この制度は、農業生産法人が、昭和56年4月1日から平成24年3月31日までの期間内の日を含む各事業年度において、その飼育した肉用牛を家畜市場、中央卸売市場等において売却した場合等において、その売却した肉用牛のうちに免税対象飼育牛があるときは、その売却による利益の額(年2,000頭を超える場合には超える部分の利益の額を除く。)に相当する金額を、その売却した日を含む事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができるというものである(措法67の3)。
67の3−1 措置法第67条の3第1項に規定する免税対象飼育牛に該当する肉用牛の頭数の合計が年2,000頭を超える場合において、同項の規定により損金の額に算入される年2,000頭までの売却による利益の額がいずれの肉用牛の売却による利益の額の合計額であるかは、法人の計算による。
1 本制度は、農業生産法人がその飼育した肉用牛を家畜市場、中央卸売市場等において売却した場合等において、その売却した肉用牛のうちに免税対象飼育牛があるときは、その売却による利益の額に相当する金額を、その売却をした日を含む事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができるというものである(措法67の3)。
2 平成20年度の税制改正により、免税対象飼育牛の売却頭数の合計が年2,000頭を超える場合には、その超える部分の売却による利益の額については、免税対象から除外された。この改正により、免税対象飼育牛の売却頭数の合計が年2,000頭以内である場合には、その売却したすべての免税対象飼育牛の売却による利益の額について本制度を適用することができるが、年2,000頭を超える場合に損金の額に算入される年2,000頭までの売却による利益の額がいずれの免税対象飼育牛の売却によるものとすべきなのかといった疑問が生じる。
この点、法令上は何ら限定されておらず、また、本制度が年2,000頭までの肉用牛の売却による所得を全免するものであり、個々の売却による利益の大小に着目した制度でないことからすれば、免税対象飼育牛の売却頭数の合計が年2,000頭を超える場合には、損金の額に算入される年2,000頭までの売却による利益の額がいずれの免税対象飼育牛の売却によるものかは、法人の計算によることとして差し支えないものと考えられる。本通達ではこのことを明らかにしている。
3 なお、免税対象飼育牛の売却による利益の額は、一頭ごとに計算するのではなく、選択した2,000頭すべてに係る収益の額からその収益に係る原価の額とその売却に係る経費の額との合計額を控除した金額となる(措令39の26)。したがって、2,000頭のうちに、一頭ごとに計算すると損失が生じる免税対象飼育牛があったとしても、これを除外して免税対象飼育牛の売却による利益の額を計算することはできない。また、本制度の適用を受けるためには、2,000頭すべてについての証明書類が確定申告書等に添付されている必要がある(措法67の3
)のであるから、その点、留意する必要がある。
4 連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の101《農業生産法人の肉用牛の売却に係る連結所得の課税の特例》についても、同様の通達(連措通68の101−1)を新たに定めている。