2 第46条の3《支援事業所取引金額が増加した場合の3年以内取得資産の割増償却》関係

 平成20年度の税制改正により、青色申告書を提出する法人が、平成20年4月1日から平成25年3月31日までの間に開始する各事業年度において、障害者就労支援事業所に対して、資産を譲り受け、又は役務の提供を受けた対価として支払った金額(以下「支援事業所取引金額」という。)がある場合において、その事業年度における支援事業所取引金額の合計額が前事業年度における支援事業所取引金額の合計額を超えるときは、その超える金額(支援事業所取引増加額)を限度として、その事業年度終了の日において有する減価償却資産で事業の用に供されているもののうちその事業年度又はその事業年度開始の日前2年以内に開始した各事業年度において取得等をしたものについて、普通償却限度額の30%相当額の割増償却を行うことができるという制度が創設された(措法46の3)。

(注) 「障害者就労支援事業所」とは、障害者自立支援法第5条第14項に規定する就労移行支援を行う事業所、同条第15項に規定する就労継続支援を行う事業所その他次に掲げる事業所又は施設をいう(措法46の3丸1、措令29の2の2丸1)。

  • 丸1 障害者自立支援法第5条第1項に規定する障害福祉サービス事業(同条第6項に規定する生活介護、同条第14項に規定する就労移行支援又は同条第15項に規定する就労継続支援を行う事業に限る。)を行う事業所
  • 丸2 障害者自立支援法第5条第1項に規定する施設障害福祉サービスとして同条第6項に規定する生活介護又は同条第14項に規定する就労移行支援を行う障害者支援施設等
  • 丸3 障害者自立支援法第5条第21項に規定する地域活動支援センター
  • 丸4 障害者の雇用の促進等に関する法律第44条第1項の認定に係る同項に規定する子会社の事業所
  • 丸5 次に掲げる要件のすべてを満たす事業所
    • @ その資産を譲り受け、又は役務の提供を受けた日を含む年の前年12月31日(以下「取引日の前年末」という。)におけるその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長(以下「公共職業安定所長」という。)の証明を受けた障害者数が5人以上であること
    • A 取引日の前年末における公共職業安定所長の証明を受けた障害者割合が100分の20以上であること
    • B 取引日の前年末における公共職業安定所長の証明を受けた重度障害者等割合が100分の30以上であること

 平成20年4月1日から障害者自立支援法附則第1条第3号に掲げる規定の施行の日の前日までの間においては、次の施設も障害者就労支援事業所となる(措令29の2の2丸2、措規20の18の2丸1)。

  • 丸6 障害者自立支援法附則第41条第1項、第48条又は第58条第1項の規定によりなお従前の例により運営をすることができることとされた同法附則第35条の規定による改正前の身体障害者福祉法第31条に規定する身体障害者授産施設
  • 丸7 障害者自立支援法附則第46条の規定による改正前の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第50条の2第3項に規定する精神障害者授産施設
  • 丸8 障害者自立支援法附則第46条の規定による改正前の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第50条の2第5項に規定する精神障害者福祉工場
  • 丸9 障害者自立支援法附則第52条の規定による改正前の知的障害者福祉法第21条の7に規定する知的障害者授産施設
  • 丸10 障害者自立支援法第5条第1項に規定する障害福祉サービスのうち障害者自立支援法施行規則附則第1条の2により読み替えて適用する同令第1条の2に規定する就労継続支援を行う障害者支援施設等
1 適用対象資産
 本制度の適用対象資産は、当該事業年度終了の日においてその法人の有する減価償却資産で事業の用に供されているもののうち、当該事業年度又は当該事業年度開始の日前2年以内に開始した各事業年度において取得し、又は製作し、若しくは建設したもの(所有権移転外リース取引により取得したものを除く。以下「3年以内取得資産」という。)である。
2 償却限度額

