【新設】(経過的取扱い(1)…特例民法法人が公益社団法人等に移行した場合の事業年度)

   一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下経過的取扱い(2)までにおいて「整備法」という。)第40条第1項《社団法人及び財団法人の存続》の規定により一般社団法人又は一般財団法人として存続するもののうち、整備法第106条第1項《移行の登記》(同法第121条第1項《認定に関する規定の準用》において読み替えて準用する場合を含む。)の登記をしていないもの(所得税法等の一部を改正する法律(平成20年法律第23号)(以下経過的取扱い(3)までにおいて「平成20年改正法」という。)附則第10条第1項《公益法人等の範囲に関する経過措置》に規定する認可取消社団法人及び認可取消財団法人を除く。)が、行政庁の認定を受けて公益社団法人若しくは公益財団法人への移行をした場合又は行政庁の認可を受けて一般社団法人若しくは一般財団法人への移行をした場合の事業年度は、次に掲げる期間となることに留意する。

  • (1) その事業年度開始の日から一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律施行規則第2条第1項《計算書類等の作成に係る期間》ただし書の移行の登記をした日の前日までの期間
  • (2) その移行の登記をした日からその事業年度終了の日までの期間

【解説】

1  公益法人制度改革に伴い、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という。)第38条の規定による改正前の民法(以下「旧民法」という。)第34条の規定により設立された社団法人又は財団法人(以下「旧民法第34条法人」という。)で、新たな法人制度の施行日(平成20年12月1日)に現に存するものは、一般社団法人又は一般財団法人として存続するものとされている(整備法401)。
 旧民法第34条法人であって新たな法人制度への移行の登記をしていない法人(以下「特例民法法人」という。)は、施行日から起算して5年を経過する日までの期間(以下「移行期間」という。)内に、行政庁の認定を受けて公益社団法人・公益財団法人となるか、行政庁の認可を受けて通常の一般社団法人・一般財団法人となることができる(整備法44、45)。そして、移行期間内に行政庁の認定又は認可を受けなかった特例民法法人は、移行期間の満了の日に解散したものとみなされることとされている(整備法46)。

2  特例民法法人である間は、名称、定款等も変更の必要がなく、主務官庁による監督も継続することから、課税関係についても、平成20年度の税制改正前の制度が維持されることとされている(平成20年改正法附則1013)。したがって、特例民法法人については、収益事業を行う場合に限り法人税の納税義務が生ずるとともに、収益事業から生じた所得に対して22%の税率により計算した法人税が課されることになる。
 その後、特例民法法人が行政庁の認定を受けて公益社団法人・公益財団法人となった場合には、その行う公益目的事業は収益事業から除かれ(令52一)、公益目的事業以外の収益事業から生じた所得に対して30%(年800万円以下の金額は22%)の税率により計算した法人税が課されることになる。また、特例民法法人が行政庁の認可を受けて通常の一般社団法人・一般財団法人となった場合には、それが非営利型法人に該当するときには収益事業から生じた所得に対して、普通法人に該当するときにはすべての所得に対して、30%(年800万円以下の金額は22%)の税率により計算した法人税が課されることになる。

3  このように、特例民法法人が行政庁の認定を受けて公益社団法人・公益財団法人に移行する場合又は行政庁の認可を受けて通常の一般社団法人・一般財団法人に移行する場合には、課税所得の範囲や適用税率が変更になるのであるが、この移行に伴って事業年度がどのようになるのかといった疑問が生ずる。
 この点、事業年度とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(会計期間)で、法令で定めるもの又は法人の定款等に定めるものをいうこととされているところ(法131)、特例民法法人が公益社団法人・公益財団法人への移行の登記又は通常の一般社団法人・一般財団法人への移行の登記をした場合には、その登記をした日の前日を計算書類等の作成に当たって定めることとされている事業年度の末日とすることとされている(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律施行規則21)。
 したがって、特例民法法人が行政庁の認定を受けて公益社団法人・公益財団法人に移行する場合又は行政庁の認可を受けて通常の一般社団法人・一般財団法人に移行する場合には、法令で定められている次の期間がそれぞれ事業年度となる。本通達では、このことを留意的に明らかにしている。

