなくあくまで自家用のものであれば、専ら自社製品のカメラレンズを製造するために使用される自家用設備として、そのカメラレンズの製造設備と同じ業用区分として耐用年数を適用することが適当であると考えられる。 

7  (3)は、製造業を営むために有するエレベーター、スタッカー等の倉庫用設備である。製造業を営んでいれば、材料や製品を保管しておくための倉庫を所有している場合が多く、そのような倉庫にはエレベーター、スタッカー等の機械及び装置が備え付けられていることがある。この場合には、これらの機械及び装置は、倉庫に自社の材料や製品などの荷物を保管しておく際に、荷物の昇降等(役務の提供)のために使用されることになるが、それを製造業とは切り離して、別の業用設備として判定することは適当ではなく、製造業と同一の業種用の設備として耐用年数を適用することが適当であると考えられる。なお、この取扱いは、旧耐用年数通達1-4-9の取扱いを踏襲したものである。

8  (4)は、道路旅客運送業を営むために有する修理工場設備、洗車設備及び給油設備である。例えばタクシー業は、顧客をタクシーに乗せて運搬する事業であるが、そのために自社のタクシーを整備するための設備や洗車をするための設備、あるいは給油をするための設備を自社で所有している場合がある。そうした場合に、これらの設備をタクシー業とは切り離して別の業用設備として判定するのかどうかという疑問が生ずるが、これらの設備もこの自家用の設備であり、主たる事業の業用設備と同じ業用区分として、すなわち道路旅客運送業用の設備として耐用年数を適用することが適当であると考えられる。
 なお、これらの道路旅客運送業用設備は、別表第二の「55前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」に含まれることに留意する必要がある(耐通2-8-8)。

(注) いわゆるガソリンスタンドにおける洗車設備(ワッシャー)は、別表第二の「45その他の小売業用設備」の「ガソリン又は液化石油ガススタンド設備」に含まれる。
 また、道路旅客運送業者以外にも、例えば建設業者が自社の建設機械等の修理工場を有している場合の修理用の機械設備なども同様に自家用設備に該当するものと考えられる。
 本通達に掲げているものはあくまで自家用設備の例示であり、これらに限るものではなく、この他にも同様に自家用の設備と認められるものについては、同様の取扱いをすることになる。

9  ところで、自家用設備は、主たる設備と同じ業用設備に判定するものであることから、主たる設備と一体化して一の設備となったと考える向きもある。 
 しかしながら、主たる設備と自家用設備はそれぞれ異なる一の設備であることに変わりはなく、本通達では、自家用設備がいずれの設備の種類に該当するかという業用設備の判定に当たって、主たる設備と同じ資産区分に判定をすることを明らかにしたものであり、あくまでも耐用年数の適用に当たって主たる設備と自家用設備を同じ業用区分とすることとしたに過ぎないのである。

【新設】(複合的なサービス業に係る設備に適用する耐用年数)

1−4−6 それぞれの設備から生ずる役務の提供が複合して一の役務の提供を構成する場合の当該設備については、それぞれの設備から生ずる役務の提供に係る業種用の設備の耐用年数を適用せず、当該一の役務の提供に係る業種用の設備の耐用年数を適用する。したがって、例えば、ホテルにおいて宿泊業の業種用の設備の一部として通常使用しているクリーニング設備や浴場設備については、「47宿泊業用設備」の耐用年数を適用することとなる。

【解説】

1  機械及び装置の属する設備が業用設備のいずれに該当するかの判定については、耐用年数通達1-4-2の基本的な考え方を踏まえて、4つの判定基準を設けており、本通達では、その4つの基準のうちの第四の基準を定めている。
 すなわち、サービス業に係る設備に適用されるものとして、それぞれの設備から生ずる役務の提供(業用区分が異なるもの)が複合して一の役務の提供を構成するような場合には、それぞれの設備ごとの業種用の設備として判定することは行わずに、複合する一の役務提供に係る業種用の設備として判定することを明らかにしている。なお、この基準も、耐用年数通達1-4-5と同様に平成20年度の税制改正に伴う機械及び装置の資産区分の大括り化を踏まえて新設したものである。

2  例えば、ホテル業の場合、ホテル内にはいわゆるホテル用設備のほかに、クリーニング設備や浴場のボイラー設備等を備えていることがある。この場合に、これらの設備をいずれの業種用の設備として判定するのか、それぞれの設備ごとに判定をするのかということが問題となる。すなわち、それぞれの設備について、日本標準産業分類の分類により判定すると、クリーニング業用の設備であれば、クリーニング業は小分類の「781洗濯業」に当たることから、別表第二では「49洗濯業、理容業、美容業又は浴場業用設備」(耐用年数13年)となる。また、いわゆる宿泊業用の設備については、宿泊業は小分類の「751旅館、ホテル」に当たり、別表第二では「47宿泊業用設備」(耐用年数10年)となる。さらに、浴場設備については、浴場業は小分類の「785その他の公衆浴場業」に当たり、別表第二では「49洗濯業、理容業、美容業又は浴場業用設備」(耐用年数13年)となるが、このように、それぞれの設備ごとに判定するのかということが問題となる。
 この点、ホテルにおける役務の提供(サービス)には、宿泊客からのオーダーに応じて衣類のクリーニングを行うことや、浴場を利用させることが含まれているが、基本的には、ホテルにおける役務の提供は、それら個々の役務の提供が複合して宿泊客に宿泊サービスを提供するという一の事業、一の業種であり、その場合の一の業種は宿泊業になるものと考えられる。したがって、それらの設備は、いずれも宿泊業に係る業用設備として、別表第二の「47宿泊業用設備」の耐用年数(10年)を適用することとしている。
 なお、ホテルにおける複合的なサービスに係る設備として想定しているのは、あくまでも宿泊業の業種用の設備として通常使用している設備に限られるのであるから、宿泊業の業種用の設備には通常当たらないような、ホテルのプール、スケート場、プラネタリウムなどの関連設備は、別途の業用設備として、一般的には別表第二の「51娯楽業用設備」に該当するものと考えられる。