〔算式〕

割増償却限度額 = 3年以内取得資産の普通償却限度額 × 30%
 ただし、上記算式により計算した割増償却限度額の合計額が当該事業年度の支援事業所取引増加額(※)を超えるときは、その支援事業所取引増加額が限度となる(措法46の3丸1)。
(※)支援事業所取引増加額=当該事業年度における支援事業所取引金額の合計額 − 前事業年度における支援事業所取引金額の合計額

3 適用要件
 本制度の適用を受けるためには、法人が資産を譲り受け、又は役務の提供を受けた対価として支払った金額につき支援事業所取引金額に該当するものとして障害者就労支援事務所から交付を受けた一定の書類を保存していることが必要とされている(措令29の2の2丸9、措規20の18の2丸8)。

【新設】(3年以内取得資産に係る特別償却限度額の合計額が支援事業所取引増加額を超える場合の計算)

46の3−1 措置法第46条の3第1項に規定する3年以内取得資産(以下46の3−1において「3年以内取得資産」という。)に係る特別償却限度額の合計額が同項に規定する支援事業所取引増加額(以下46の3−1において「支援事業所取引増加額」という。)を超えることにより、同項に規定する特別償却限度額の合計額が支援事業所取引増加額を限度とされる場合において、当該特別償却限度額の合計額をいずれの3年以内取得資産に配分するかは、個々の3年以内取得資産に係る特別償却限度額を限度として、法人の計算によることができる。

【解説】

1  平成20年度の税制改正において、青色申告法人が、障害者自立支援法に規定する就労移行支援等を行う事業所に対して、資産を譲り受け、又は役務の提供を受けた対価として支払った金額(以下「支援事業所取引金額」という。)がある場合において、その事業年度における支援事業所取引金額の合計額が前事業年度における支援事業所取引金額の合計額を超えるときは、その事業年度終了の日において有する減価償却資産で事業の用に供されているもののうちその事業年度又はその事業年度開始の日前2年以内に開始した各事業年度において取得等したもの(以下「3年以内取得資産」という。)について、普通償却限度額の30%に相当する金額(以下「特別償却限度額」という。)の割増償却を行うことができる制度が創設された(措法46の3)。

2  この場合において、3年以内取得資産に係る特別償却限度額の合計額が支援事業所取引増加額(その事業年度における支援事業所取引金額の合計額が前事業年度における支援事業所取引金額の合計額を超える場合のその超える金額をいう。)を超えるときには、当該特別償却限度額の合計額は、支援事業所取引増加額を限度とされるのであるが、3年以内取得資産が複数ある場合に、特別償却限度額の合計額をいずれの3年以内取得資産に配分することとなるのか疑義が生じる。
 この点、計算の簡便性の観点からは、特別償却限度額の合計額を3年以内取得資産の取得価額等に応じてプロラタ計算により配分する方法が、一般的な計算方法であるとも考えられる。
 しかしながら、本制度の対象となる3年以内取得資産は、「その事業年度終了の日において有する減価償却資産で事業の用に供されているもののうちその事業年度又はその事業年度開始の日前2年以内に開始した各事業年度において取得等したもの」とされているのみで、資産の種類や構造・用途等について何ら限定されているものではない。また、本制度が、授産施設等の支援事業所に対する一般企業からの発注の増加促進を税制の側面からも支援しようという趣旨から創設されたものであることからすれば、支援事業所取引増加額を限度とされた特別償却限度額の合計額を、個々の3年以内取得資産に係る特別償却限度額の範囲内で法人の計算により任意に配分することを認めることが本制度の趣旨に即した取扱いになるものと考えられる。
 そこで、3年以内取得資産に係る特別償却限度額の合計額が支援事業所取引増加額を限度とされる場合において、当該特別償却限度額の合計額をいずれの3年以内取得資産に配分するかは、個々の3年以内取得資産に係る特別償却限度額を限度として、法人の計算によることができる旨を本通達において明らかにしている。

3  連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の32《支援事業所取引金額が増加した場合の3年以内取得資産の割増償却》についても、同様の通達(連措通68の32−1)を定めている。