  • (1) その事業年度開始の日から移行の登記をした日の前日までの期間
  • (2) その移行の登記をした日からその事業年度終了の日までの期間

【新設】(経過的取扱い(2)…旧有限責任中間法人及び特例無限責任中間法人に係る事業年度)

   平成20年改正法附則第10条第2項《公益法人等の範囲に関する経過措置》に規定する旧有限責任中間法人又は同条第3項に規定する特例無限責任中間法人に係る事業年度は、整備法の施行及び整備法第33条第1項《移行の登記》に規定する設立の登記によっては区分されず継続することに留意する。
 ただし、旧有限責任中間法人が整備法施行の日以後、令第3条第1項各号又は第2項各号《非営利型法人の範囲》に掲げる要件のすべてに該当することとなった場合の当該旧有限責任中間法人に係る事業年度は、次に掲げる期間となることに留意する。

  • (1) その事業年度開始の日から、その要件のすべてに該当することとなった日の前日までの期間
  • (2) その要件のすべてに該当することとなった日からその事業年度終了の日までの期間

【解説】

1  平成20年12月1日(以下「施行日」という。)に施行される一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という。)の第1条により中間法人法は廃止されることとされた。
 中間法人法(以下「旧中間法人法」という。)の規定による有限責任中間法人であって施行日に現に存するものは一般社団法人として存続するものとされ(整備法21)、同日の属する事業年度の終了後最初に召集される定時社員総会の終結の時までは、従来の有限責任中間法人の名称のまま活動を行うことができることとされている(整備法31)。
 一方、無限責任中間法人についても施行日以後は一般社団法人として存続することとなるが(整備法241)、その名称中に無限責任中間法人という文字を用いなければならず(整備法2512)、最長1年間の移行期間を設けたうえで、一般社団法人への移行手続きを行うこととされており、移行までは従前の規律を適用するとともに、移行しない場合は解散したものとみなされる(整備法30、31、32、37)。

2  旧中間法人法の規定による中間法人は、法人税法上、普通法人とされており、すべての所得に対して30%(年800万円以下の金額は22%)の税率により計算した法人税が課されることとされていた。
 公益法人制度改革に対応した平成20年度の税制改正において、施行日以後に有限責任中間法人の名称で活動している法人(以下「旧有限責任中間法人」という。)については、一般社団法人に対する課税の取扱いと同様に、非営利型法人に該当するものは収益事業から生じた所得に対して、普通法人に該当するものはすべての所得に対して、30%(年800万円以下の金額は22%)の税率により計算した法人税が課されることになる(平成20年改正法附則102)。
 一方、移行期間中である無限責任中間法人(以下「特例無限責任中間法人」という。)については、従前の中間法人に対する課税の取扱いと同様に、普通法人としてすべての所得に対して、30%(年800万円以下の金額は22%)の税率により計算した法人税が課されることになる(平成20年改正法附則103)。

3  本通達においては、これら旧有限責任中間法人及び特例無限責任中間法人に係る事業年度の取扱いを明らかにしている。
 まず、旧有限責任中間法人であるが、施行日において非営利型法人の要件に該当していない場合には、法人税法上、従前と同様に普通法人として取り扱われることとなり、課税所得の範囲等に変更はない。また、旧有限責任中間法人の定款を存続する一般社団法人の定款とみなすこととされており(整備法22)、旧有限責任中間法人が定款で定めた事業年度が継続することになる。これらのことから、普通法人に該当する旧有限責任中間法人に係る事業年度は整備法の施行によって区分されることはない。この点は、施行日以後も普通法人として取り扱われる特例無限責任中間法人についても同様である(整備法242)。
 また、特例無限責任中間法人が一般社団法人への移行手続きを終えたときは、当該特例無限責任中間法人について解散の登記をし、移行後の一般社団法人について設立の登記をしなければならないこととされているが(整備法331)、この設立の登記によって自動的に事業年度が区分されることにはならない。特例無限責任中間法人が一般社団法人に移行した日以後において、非営利型法人の要件に該当しない場合には、引き続き普通法人として取り扱われることとなるが、法令の規定による組織変更があった場合の事業年度は解散・設立の登記にかかわらず区分されないとして取り扱っているところであり(法基通1-2-2)、設立の登記があっても事業年度は区分されずに継続することになる。他方、特例無限責任中間法人が一般社団法人に移行した日以後において、非営利型法人の要件に該当する場合には、法人税法上、公益法人等として取り扱われることから、法人税法第14条第22号《みなし事業年度》の規定により、みなし事業年度が生じることとなる。
 本通達の前段では、このことを明らかにしている。

4  ただし、旧有限責任中間法人が整備法の施行の日以後、非営利型法人の要件のすべてに該当することとなった場合には、当該旧有限責任中間法人は、法人税法上、公益法人等として取り扱われることから法人税法第14条第22号の規定により、みなし事業年度が生じることとなる。
 本通達のただし書きでは、このことを明らかにしている。

【新設】(経過的取扱い(3)…長期大規模工事以外の工事の取扱い)

   平成20年4月1日前に開始した事業年度において着手した平成20年改正法による改正前の法(以下経過的取扱い(3)において「旧法」という。)第64条第2項《長期大規模工事以外の工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定(旧法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の旧法第64条第2項の規定を含む。以下経過的取扱い(3)において同じ。)によりその収益の額及び費用の額の計上につき工事進行基準の方法を適用している長期大規模工事以外の工事(平成20年改正法附則第19条第2項《工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度に関する経過措置》に規定する経過措置工事のうち旧法第64条第2項の規定によりその収益の額及び費用の額の計上につき工事進行基準の方法を適用しているものを含む。)については、この法令解釈通達による改正前の2-4-19の取扱いは、なお従前の例による。

【解説】

1  平成20年度の税制改正により、長期大規模工事以外の工事のうち、工事進行基準の方法により収益及び費用の計上が認められる工事の範囲に、損失が生じると見込まれる工事(赤字工事)を含めることとされた。この改正は、平成20年4月1日以後に開始する事業年度において着手する工事について適用し、同日前に開始した事業年度において着手した工事については、従前どおりとされている(平成20年改正法附則191)。
 ただし、平成20年4月1日以後に開始する事業年度において着手する工事であっても、経過措置工事に該当する場合には、従前どおりとされている(平成20年改正法附則192)。

2  本通達においては、平成20年改正法附則の規定により従前どおりとされた工事について、この法令解釈通達による改正前の法人税基本通達2-4-19《 長期大規模工事以外の工事で再び工事進行基準の適用要件を満たした場合の取扱い》の取扱いによることを明らかにしている。

  • (注) 経過措置工事とは、平成20年4月1日から平成21年3月31日までの間に開始する事業年度に着手する工期1年以上2年未満かつ請負対価10億円以上50億円未満である工事について、そのうちいずれか一の工事でも工事進行基準の方法による経理をしていない場合におけるその事業年度に着手したすべての工事をいう。

【新設】(経過的取扱い(4)…事業税及び地方法人特別税の取扱い)

   この法令解釈通達による改正後の5-1-4の(7)、9-5-2、9-5-2の2及び20-3-8の取扱いは、平成20年10月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例による。

【解説】

   平成20年度の税制改正において、法人の事業税の税率の引下げを行うとともに、地方法人特別税を創設する地方法人特別税等に関する暫定措置法(以下「暫定措置法」という。)が制定され、平成20年10月1日以後に開始する事業年度から適用されることとされている。
 これに伴い、法人税基本通達においても次に掲げる通達についても所要の改正を行っているが、改正後の取扱いは暫定措置法の施行日である平成20年10月1日以後に開始する事業年度分の法人税から適用することとなるので、本通達において、そのことを念のために明らかにしている。

  • ・5-1-4《製造原価に算入しないことができる費用》
  • ・9-5-2《事業税及び地方法人特別税の損金算入の時期の特例》
  • ・9-5-2の2《適格合併の場合の被合併法人の最後事業年度分の事業税及び地方法人特別税の損金算入》
  • ・20-3-8《国内業務を廃止した場合の事業税及び地方法人特別税の特例》